3の倍数月で行われる議案質疑では、私は毎回質疑をするようにしています。
ただこれは「質疑すること」自体が目的ではなく、疑義を通じてよりよい政策決定につなげてほしい、という想いからです。
誤解のないように一応述べておくと、決して重箱の隅をつつく様な粗探しをしたり、理事者を攻撃するためではありません。
今回、地方自治における「予算の使い方」に関して、「目的」と数値目標のズレが甚だしいように感じたので紹介します。
五島〆のPRを行うことで、漁業者所得の向上を期待している という政策ですが、肝心の「政策目的」の確認が不十分かではないかと思っています。
議案質疑では、市は当初、インドネシア市場の成長性や輸出価格を説明したものの、漁業者個人の所得増加額は「算定が難しい」と答弁しています。3回目になって初めて、5年間の販売額約650万円、国内販売と比べ約220万円の収入増という数字が示されています。
ここで最も重要なのは、「220万円」は所得増ではなく収入増であることです。
「所得向上」を政策効果として掲げる以上、
輸出先販売額 − 輸出関連経費
を見るのではなく、さらに、
五島〆に取り組む漁業者が国内通常出荷した場合の手取り額と、輸出向けに出荷した場合の手取り額との差
を把握しなければ政策目的を検証できません。
例えば、通常1万円で市場出荷される魚が海外で2万円で販売されても、漁業者への支払額が1万1千円で、残り9千円が加工・梱包・航空輸送・通関・輸入者・販売店等に配分されれば、漁業者所得への効果は1千円です。したがって、市が示した「1.5~2.5倍」という数字だけから所得向上を説明するのは論理的に飛躍しています。議案質疑でここまで数字が出たことで、むしろこの問題が明確になっています。
五島市が目指すKPIは?
また、五島市の現行総合戦略では五島〆のブランド化・販路拡大を掲げていますが、成果指標は「五島〆の匠認定者数」で、2023年度28人から2029年度35人という設定です。漁家所得や五島〆販売額そのものは主要KPIになっていません。
これは、
政策説明=所得向上
政策KPI=認定者数
議会答弁=店舗数・販売価格・収入増
と、評価軸が三つに分裂している状態です。
常任委員会で確認すべき観点
議案質疑を行うことで、質疑回数の制限がない常任委員会で、より深堀の質問が可能です。以下、大事と考えられる観点です。
7月イベントの成果を検証する。
「7月1日にも同じASEAN日本政府代表部主催イベントで約550人に五島〆をPRしている。その結果、問い合わせ、商談、成約、新規店舗、受注量、販売額はそれぞれ何件・何kg・何円だったのか。」
264万円のコーディネート料を分解する。
「主催者はASEAN日本政府代表部であるにもかかわらず、イベントコーディネートに264万円を要する具体的業務は何か。魚の調達、輸送、通関、現地営業、商談設定など、それぞれの積算と成果物は何か。」
今回の380.4万円の約69%を占める264万円の委託料については、予算委員会では契約予定先、契約方式、見積書の内訳、7月イベントとの業務の重複、当初予算220.2万円の補助事業との役割分担まで確認する必要があります。ここを確認すると、単なる「費用対効果が悪そう」という議論から、具体的な予算審査に踏み込めます。
