【2026年9月五島市議会】木口利光議員 一般質問まとめ
五島市議会では、正式な議事録が公開されるまでに時間がかかります。
そのため、議会での一般質問と答弁をもとに、議論のポイントを整理しています。音声から作成した文字起こしを基礎としているため、正式な議事録ではなく、発言の省略や誤字、数値等の誤りを含む可能性があります。あらかじめご了承ください。
1.改正有人国境離島法と新たな支援策について
議論の整理(市民に伝えるべき新事実)
- 改正有人国境離島法が成立し、法律の期限が令和19年3月末まで10年間延長された。
- 令和9年度政府予算の概算要求では、有人国境離島政策関連予算として約95億円が要求されている。
- 五島市民から要望の強かった帰省客への航路・航空路運賃低廉化の対象拡大が、国の概算要求に盛り込まれている。ただし、対象範囲や制度の詳細、最終的な予算額はまだ確定していない。
- 国土交通省では、有人国境離島航路を維持するため、船舶建造への支援制度を拡充する方向が示されている。
- 今回の制度改正では、従来の運賃低廉化や雇用支援だけではなく、滞在型観光、GX・DXなど先端技術の実証・実装が新たな政策の柱として位置付けられている。
- 五島市では、水素、洋上風力、自動運転、ドローンなどを有人国境離島政策と結び付け、新たな国の事業や交付金の獲得につなげる考えが示された。
ポジティブな方向性(提案を受け、市が今積極的に取り組む事を整理)
① 帰省客への運賃低廉化の実現に向け、国への要望を継続
市長は、これまでも運賃低廉化の対象を帰省客、さらには将来的には全利用者まで広げるよう国に要望してきたと説明。令和9年度予算の確定に向け、引き続き国へ強く働きかける考えを示した。
② 世界遺産を軸とした滞在型観光を具体化
2028年7月に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が登録10周年を迎えることを踏まえ、市内教会を巡る巡礼型旅行商品の造成を進める方針を示した。
具体的には、韓国向けの巡礼ツアー、台湾向けの釣りツアー、欧米・豪州向けには五島の原風景や非日常体験を生かした商品の開発などを想定。市長は「もう1泊、あと1泊」につながる観光施策を進める考えを示した。
③ 再生可能エネルギーを活用した水素事業を検討
洋上風力など再生可能エネルギー由来の電力を利用して水素を製造し、船舶や自動車などに利用する構想が示された。
市内事業所で重油を燃料としているボイラーを水素へ転換できないかについても、水素バリューチェーン推進協議会などと連携し、実現可能性の調査・検討を進めている。
④ 洋上風力発電の促進区域指定を目指す
五島市沖の洋上風力について、市は準備区域から促進区域への指定に向けた取組を進め、国・県や漁業関係者との調整を進める考えを示した。
⑤ ドローンを生活インフラとして活用
五島市ではこれまで、農地の作付確認、海洋ごみ調査、二次離島への無人物流などの実証を行ってきた。
今後は医薬品・検体輸送、災害時の被害把握、インフラ点検、離島の警備、AIを活用した複数ドローンの運用、さらに各家庭近くまで届けるラストワンマイル配送など、新たな活用方法を研究する考えが示された。
ネガティブな方向性(提案はされたが、市が消極的なテーマ、要望)
- 帰省客への運賃低廉化については、国の概算要求段階であり、実施時期・対象者・市の負担額などは確定していない。
- 対象者が拡大すれば五島市側の負担も増えることから、国の十分な予算確保が前提となる。
- 水素については社会実装に期待を示しているものの、継続的な需要先の確保が事業化の課題とされており、現段階では調査・検討段階にある。
- 自動運転や水素船、AIを使った複数ドローン運用などは積極的な方向性が示された一方、具体的な導入年度、事業費、実施主体までは示されていない。
2.福江港の機能強化と特定利用港湾について
議論の整理(市民に伝えるべき新事実)
- 台風などの際には、ジェットフォイルやフェリーが福江港から長崎港などへ避難することがあり、その影響で翌日の欠航につながるケースがある。
- 現在の福江港湾計画では、利用できる船舶の規模は最大2万トン級を想定している。
- これを超える大型クルーズ船は沖合に停泊し、小型船で乗客を運ぶ必要があり、天候によっては寄港そのものが困難になる。
- 長崎県は、既存施設を活用して3万トン級の大型船が接岸できる可能性について調査・検討する予定。
- 福江港について、国から「特定利用港湾」の指定に向けた動きが示されており、港湾整備の新たな財源確保につながる可能性が議論された。
ポジティブな方向性(提案を受け、市が今積極的に取り組む事を整理)
① 特定利用港湾指定を港湾整備の機会として活用
市長は、福江港が特定利用港湾に指定された場合には、これまで以上に国や長崎県へ港湾整備を強く要望していく考えを示した。
港湾機能を強化することにより、災害対応の強化に加え、大型クルーズ船の誘致など市内経済への効果も期待している。
② 大型船が接岸できる港湾機能を検討
長崎県が進める3万トン級大型船の接岸可能性調査を踏まえ、福江港の今後の整備につなげる方向性が示された。
③ 災害時に自衛隊艦船が利用できる港を目指す
市長は、大規模災害時に自衛隊の大型輸送艦などが福江港へ直接接岸し、救援活動を行えるのか確認したいと答弁。現状の施設では対応できない場合、港湾整備の必要性がさらに高まるとの認識を示した。
④ 海上保安庁・水産庁による利用促進
東シナ海周辺の漁業秩序や漁業者の安全確保の観点から、海上保安庁や水産庁の船舶による福江港の積極的な利用についても、国に働きかけていく考えが示された。
ネガティブな方向性(提案はされたが、市が消極的なテーマ、要望)
- 福江港の特定利用港湾指定は現段階では確定していない。
- 具体的にどの岸壁をどの規模まで整備するのか、事業費や整備スケジュールについては示されていない。
- 現状では大型クルーズ船の直接接岸や、大型の自衛隊艦船による災害支援が可能かどうかも明確になっておらず、今後の調査が必要。
- 台風時に船舶が福江港外へ避難しなければならない問題についても、具体的な解消時期は示されていない。
3.戸岐町半泊地区の道路整備について
議論の整理(市民に伝えるべき新事実)
- 半泊地区へ向かう道路は非常に狭く、車同士がすれ違えない区間が長く続いている。
- 半泊地区では五島つばき蒸溜所が事業を展開しており、雇用やふるさと納税など地域経済への効果が生まれている一方、観光客などの交通量増加による安全面が課題となっている。
- 市道観音平・間伏線については、地元からの要望を受け、これまで待避所の整備や道路幅員の確保などが行われてきた。
- 一方、宮原側から半泊へ接続する市道宮原・半泊線は、約700メートルの未整備区間を残したまま、平成16年度を最後に20年以上事業が中断している。
- 市が現在の建設単価で再積算した結果、残る区間の整備には約21億円が必要になるとの試算が示された。
ポジティブな方向性(提案を受け、市が今積極的に取り組む事を整理)
① 現在利用されている道路の安全対策を優先
市は、市道宮原・半泊線の事業再開が極めて難しいことから、現在の主要な進入ルートである市道観音平・間伏線の安全性向上を進める考えを示した。
② 待避所を増設できる土地があれば対応
用地取得が可能な場所について地元から具体的な情報提供があった場合には、待避所の増設について柔軟に対応する考えが示された。
③ 「次の待避所までの距離」を示す看板を設置
狭い道路を走行する運転者が判断しやすいよう、次の待避所までの距離を表示する看板を設置する方向が示された。
④ 道路脇の土砂・草木などを適切に管理
定期的な巡回により道路状況を確認し、堆積した土砂や草木などが通行や離合の支障とならないよう維持管理を進める方針が示された。
ネガティブな方向性(提案はされたが、市が消極的なテーマ、要望)
最大の課題は、市道宮原・半泊線の完成が事実上困難になっていることです。
市は事業を再開できない理由として、主に次の3点を挙げました。
- 用地取得の困難さ
土地所有者が亡くなった後、複数世代にわたり相続が繰り返され、多数の相続人や所在不明者が存在しているため、道路用地の取得や所有権整理が難しい。 - 地形・施工上の問題
海側は高さ約50メートルの断崖、山側は急斜面となっており、工事用重機の足場確保や作業員の安全確保が難しい。道路勾配についても厳しい条件がある。 - 約21億円と見込まれる巨額の事業費
現在の建設単価で残区間を再積算すると約21億円が必要とされ、市は新たに本格整備へ着手することには消極的な姿勢を示した。
このため、半泊地区への新たな道路を完成させるのではなく、既存道路の待避所、案内看板、道路幅員の確保、維持管理などによって安全性を少しずつ高めることが、現時点での市の現実的な対応方針となっています。
