R8年9月五島市議会の議案質疑(予算分)

五島市議会は議事録が公開されるまでに時間がかかります。

そこで議事メモを残しています。

正式な議事録ではありませんので、参考程度にご参照ください。

2026年9月4日 10:00ー

質疑議員:中西、網本、山崎 議員

中西大輔 議員の議案質疑

1.農作物有害鳥獣被害対策事業について

今回の補正では、イノシシ捕獲用箱わな50基の購入に663万6,000円、水田被害防止巡回事業に134万円、合計797万6,000円を計上。

中西議員はまず、水田を猟銃所持のハンターが巡回する事業と、箱わな購入事業をどのように連動させるのかを質疑した。具体的には、巡回で把握したイノシシの出没地点、獣道、侵入経路などの情報を、箱わなの設置・移設や加害個体の捕獲に活用することまで想定しているのかを確認した。また、事業のKPIについても質した。

市は、両事業はいずれも有害鳥獣対策ではあるものの、現時点では直接連動した事業ではないと説明。水田被害防止巡回事業は、猟銃を所持したハンターが水田周辺を定期的に巡回し、イノシシを発見した場合に捕獲や追い払いを行うものと答弁した。KPIについては、イノシシの有害鳥獣捕獲50頭を目標としているとした。

2回目の質疑では、中西議員が箱わなの追加購入が福江島を中心としている点を取り上げ、奈留島や嵯峨島など二次離島での対策状況を確認した。

市は、すでに奈留島に3基、久賀島に61基の箱わなを設置していると説明し、それぞれ既存の設備による対応が行われていると答弁した。

3回目では、中西議員が改めて、巡回によって得られたイノシシの目撃情報などを箱わな対策に生かす、一体的な運用に発展させる考えはないかと質疑。

これに対し市は、ハンターが巡回時に把握したイノシシ等の情報については共有していく考えを示した。

ポイント
当初は「直接の関係はない」としたものの、最終的には巡回情報を共有する方針が示され、今後、追い払いと捕獲を連動させる余地が確認された。

2.「五島〆」販売拡大事業について

中西議員は、事業説明で「漁業者の所得向上が期待できる」とされていることから、五島〆の販売拡大によって、実際に漁業者の所得がどの程度増えているのか市は把握しているのかと質疑した。

市は、インドネシア・ジャカルタで開催されるASEAN日本政府代表部主催の和食レセプションに五島の魚を提供し、ASEAN加盟国の大使等にPRする計画を説明。インドネシアでは日本食市場や水産物需要が拡大しており、輸出促進によって漁業者の所得向上が期待できるとした。

しかし、中西議員は、これは市場の将来性の説明であり、質疑した「漁業者所得を把握しているか」への回答になっていないとして再質疑した。

市は、五島はブリやタイなどさまざまな魚種に利用され、輸出時の販売価格について、五島市内の魚市場価格と比較して1.5倍~2.5倍程度の単価が見込めると説明。前年度は7店舗への輸出実績があり、今後10店舗、20店舗と取扱店を増やすとともに、1店舗当たりの取扱量も増加させたいとした。

一方で、漁業者個人の所得増加額については現段階では算定が難しいと答弁した。

これに対し中西議員は、事業の最終目的が漁業者の所得向上である以上、販売量や販売単価だけでなく、最終的に漁業者の所得がどれだけ増えたかを成果指標として把握する必要性について質疑した。

市は最終答弁で、5年間の販売額を約650万円と見込み、国内販売と比較して1.5倍程度で販売できると仮定すると、国内販売より約220万円の収入増が見込まれるとの試算を示した。さらに輸出事業を継続・拡大することで、漁業者所得の増加につなげたいとの考えを示した。

ポイント
中西議員は「輸出量」や「販売単価」ではなく、政策目的そのものである漁業者所得の増加を成果として測定しないかと質疑。答弁の中で初めて、国内販売比で約220万円の収入増という具体的な試算が示された。

3.地域力創造アドバイザー事業について

中西議員は、持続可能な観光地づくりや財源確保に向けた制度設計を検討するとされている地域力創造アドバイザー事業について、具体的な業務内容と期待する成果物を質疑した。

市は、五島市観光の現状・課題・問題点を整理し、外部の専門家から指導・助言を受けると説明。関係団体や事業者との意見交換などを踏まえ、今後の五島市観光の在り方についての提言を受けることを成果として想定していると答弁した。

中西議員は、既存の観光振興計画ですでに課題が整理されていることから、今回のアドバイザーには、既存課題の確認だけではなく、外部の視点から新たな課題や施策を見いだしてもらうのかと確認した。

市は、既存の観光施策に関する課題への助言に加え、外部の視点から新しい取組についても提言を受けたいとの考えを示した。

3回目の質疑では、中西議員が、事業説明にある「財源の確保等に向けた制度設計」について、観光振興計画でも言及されている入島税や宿泊税などの観光財源の検討と関係するのかと質疑した。

市は、持続可能な観光地域づくりには、継続的な事業実施を支える安定財源が重要とした上で、他自治体の事例も参考にしながら観光財源の在り方を幅広く検討すると答弁。さらに、入島税や宿泊税も選択肢として検討対象になるとの認識を示した。

網本定信 議員の議案質疑

防災対策推進事業について

第1回質疑では、防災ラジオの導入について、配布対象となる世帯の範囲、対象世帯数、今回購入する台数など、事業の対象と規模を質疑。

市は、対象として想定しているのは75歳以上の高齢者のみで構成される世帯で、事業検討時点の令和7年8月現在で約4,948世帯あると説明した。

一方、防災行政無線の電波が届きにくい地域などで既に個別受信機を貸し出している世帯が154世帯あり、それらを踏まえ、希望する世帯に防災ラジオを配布する考えを示した。

今回の補正では250台分を計上しているが、現時点では希望世帯数が把握できないため、まず一定規模で開始し、希望者が多い場合は次年度以降の追加導入を検討すると答弁した。

2回目質疑では、250台の導入だけでは対象となり得る全世帯をカバーできないことから、最終的に必要な世帯へ確実に防災情報を届ける体制をどのように構築していくのかを質疑。

あわせて、ラジオを配布するだけでなく、災害時に実際に利用されるのか、導入後の利用状況や効果をどのように検証するのかを質した。

市は、防災行政無線を情報伝達の中心としつつ、電波が届きにくい地域があることを認識していると説明。ケーブルテレビ回線を利用する防災ラジオのほか、SNSなども組み合わせて複数の手段で防災情報を伝達する考えを示した。

また、導入世帯は把握できることから、配布後に利用状況等を調査し、防災ラジオの効果について検証していくと答弁した。

第3回質疑では、防災ラジオ関係予算について、計上額の内訳とラジオ1台当たりの単価を質疑。

さらに、別に計上されているコミュニティ助成防災対策事業約212万9,000円について、備蓄ラジオ、ポータブル電源、LEDランタン等を、今回の防災ラジオ対象世帯へ配布するものなのか、それとも町内会等を対象とするものなのかを確認した。

市は、防災ラジオ本体を1台約1万3,070円として積算しているほか、防災情報を受信するための機器・システム設定、初期費用などを含めて予算計上していると説明した。

コミュニティ助成防災対策事業については、今回の250世帯への個別配布とは別事業で、町内会を中心に組織される自主防災組織から希望を取り、ラジオ、ポータブル電源、LEDランタン等を整備・貸与するものと答弁した。

質疑で確認された主な事項

今回の防災ラジオ250台は対象世帯すべてへの一斉配布ではなく、まず希望状況を確認するための導入規模であること、需要に応じて次年度以降の追加導入を検討することが確認された。また、防災行政無線、防災ラジオ、SNSなどを組み合わせた複数の情報伝達手段を用いる方針も示された。


訴訟対応業務について

第1回質疑では、今回補正する訴訟対応経費について、市が通常締結している顧問弁護士との契約との関係、今回の委託対象となる訴訟、予算の内容を質疑。

市は、顧問弁護士契約は法律相談、契約相談、定期相談などを対象としたものであり、具体的な訴訟対応は顧問契約の範囲外であるため、訴訟ごとに別途委託契約を締結すると説明した。

今回の補正では、既に提起され現在係争中の訴訟について、年度内に訴訟が終了し市側が勝訴した場合に支払う成功報酬等に加え、今後新たな訴訟が提起された場合に備え、3件分の訴訟対応経費を見込んでいると答弁した。

第2回質疑では、補正額が約667万円となっていることから、なぜこの金額が必要なのか、弁護士報酬、訴訟対応に伴う経費など、具体的な積算内容を質疑。

市は、現在係争中の案件について、勝訴した場合の成功報酬等として合計355万円程度を見込んでいると説明した。

答弁内容を整理すると、現在の案件については、

成功報酬66万円×5件+実費相当額5万円×5件=355万円

を想定している。

さらに、今後新たに訴訟が発生する場合に備えた3件について、

着手金33万円+成功報酬66万円+実費相当額5万円=1件104万円

として、

104万円×3件=312万円

を計上しており、

355万円+312万円=667万円

という積算になっている。

第3回質疑では、市税を財源として訴訟費用を支出することから、市として訴訟対応にどのような基本的考え方で臨んでいるのかを質疑。

また、訴訟が長期化した場合に、今後さらに弁護士費用等が増加する可能性があるのか、現時点でどの程度の財政負担を想定しているのかを確認した。

市は、現在継続している案件の中には、住民監査請求を経て住民訴訟となっているものなどがあり、年度内に判決等が出ることを想定して成功報酬を計上していると説明。

さらに、現在行われている住民監査請求等が今後住民訴訟に発展する可能性も考慮し、あらかじめ3件分の着手金等を予算化していると答弁した。

質疑で確認された主な事項

今回の667万円は漠然とした予備費ではなく、現在係争中の5件の成功報酬等と、今後発生する可能性を見込んだ3件分の訴訟経費を積み上げたものであることが確認された。また、通常の顧問弁護士契約とは別に、訴訟案件ごとに委託契約が必要となることも明らかになった。

公共施設解体事業について

第1回質疑では、公共施設解体事業について、今回対象となる施設と、補正予算の具体的な内容を質疑。

市は、今回の対象施設として、

  • 玉之浦町にある五島市消防団旧第15分団第2部車庫
  • もう1施設の公共施設

を挙げた。

2施設目については聞き取りが不鮮明で、「奈留町の水産荷さばき所」に相当する施設名と読み取れますが、要確認です。

今回の補正額139万7,000円の内訳については、

解体設計委託料47万3,000円
アスベスト含有調査等92万4,000円

と説明した。

第2回質疑では、補正額139万7,000円について、実際の解体工事費なのか、それとも解体に向けた調査・設計費なのかを質疑。

市は、今回計上しているのは設計・調査段階の費用であり、実際の解体工事費ではないと説明。解体工事については、翌年度以降に予算措置する予定と答弁した。

第3回質疑では、今後実際に解体する際の解体費用の見通し、解体後の土地の活用方法を質疑。

あわせて、今回の2施設だけではなく、今後10年間程度でどの施設を整理・解体していく予定なのか、施設整理の計画について確認した。

市は、今回の対象施設について、現時点では解体後の具体的な利用計画はないと説明。更地にした後、売却や貸付け等の情報を公募・公開し、希望者を募ることを想定しているとした。

また、今後解体を予定している主な施設の例として、旧大宝小学校などを挙げ、旧大宝小学校については解体費を約1億円規模と見込んでいる旨の答弁があった。

山崎早苗 議員の議案質疑

訴訟対応業務について

訴訟対応業務については、第1回質疑で、今回計上されている訴訟対応経費について、現在どのような訴訟を対象としているのか、また今後どのような訴訟を想定して予算を計上しているのかを質した。

市は、現在係争中の案件として、住民訴訟4件と取消訴訟等1件の計5件があり、これらが年度内に終了し、市が勝訴した場合に弁護士へ支払う成功報酬等を計上していると説明した。

また、今後どのような訴訟が提起されるかは現時点では確定できないものの、住民訴訟の前段となる住民監査請求が行われていることなどを踏まえ、今後新たに訴訟が提起された場合に備えた経費も予算化していると答弁した。

地域力創造アドバイザー事業

第1回質疑で、この制度が必ず外部アドバイザーを活用しなければならない事業なのか、それとも市や関係事業者等が自ら現状分析や課題整理を行うことも可能な制度なのかを質した。

市は、国の地域力創造アドバイザー制度を活用する事業であると説明した。その上で、市内の観光関係事業者等とは従来から意見交換を行っているものの、今回の事業では、外部の専門的な視点から観光振興について助言を受けることを想定していると答弁した。

第2回質疑では、五島市として実際にアドバイザーを活用するのであれば、既に候補者が決まっているのか、それとも今後選定するのか、またどのような基準で選ぶのかを質した。

市は、総務省の「地域人材ネット」に登録されている山田桂一郎氏をアドバイザーとして想定していると答弁した。山田氏について、観光振興、地域経営、マーケティング、人材育成などに携わってきた専門家であり、今回の事業に適任と判断していると説明した。

第3回質疑では、山田氏をアドバイザーとして想定しているのであれば、具体的にどのような内容で助言を受けるのか、事業の進め方について既に一定の計画があるのかを質した。

市は、今後の新たな観光の在り方や、持続可能な観光地域づくりなどについて検討するため、アドバイザーから助言を受ける予定であると答弁した。

この質疑を通して、単に制度を活用するというだけではなく、アドバイザー候補者まで具体化されており、観光の新たな在り方や持続可能な観光地づくりについて専門的助言を受ける事業であることが確認された。

地域農業構造転換支援事業

第1回質疑で、どのような農業者が対象となる事業なのか、また数ある農業関係の支援制度の中で、この事業にはどのような特徴があるのかを質した。

市は、国や県には、対象者や取組内容に応じて複数の農業支援制度があり、農業者から機械や施設導入の要望があった際には、経営状況等を確認し、県とも協議しながら活用可能な制度を選定していると説明した。

今回の地域農業構造転換支援事業については、農業者の減少が進む中で、将来地域の農地を引き受ける中核的な担い手の経営基盤を強化するため、農業用機械や施設の導入を支援する国の事業であると説明。対象は認定農業者等で、経営規模の拡大や労働生産性向上などの目標達成に必要な機械等を導入する場合に支援するもので、補助率は事業費の10分の3以内とした。

また、この制度の特徴について、単なる既存農業機械の更新支援ではなく、将来的に地域の農地を引き受ける担い手の経営発展を支援する制度であること、市の一般財源による負担はないことを答弁した。

第2回質疑では、今回実際に支援対象となる農業者が、どのような経営を行っている農業者なのかを質した。

市は、今回の事業は、将来的に地域の農地を集約しながら農業経営を行っていく地域の担い手の経営を支援するものと説明したが、この段階では具体的な農家の経営内容までは答弁しなかった。

第3回質疑では、今回の対象農業者について、事業で設定される成果目標のうち、どの目標を達成することを想定して採択されたのか、また対象となった農家の具体的な経営目標について質した。

市は、今回の農業者から農業機械導入の要望があり、その経営内容等を確認した結果、この補助事業を活用することが最適であると判断したと説明した。また、具体的な成果目標について、現在の経営面積を5ヘクタールまで拡大することを目標としていると答弁した。

この質疑を通して、地域農業構造転換支援事業については、単なる機械購入補助ではなく、地域の担い手が農地を引き受けて経営規模を拡大することを前提とした支援であり、今回の対象者については経営面積を5ヘクタールまで拡大するという具体的な成果目標が設定されていることが確認された。