【2026年9月五島市議会】古里賢一議員 一般質問まとめ

熊本地震に対する支援と五島市の防災対策

議論の整理(市民に伝えるべき新事実)

  • 五島市は令和8年熊本地震の被災地支援として、熊本県氷川町へ2リットル入り飲料水1,728本を提供しました。輸送には長崎県トラック協会五島支部が協力しています。
  • 人的支援では、熊本県美里町へ職員を派遣。8月18日~25日に2名、9月1日~8日に2名を派遣しており、住家被害認定調査などに従事しました。
  • 今後も9月22日~29日に美里町へ2名、10月6日~13日に八代市へ2名を派遣する予定で、それ以降についても長崎県と調整しています。
  • 罹災証明や災害対応などを専門的に担う職員について、五島市には現在、専門職としての配置はありません。
  • 現在の五島市地域防災計画は、主として台風など個別の災害への対応を想定しており、地震・津波・豪雨などが重なる複合災害について十分に整理された計画とはなっていません。
  • 通信障害が発生した際の衛星通信などについても、現時点で具体的な対応方法が整理されている状況ではありません。
  • 災害用備蓄は、おおむね発災後3日間を想定して水、食料、生活用品、携帯・簡易トイレなどを備蓄しています。
  • 避難所用ベッドとして、段ボールベッド139台、折り畳みベッド484台、これとは別に県から提供されたベッド400台を保有しています。
  • 災害時の洗濯環境について、コインランドリー事業者との優先利用などの災害協定は現在締結されていません。
  • 市長は、通常の台風などには対応できている一方、熊本地震のような大規模災害や大規模水害が五島市で発生した場合、「現状では対応は難しい」との認識を示しました。

ポジティブな方向性(提案を受け、市が今積極的に取り組む事を整理)

  • 熊本地震の被災地への職員派遣を今後も継続します。
  • 大規模災害への対応力を高めるため、地域防災計画を見直すための委託事業を補正予算に盛り込みました。
  • 地域防災計画の見直しの中で、他自治体から応援職員を受け入れる体制や、災害時の職員配置などについて整理していく方針です。
  • ハザードマップについても、地域防災計画の改定に合わせ、必要があれば見直す考えを示しました。

ネガティブな方向性(提案はされたが、市が消極的なテーマ、要望)

  • 罹災証明など災害対応の専門職員・専門人材の配置について、古里議員が体制強化を求めましたが、市から具体的な配置方針は示されませんでした。
  • 衛星通信など、大規模な通信障害への具体的なバックアップ体制は現時点で明確になっていません。
  • 避難生活の長期化を想定したコインランドリー事業者との災害協定についても、現状では制度がなく、具体的な導入方針は示されませんでした。
  • 消防団員の報酬引上げや装備・活動環境の充実について古里議員が要望しましたが、市は「他自治体の状況などを確認しながら考えたい」とするにとどまり、具体的な引上げ方針は示されませんでした。

市営住宅の管理組合と入居者負担

議論の整理(市民に伝えるべき新事実)

  • 令和8年4月1日時点で、五島市が管理する市営住宅は39団地、92棟、582戸です。
  • 内訳は、戸建て住宅が8団地16棟16戸、集合住宅が31団地76棟566戸となっています。
  • 市営住宅の共同施設・設備に必要となる光熱費や浄化槽関係費などは、原則として入居者負担です。施設そのものの修繕や更新については、市が対応します。
  • 共益費の徴収方法は地区によって異なり、管理組合がある地区では組合が集金・支払いを行っています。
  • 一方、管理組合が組織されていない地区では、住宅管理人や入居者が共益費を市役所や支所まで持参し、市が支払いを行う仕組みとなっています。
  • 市営住宅の管理組合は入居者による自主的な団体で、市が具体的な業務を直接管理しているわけではありません。
  • 住宅管理人も入居者間で選び、その報告を受けて市が管理人として委嘱する仕組みです。
  • 令和7年度に市が住宅管理人へ支払った年間報酬の総額は71万9,100円でした。

ポジティブな方向性(提案を受け、市が今積極的に取り組む事を整理)

  • 古里議員は、高齢化が進む中で、入居者自身が集金や金銭管理、市役所への持参まで行う現在の制度は負担が大きいとして、市による管理の拡大を提案しました。
  • 市も、統一的な方針の下で一元的に管理する考え方については「いい案」と一定の評価を示しました。
  • 特に、高齢者などが共益費を市役所等へ直接持参することが難しい場合には、個別に何らかの対応を検討する考えを示しました。

ネガティブな方向性(提案はされたが、市が消極的なテーマ、要望)

  • 古里議員は、市が所有する住宅である以上、共用部分の管理や集金業務の一部を市職員が担うことを提案しました。
  • しかし市は、既に管理組合が機能している地域では現在の運営を続けた方がよいとの考えを示しており、市営住宅全体を市が一元管理する方向には至っていません。
  • 入居者の高齢化や担い手不足を踏まえた管理組合制度そのものの見直しについても、具体的な制度改正の方針は示されませんでした。

元職員の窃盗事件に係る5,800万円の求償

議論の整理(市民に伝えるべき新事実)

  • 五島市が支払った5,800万円について、市は「元職員の支払いを市が立て替えたもの」ではなく、国家賠償法上の五島市の責任に基づいて支払った解決金との認識を示しました。
  • 一方、国家賠償法に基づく求償権を行使し、元職員に対して5,800万円全額を求める方針に変わりはないと答弁しました。
  • 現在、市と元職員双方の代理人が、おおむね2週間に1回のペースで書面による協議を行っています。
  • 交渉では、それぞれの主張のほか、月々の支払額などについて具体的な提案を行っていますが、双方の意見の隔たりが大きく、現時点では合意に至っていません。
  • そのため、元職員から市への求償金の支払いはまだ開始されておらず、開始時期も決まっていません。
  • 具体的な返済条件については「交渉中」であることを理由に、議会では明らかにされませんでした。
  • 市は、今後、議会の全員協議会なども活用しながら議員の意見を聞き、できるだけ早期に支払額・支払方法を確定させたいとしています。
  • 5,800万円の解決金を補塡する保険について、市は今回の案件に適用される保険はないとの認識を示しました。
  • 市は「第一義的には元職員本人が全額を補塡すべき」との考えを示しています。

ポジティブな方向性(提案を受け、市が今積極的に取り組む事を整理)

  • 市は、5,800万円全額を元職員に求償する方針を明確に維持しています。
  • 代理人を通じた交渉を継続しており、月々の返済額を含めた具体的な支払い条件の協議に入っています。
  • 市長は、現段階ではまず5,800万円の全額回収に「全力を集中したい」と答弁しました。

ネガティブな方向性(提案はされたが、市が消極的なテーマ、要望)

  • 全額求償の方針は示されているものの、実際の回収はまだ始まっておらず、支払い開始時期や返済期間も決まっていません。
  • 双方の主張には大きな隔たりがあり、現段階では5,800万円が実際にどの程度、どの期間で回収できるのか見通せない状況です。
  • 古里議員は、第三者委員会の費用も含め、多額の公金が投入されたことを踏まえ、仮に元職員から十分に回収できなかった場合の政治的責任について問題提起しました。
  • 市は、予算については議会の議決を経て、市長が執行する仕組みであり、「市議会と市長双方の意思決定が必要」と説明。それぞれが各立場で職務上の責任を果たしたとの認識を示しました。
  • 古里議員は、元職員からの回収が進まず市民負担が残る場合には、自身の議員報酬を実質的に削減して、その穴埋めに充てることも提案すると表明しました。
  • さらに古里議員は、市長に対しても、行政・議会という組織の壁を越えて「現在の政治家として責任を示すべきではないか」と問いかけました。
  • これに対し市長は、政治家個人として負担することなどには踏み込まず、「今は元職員からの全額求償に全力を集中したい」と答弁しました。

古里議員は今回、防災、市営住宅、元職員事件という、市民生活と行政の責任に直結する3つのテーマを取り上げました。特に防災では、大規模災害に対する現在の五島市の対応力に課題があることが明らかになり、地域防災計画の見直しが今後どこまで具体化されるかが重要となります。

また、5,800万円の求償については、市が「全額回収」の方針を改めて示した一方、実際の返済開始には至っていません。今後は、交渉の進捗とともに、実際の回収額・回収期間が市民や議会にどこまで明らかにされるのかが焦点となります。