【ご注意】
以下の内容は、五島市議会における実際の質問・答弁等の音声をもとに、内容を分かりやすくお伝えすることを目的として文字起こし・整理したものです。正式な会議録を全文掲載したものではありません。音声からの文字起こしのため、聞き取りの誤り、誤字・脱字、固有名詞や数値等の記載誤りが含まれる可能性があります。正確な発言内容については、後日公開される五島市議会の正式な会議録をご確認ください。
1.改正有人国境離島法と滞在型観光・関係人口について
議論の整理(市民に伝えるべき新事実)
- 有人国境離島法は令和9年4月からさらに10年間延長され、令和19年3月末まで継続する。
- 令和9年度の国の概算要求では、有人国境離島政策関連予算として約95億円が計上され、令和8年度と比べ約40億円増額された。報道ベースでは、航路・航空路の運賃低廉化について帰省客への対象拡大も示されている。
- 改正法には、施行後5年をめどに制度の実施状況を検証し、必要な措置を講じる見直し規定が設けられた。また、都道県にも地域社会維持に必要な施策を講じる役割が明確化された。
- 五島市の令和7年の宿泊施設は151施設、収容定員2,440人。内訳はホテル30施設・1,209人、旅館16施設・258人、民宿34施設・325人、一棟貸し等71施設・648人となっている。
- 一方、教育旅行などを受け入れる民泊は132件で、前年から6件減少。高齢化やコロナ禍を契機とした受入中止などが要因とされた。
- 観光客数は20万人を超え、宿泊を伴う観光客が増加。観光消費額は94億1,431万円で過去最高となった。
- 五島市はこれまでリモートワーク・ワーケーション環境を整備してきた。今後は、1か所に1か月程度滞在するケースもあるデジタルノマドや二地域居住を新たなターゲットとして関係人口拡大につなげる方針を示した。
ポジティブな方向性(提案を受け、市が今積極的に取り組む事を整理)
- 有人国境離島法の拡充について、令和9年度予算への確実な反映を国に強く働きかける。
- 2028年7月の世界文化遺産登録10周年を見据え、旧五輪教会堂、江上天主堂、堂崎教会などを巡る巡礼ツアーや滞在型旅行商品の造成を進める。
- 洋上風力などによる再生可能エネルギーから水素を製造し、水素を燃料とする自動車や船など、有人国境離島地域での先端技術の実証・実装プロジェクトへの参画を目指す。
- 民泊については、調理場・トイレ等の水回り改修や営業申請に必要な費用を支援しており、令和7年度は30件を補助し、前年より19件増加した。
- 今年度から教育旅行の受入経験者をアドバイザーに任命し、新たに民泊を始める人の不安や疑問を解消する取組を開始している。
- 福江地区以外でも、公民館や既存公共施設等のWi-Fi環境を活用するとともに、観光・食・アクティビティと仕事環境を組み合わせ、デジタルノマドや二地域居住者の誘致を進める。
ネガティブな方向性(提案はされたが、市が消極的なテーマ、要望)
- 田口議員は、民泊・民宿の事業承継、老朽施設改修、空き家を活用した新規開業などを一体的に支援する五島市独自の再生支援制度を提案したが、市は既存の改修補助やアドバイザー制度を継続する答弁にとどまり、新制度創設には踏み込まなかった。
- 富江地区の教育旅行について、バスが入村式会場付近まで入れず、生徒が大きな荷物を持って約400メートル歩いているとして道路環境の改善が要望されたが、市は「学校や旅行会社から苦情・要望を受けていない」とし、具体的な道路改修を約束しなかった。
- 黒瀬港で釣り体験を行う修学旅行生のためのトイレ整備も要望されたが、市は具体的な整備方針を示さなかった。
- 富江地区など福江地区外への新たな専用リモートワーク施設整備についても、既存施設やWi-Fi環境の活用を基本とし、新施設整備には踏み込まなかった。
2.防災対策について
議論の整理(市民に伝えるべき新事実)
- 五島市は南海トラフ地震防災対策推進地域に指定されており、市が策定する防災対策推進計画は、今後行う五島市地域防災計画の改定に盛り込む方針。
- 津波浸水深30センチ以上が想定される区域にあるホテル、スーパーなど、避難計画の策定が必要な市内事業者は23事業者。令和8年3月末時点で16事業者が提出済み、残る7事業者が作成中である。
- 五島市は給水車を所有しておらず、災害時は給水タンクを車両に積載して給水する運用となっている。
- 指定緊急避難場所は44か所で、屋内37か所、屋外7か所。長期的な避難生活を想定する避難所については30か所と答弁された。
- 土砂災害・洪水の2種類のハザードマップを作成し、各世帯への配布、ホームページ掲載、防災講話などで周知している。
ポジティブな方向性(提案を受け、市が今積極的に取り組む事を整理)
- 未提出となっている7事業者について、南海トラフ地震防災対策計画の完成に向けて市も協力していく。
- 田口議員が高台の避難場所を増やすよう求めたことに対し、市は日常的に管理されている高台の公園などを指定緊急避難場所に追加することを検討すると答弁した。
- 災害時に温かい食事を提供するため、地域防災計画の見直しの中でキッチンカーの活用や食事提供について協議する。
- 自治体が平時は農産物PR等に活用し、災害時には炊き出しに利用するキッチンカーの事例について、市も運用状況を調査研究する。
- 避難場所の看板について、現地を確認し、分かりにくい場所があれば対応を検討する考えを示した。
ネガティブな方向性(提案はされたが、市が消極的なテーマ、要望)
- 田口議員は災害用トイレ車両の導入を求めたが、市は平時の活用方法や災害時の運用を課題として挙げ、「現時点で購入を検討するまでには至っていない」と答弁した。
- トイレが使用できない場合について、市は各家庭で備蓄する携帯トイレ等の活用を基本としており、市独自のトイレ車両整備には消極的な姿勢を示した。
- 自治体所有のキッチンカーについても、具体的な導入方針や予算化ではなく「調査研究」にとどまった。
- 富江地区の旧運動場など、田口議員が具体的に挙げた場所を緊急避難場所に指定することについては確約せず、高台の公共施設全般を対象に検討するとの答弁にとどまった。
3.農業振興対策・五島イノベーションセンターについて
議論の整理(市民に伝えるべき新事実)
- 株式会社福岡ソノリクを事業主体とする五島イノベーションセンターは、令和5年10月に計画が公表され、農産物の長期貯蔵や出荷調整、物流機能を担う拠点として整備される予定だった。
- 当初は令和8年中の供用開始を目指し、その後、計画の遅れから令和10年中の供用開始を目指していた。
- しかし令和8年7月、サツマイモの生産量拡大に想定以上の時間を要していることを理由に、施設建設を「一旦見送る」との判断が福岡ソノリクから示された。
- 市政報告では、市内のサツマイモ生産を年間4,000トン規模まで拡大し、その流通拠点として同センターを整備する構想だったことが明らかにされている。
- 市長は、現時点では福岡ソノリクが五島から完全撤退するとの情報は入っていないと説明した。
- センター建設予定地は長崎県所有地を一般競争入札によって事業者が取得した土地であり、市は土地売買時の詳細については把握する立場にないと説明。計画見直しについては、福岡ソノリクから県へ経緯説明が行われている。
ポジティブな方向性(提案を受け、市が今積極的に取り組む事を整理)
- 市は、センター建設の見送りをもって五島市の農業振興が後退するものではないとの認識を示した。
- 福岡ソノリク、JAごとうなど関係機関との連携をこれまで以上に密にし、サツマイモの生産基盤強化と産地づくりを継続する。
- 市長は福岡ソノリクの園田社長と今月中にも面会する予定としており、市の考えを伝えた上で今後の事業意向を改めて確認すると答弁した。
- 市長は、サツマイモを産地化し、貯蔵・出荷調整施設を活用して年間を通じて安定出荷するという当初の方向性自体は、今後も追求したいとの考えを示した。
ネガティブな方向性(提案はされたが、市が消極的なテーマ、要望)
- イノベーションセンターについては「一旦見送り」とされているものの、建設再開時期や新たな供用開始時期は示されていない。
- 田口議員は、事業者が撤退した場合に、旧農業関係施設の跡地が農業以外の用途に使われることへの懸念を示し、農業関連事業として活用されることを求めた。
- これに対し市長は、農業の産地化と貯蔵施設を活用した流れを維持したいとの考えを示したが、土地を農業用途として確実に維持するための具体的な制度や対応策までは示されなかった。
- 土地売買は県による一般競争入札であり、市は売買条件等の詳細を把握する立場にないとしており、市の直接的な関与には限界があることも明らかになった。
4.食料品の消費税減税と市財政・農漁業者への影響について
議論の整理(市民に伝えるべき新事実)
- 田口議員は、政府による飲食料品の消費税率引下げ方針を受け、五島市の財政や農漁業者への影響を質問した。
- 市は、消費税率が引き下げられた場合、地方消費税交付金と地方交付税の双方に影響が生じると説明した。
- 五島市が令和7年度に受け取った地方消費税交付金は9億2,557万3,000円。
- 国が地方自治体の減収分を補填しない場合、国全体の影響額を基にした試算では、五島市では約1億2,000万円規模の減収が見込まれると答弁した。さらに、消費税を財源の一部とする地方交付税にも一定の影響が生じる。
- 田口議員は、県内農家の多くが免税事業者であるとの報道を紹介し、食料品の消費税率が引き下げられる一方、生産資材等にかかる消費税負担が残れば、農家の手取りや資金繰りに影響する可能性を指摘。漁業者にも同様の問題が生じると訴えた。
- 市も、食料品の消費税引下げによって農業者の手元に残る金額が減り、資金繰りに影響する可能性があるとの認識を示した。
ポジティブな方向性(提案を受け、市が今積極的に取り組む事を整理)
- 国が検討する農業者等への影響緩和策・給付金の動向を注視する。
- 実際に農漁業者の経営や生活への影響が生じた場合には、五島の実情に即した支援を国・県に働きかける考えを示した。
- 消費税減税が地方財政と一次産業に与える影響について、市として問題を認識し、今後の国の制度設計を確認していく姿勢を示した。
ネガティブな方向性(提案はされたが、市が消極的なテーマ、要望)
- 田口議員は、国の支援とは別に、農家・漁業者を守るため五島市独自の支援策を検討するよう求めた。
- 市は国の給付制度の動向を注視し、必要に応じて国・県へ支援を求めるとの答弁にとどまり、市独自の給付や補助制度の創設については具体的な方針を示さなかった。
- 約1億2,000万円規模と試算される市の減収についても、国による補填措置が現時点では確定しておらず、今後の国の制度設計に左右される状況となっている。
