令和8年9月五島市議会|川口哲也議員 一般質問まとめ

※本記事は、五島市議会の一般質問の音声文字起こしをもとに、質問と答弁の趣旨を整理したものです。正式な議事録ではありません。

文字起こしの性質上、誤字・脱字や固有名詞、数値等に誤りを含む可能性があります。正確な発言内容については、後日公開される五島市議会の正式な会議録をご確認ください。

川口哲也議員 一般質問

令和8年9月議会で川口哲也議員は、主に「防災体制」「婚活サポーター制度」「国民健康保険税の県内統一」について質問しました。

防災では、高齢者や二次離島を含めた情報伝達、防災訓練、災害時のトイレ、災害廃棄物処理まで幅広く確認。婚活サポーター制度では、開始から約半年の具体的な成果が明らかになりました。また国民健康保険税については、現在低い水準にある五島市の保険税が、県内統一によって上昇する可能性が示されました。


1.防災体制の強化―情報伝達、訓練、災害トイレ、災害ごみ

議論の整理(市民に伝えるべき新事実)

  • 五島市は、災害情報を防災行政無線、スマートフォンアプリ、通信各社のエリアメール、市ホームページ、公式LINEなど複数の手段で発信しています。
  • 防災行政無線が聞き取りづらい場合には、放送内容を電話で確認できるサービスがあり、現在は通話料無料で利用できます。
  • 今回の9月補正予算では、防災ラジオ導入普及事業として793万5,000円、250台の導入が計上されています。
  • 防災ラジオは五島テレビのケーブルテレビ網を活用し、防災行政無線の放送時には通常のFM放送へ割り込み、ラジオの電源が切れていても自動的に起動して情報を伝える仕組みです。
  • 一方、市内にはFMラジオが受信しにくい地域が複数存在していることも確認されました。
  • 病院、学校、高齢者施設などでは避難訓練が行われていますが、その多くは火災を想定したもので、土砂災害などを想定した訓練はほとんど実施されていないとの答弁でした。
  • 市は自主防災組織、町内会、まちづくり協議会、学校などで避難訓練や防災講話を実施しています。
  • 市民向け防災講話では、携帯トイレの使い方について、説明だけでなく実際の使用体験も毎回実施していることが明らかになりました。
  • 災害廃棄物については、令和元年度に「五島市災害廃棄物処理計画」を策定し、災害ごみの仮置き場候補も選定しています。ただし、実際にどの場所を使用するかは災害発生時の状況に応じて決定します。
  • 災害対応を「事前準備」「応急対応」「復旧・復興」の各段階に分けた場合、現時点では関係機関・民間事業者を交えた段階別の訓練は行われておらず、具体的な役割分担が明確になっていない部分があることも認めました。

ポジティブな方向性(提案を受け、市が今積極的に取り組む事を整理)

  • 高齢者や防災行政無線が聞こえにくい世帯への情報伝達を強化するため、防災ラジオ250台を導入します。希望状況に応じて追加購入も検討する方針です。
  • 学校や福祉施設などで、火災だけでなく土砂災害等を想定した訓練ができるよう、関係部署と連携して支援する考えを示しました。
  • 地震の揺れを体験できる車両を活用した体験型の防災啓発も予定されています。
  • 携帯トイレについては既に市民向け防災講話で体験を実施しており、今後は長期避難も想定して避難所運営マニュアルを見直す方針です。
  • 外部からの支援が届きにくい離島地域への支援体制についても、今後の地域防災計画見直しの中で検討します。
  • 市は今後2年間をかけて地域防災計画等を見直し、行政、関係機関、民間事業者の連携や、事前準備から復旧・復興までの具体的な役割分担を整理する考えを示しました。

ネガティブな方向性(提案はされたが、市が消極的なテーマ、要望)

  • 川口議員は、災害時には携帯電話やインターネットが使えなくなる可能性があるとして、FMラジオの難聴地域解消を求めました。
  • 国には、地理的・地形的なラジオ難聴地域対策に対して事業費の3分の2を支援する制度がありますが、市は「市が事業主体となってアンテナ等を整備する考えは現時点ではない」と答弁しました。
  • 川口議員が改めて前向きな検討を求めましたが、市の姿勢は変わらず、FM難聴地域の解消については具体的な整備計画が示されませんでした。
  • 病院、福祉施設、地域、行政、地元事業者などが一体となった実践的な災害訓練についても、現時点では十分な体制が構築されていません。

2.婚活サポーター制度―開始半年で見えてきた成果と課題

議論の整理(市民に伝えるべき新事実)

  • 五島市は令和8年度から、行政だけでは届きにくかった結婚希望者への支援を地域で補うため、婚活サポーター制度を開始しました。
  • 現在、5名の婚活サポーターが認定され、各地域でチラシや名刺を活用した周知、相談、出会いの支援などを行っています。
  • 制度開始後に見えてきた課題として、「婚活について相談していることを周囲に知られたくない」というプライバシーへの不安や、相談すること自体への心理的なハードルが挙げられました。
  • また、居住地区以外での出会いを希望した場合、個々のサポーターの人脈だけでは紹介できる範囲に限界があることも課題となっています。
  • 相談しやすい環境をつくるため公式LINEを開設し、8月末時点で登録者は44名となっています。
  • 活動開始から7月末までに23名から相談を受け、そのうち8名が市の結婚支援センターへの登録につながりました
  • 相談や引き合わせを通じて交際につながったケースも出ています。
  • 婚活サポーター自身が企画した玉之浦地区での交流イベントには8名が参加し、1組のカップルが誕生しました。

ポジティブな方向性(提案を受け、市が今積極的に取り組む事を整理)

  • 市は、結婚支援センターの相談員、婚活サポーター、担当職員による情報交換会を毎月開催し、相談・面談・引き合わせの進捗を共有しています。
  • 地区を超えたマッチングを進めるため、個々のサポーターだけで抱え込まず、市全体で情報を共有する体制を整えています。
  • 今年度は出会いのイベントを計3回開催する計画です。
  • イベントには婚活サポーターも参加し、参加者の緊張を和らげたり、その後の引き合わせをフォローしたりする役割を担います。
  • 市は、婚活サポーターが孤立せず活動を続けられるよう、結婚支援センターや担当職員による相談支援、地区を超えた情報共有など、サポート体制を維持・強化する方針を示しました。
  • 9月末には最初のイベント開催に向け、委託事業者、婚活サポーター、市が連携して準備を進めています。

ネガティブな方向性(提案はされたが、市が消極的なテーマ、要望)

  • このテーマでは、市が提案に対して明確に消極的な姿勢を示した事項は確認されませんでした。
  • 一方で、地域社会のつながりが強い五島ならではのプライバシー確保と、地区を越えた紹介先の確保は引き続き課題です。
  • 制度は始まったばかりであり、相談件数やカップル成立だけでなく、その後の継続的な交際や成婚につながっているかを今後検証していく必要があります。

3.国民健康保険税の県内統一―五島市の負担はどうなるのか

議論の整理(市民に伝えるべき新事実)

  • 国民健康保険は平成30年度の制度改革以降、長崎県が県全体の財政運営を担い、市町が資格管理、保険税の決定・徴収、保健事業などを担う仕組みとなっています。
  • 現在の国民健康保険税率は全国一律ではなく、それぞれの市町が条例で定めているため、同じ所得・同じ世帯構成でも住む自治体によって負担額が異なります。
  • 長崎県は第3期長崎県国民健康保険運営方針で、将来的に「同じ所得・同じ世帯構成なら県内のどこに住んでも同じ保険税水準」とする方向を示しています。
  • 令和6年度からは、その第一段階として、市町ごとの医療費水準を納付金算定に反映しない「納付金ベースの統一」が始まっています。
  • 国も都道府県単位での保険料水準統一を進めており、令和15年度までの統一移行を目指し、遅くとも令和17年度までの移行を目標とする方向性が示されています。
  • 五島市の国民健康保険税は、答弁によると長崎県内13市の中で最も低い水準にあります。
  • そのため、現在の県内保険税を単純に統一した場合、五島市民の国民健康保険税は増額になると見込まれることが明らかになりました。
  • 一方、市長は、人口減少により国保加入者がさらに減少すると、小規模な保険制度では高額医療などの影響を受けやすくなり、将来的に保険税が急上昇する可能性もあるとの認識を示しました。

ポジティブな方向性(提案を受け、市が今積極的に取り組む事を整理)

  • 市は、県内統一を行う場合でも保険税が一気に上昇することは避ける必要があるとして、できるだけ長い期間をかけた段階的な移行と激変緩和措置を求める考えを示しました。
  • 市長は、現在の加入者の負担だけでなく、人口減少後の国保財政の安定性や将来世代への影響も含め、慎重に判断する必要があるとしています。
  • 県内統一による国からの財政支援なども踏まえ、制度全体の持続可能性を考慮しながら県との協議を進める姿勢が示されました。

ネガティブな方向性(提案はされたが、市が消極的なテーマ、要望)

  • 現状では、国・県ともに保険税水準の統一を進める方向にあり、市単独で現在の低い保険税水準を維持し続けることは難しくなりつつあります。
  • 五島市は現在の保険税が低いため、統一によって市民負担が増える可能性が高い一方、実際に一世帯当たりどの程度増えるのかという具体的な試算は今回の議論では示されませんでした
  • 激変緩和を求める方針は示されたものの、何年間かけて移行するのか、どの程度まで上昇を抑えるのかといった具体策はまだ決まっていません。
  • 川口議員は、国保加入者は既に保険税負担が大きいとして、県との協議の中で五島市民の負担増を可能な限り抑えるよう強く要望しました。

まとめ

川口哲也議員の一般質問では、市民の安全、人口減少対策、社会保障という、今後の五島市に大きく関わる3つのテーマが取り上げられました。

防災では、防災ラジオ250台の導入、携帯トイレを使った防災講話、避難所運営マニュアルや地域防災計画の見直しなど、具体的に前へ進む取組が確認されました。一方、FMラジオの難聴地域対策については、国の補助制度があるにもかかわらず、市が事業主体となって整備する考えは示されませんでした。

婚活サポーター制度では、開始から半年足らずで公式LINE登録44名、相談23名、結婚支援センター登録8名、地域イベントで1組のカップル成立など、具体的な成果が見え始めています。市も今年度3回のイベント開催やサポーターへの支援強化を予定しており、今後の成果が期待されます。

市民生活への影響が最も大きい可能性があるのが国民健康保険税です。五島市は現在、県内13市で最も低い水準にありますが、県内統一が実施されれば保険税の上昇が見込まれます。今後は「統一するかどうか」だけでなく、具体的に市民負担がいくら増えるのか、激変緩和をどこまで確保できるのかを数字で示していくことが重要となります。