大型建設事業に対する懸念|五島市福江島で起きている問題

長崎県五島市では、「全天候型子どもの遊び場」の整備が検討されています。雨の日でも子どもが安全に遊べる施設として期待される一方、町内会長会議では、人口減少や将来の維持費を踏まえた大型建設事業への懸念も示されました。

福江島を中心とする五島市では、子育て環境の充実が重要な政策課題である一方、人口減少や高齢化により、財政負担への不安も大きくなっています。

全天候型子どもの遊び場への疑問

新二番町町内会からは、「全天候型子供の遊び場」建設に関して、ライフサイクルを考えると別の対応策を深く検討すべきではないかとの意見が出されました。

具体的には、3年後の着工、予算7億円、市負担額1億円、維持費3,500万円、そのうち市負担額1,800万円という点が挙げられています。

町内会からは、3年後には人口減少が明らかであり、10年後、20年後には利用者がわずかな数になるのではないかとの懸念が示されました。

また、年々税収が減少する中で自己負担1億円は重い負担であり、さらに維持費が将来的に増額していく可能性があること、人口減少や高齢化に伴い一人当たりの税負担が大きくなる中で、健康保険税の増額も懸念されると指摘されています。

市が施設建設を検討する理由

五島市こども未来課は、全天候型子どもの遊び場施設を建設する経緯として、市議会から「雨の日でも遊べる子どもの遊び場の確保に努められたい」との要望があったこと、また子育て世代から「雨の日でも思いきり体を動かして遊べる施設が欲しい」との意見が多かったことを挙げました。

これを受け、令和6年10月から施設建設の検討を開始したとのことです。

施設の検討にあたっては、子どもや子育てを取り巻く現状や課題、五島市の将来にとって望ましい施設のあり方、必要な機能や役割などについて、子育て世代へのニーズ調査や関係団体との意見交換を踏まえて検討したと説明しています。

パブリックコメントでは賛同意見が多数

検討内容は基本構想の素案としてまとめられ、令和7年9月から10月にかけてパブリックコメントが実施されました。

パブリックコメントでは196件の意見が寄せられ、基本構想の素案に賛同する意見が161件、反対が29件、賛同でも反対でもない意見が6件でした。

市は、この結果から、基本構想の素案に示した基本的な方向性については概ね了承されたものと考えています。

子育て支援の拠点としての役割

市は、今回整備する全天候型子どもの遊び場施設について、単に子どもが安全に遊べる環境を提供するだけでなく、子育ての悩みを相談する場、多世代が交流する場として、包括的な子育て支援の拠点としての役割を果たすものだと説明しています。

さらに、この遊び場を拠点として、母子保健、児童福祉、教育、健康などの施策と連動させることで、五島市の子育て環境を向上させ、若年世代のUIターンや定住促進、出生数の増加、人口減少の抑制につなげたいとしています。

維持管理費と持続可能性が焦点

五島市は、人口減少に伴う歳入の減少や公共施設の維持管理費の増加など、財政状況が厳しい局面にあることも認めています。

そのため、「財政改革プラン」により歳入と歳出の両面から財政の健全化に取り組み、将来を見据えた持続可能な財政運営により必要な財源確保に努めるとしています。

施設の整備・運営については、公共施設としての機能と利用者の利便性・利用頻度を勘案し、受益者負担として利用料金をいただくことを検討しています。また、国や県の補助金、ふるさと寄付金、企業等の協力も活用し、維持管理費を賄いながら利用者を増やしていく方針です。

今後の検討状況の説明が必要

現在、令和9年度からの工事着工に向けて、実施設計業務及び地質調査業務の契約を締結し、遊び場スペース、休憩・交流コーナー、多目的ルームなどの仕様や図面作成、概算工事費の算定などの準備が進められています。

市は、今後も館内の運営ルールなど継続して検討する項目があり、検討状況や市の見解が明らかになり次第、随時、市民に示していくとしています。

大型建設事業に対する懸念は、施設そのものへの反対だけではありません。人口減少時代において、必要な子育て支援と将来負担をどう両立するのか。五島市福江島では、事業の目的、費用、維持管理、利用見込みを市民に分かりやすく示すことが求められています。