目次
五島市水道事業 意見交換会 議事録整理
五島市水道事業の現状や今後の経営課題について、関係団体・市民代表等に説明し、意見交換を行う会議が開催されました。以下、会議内容を整理します。
1. 開会
水道局より開会の挨拶があり、配布資料の確認が行われました。
本会は、五島市水道事業の現状や今後の経営課題について、関係団体や市民代表等に説明し、意見交換を行うことを目的として開催されました。
2. 冒頭挨拶・開催趣旨
担当課長より、五島市水道事業の現状と、今回の意見交換会の開催趣旨について説明がありました。
- 前年度は降水量が少なく、ダムの貯水量等が心配されていた。
- 3月・4月に一定の降雨があり、現時点ではひとまず安心している。
- 水道事業では、10年間の計画である「経営戦略」を作成している。
- 経営戦略には、経営実績、水道管の老朽化状況、人口推計、料金収入の見通しなどが含まれる。
- 人口減少による料金収入の減少、施設の老朽化により、今後さらに厳しい経営状況が予測されている。
- 水道事業を健全に維持するためには、早めの対策が必要である。
- 他自治体の事例も参考にしながら、水道事業の経営を検討する組織の設置を予定している。
- 今回の意見交換会は、その前段階として開催されたものである。
今後、条例改正等を経て正式な検討組織を設置する予定であり、今回出席した方々の一部には、その委員として参加をお願いしたいとの説明がありました。
3. 出席者紹介
以下の団体・関係者が紹介されました。
- 五島市議会関係者(総務水道委員会の委員)
- 五島文化団体協議会関係者
- 福江商工会議所
- 生活研究グループ
- 五島協同組合関係者
- 福江青年会議所
- 五島商工会
- 水道事業経験者
- 五島市食生活改善推進協議会
- 五島市町内会連合会
4. 水道事業の給水区域・施設の概要
4-1. 五島市全体の水道事業
五島市の水道事業は、以下のように区分されています。
| 区分 | 概要 |
|---|---|
| 上水道事業 | 計画給水人口が5,001人以上の事業 |
| 簡易水道事業 | 計画給水人口が5,000人以下の事業 |
| 飲料水供給施設 | 給水人口100人以下の飲料水供給施設 |
五島市全体では、上水道事業が1つ、簡易水道事業が4つ、飲料水供給施設が1つとなっています。
水道管の延長は、全体で約613kmと説明されました。内訳は、上水道が約527km、簡易水道が約86km。
5. 地区別の給水人口・施設状況
5-1. 富江地区
- 現在の給水人口:約3,892人
- 合併時は、富江地区の上水道と複数の簡易水道が存在していた。
- その後、簡易水道の一部が富江地区上水道に統合された。
- 現在は、すべて五島市上水道事業へ統合されている。
5-2. 玉之浦地区
- 現在の給水人口:約1,111人
- 合併時は、玉之浦、大宝、中須、荒川、丹奈など複数の簡易水道があった。
- その後、玉之浦地区簡易水道として統合された。
- 現在は、上水道事業へ統合されている。
5-3. 三井楽地区
- 現在の給水人口:約2,279人
- 複数の簡易水道が統合された後、上水道事業へ統合されている。
- 浄水場は2か所あるとの説明があった。
5-4. 岐宿地区
- 現在の給水人口:約2,793人
- 複数の簡易水道と飲料水供給施設が統合された。
- 現在は、上水道事業へ統合されている。
- 複数の浄水場があるとの説明があった。
5-5. 福江地区
- 現在の給水人口:約20,901人
- 福江地区では、上水道、簡易水道、飲料水供給施設が統合され、五島市水道事業へ事業統合されている。
- 浄水場は籠淵、三尾野付近の2か所と説明された。
5-6. 奈留地区
- 現在の給水人口:約1,729人
- 中央地区と西部地区の2つの簡易水道が統合され、現在は奈留地区簡易水道となっている。
- 浄水場は3か所あるとの説明があった。
5-7. 久賀地区
- 現在の給水人口:約147人
- 複数の簡易水道が統合され、現在は久賀地区簡易水道となっている。
- 浄水場は4か所あるとの説明があった。
5-8. 椛島地区
- 現在の給水人口:約52人
- 元釜、伊福貴の2つの簡易水道が統合され、現在は椛島簡易水道となっている。
- 浄水場は2か所あるとの説明があった。
6. 水道事業統合の経緯
合併当初は、以下のように多数の水道事業が存在していました。
- 上水道:2事業
- 簡易水道:34事業
- 飲料水供給施設:4施設
その後、地区ごとの簡易水道統合が進められ、平成29年度には、奈留地区・久賀地区・椛島地区を除いた簡易水道が上水道へ事業統合されました。
現在は、以下の体制となっています。
- 上水道:1事業
- 簡易水道:3事業
- 飲料水供給施設:1施設
また、令和2年度には、簡易水道および飲料水供給施設も上水道と同じ公営企業会計へ移行し、経営が一体化されました。
7. 給水人口の推移
給水人口は、平成27年度から令和6年度までの10年間で、約5,000人、率にして約13%減少しています。
平成28年度から平成29年度にかけて、上水道と簡易水道の数値が大きく変動していますが、これは簡易水道の一部が上水道へ統合された影響です。
全体の給水人口として見ると、減少傾向は一貫して続いています。
令和7年度以降は見込み値であり、行政人口・給水人口ともに今後も減少していく見通しです。
8. 施設の老朽化と健全度
8-1. 更新を行わなかった場合
水道管について、以下の区分で健全度が示されました。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 健全管路 | 法定耐用年数40年未満 |
| 経年化管路 | 40年以上60年未満 |
| 老朽化管路 | 60年以上 |
施設更新を行わなかった場合、約9年後の2035年には、健全な管路が半分以下になる見込みです。
構造物や設備については、管路に比べると老朽化の進行は緩やかであるものの、2040年頃には健全なものが約半分になる見込みです。
8-2. 更新事業を平準化して実施した場合
毎年度、概ね4億円程度の改良事業を継続して行った場合、管路の健全度は一定程度保たれる見通しです。
一方、構造物や設備については、2065年から2070年頃に更新時期が集中するため、改良事業が追いつかず、一時的に健全度が厳しい状態になる見込みです。
その後、更新が進めば健全度は改善していくと説明されました。
9. 水道事業会計の仕組み
水道事業の会計は、法令上、以下の2つに分けて整理されています。
9-1. 収益的収支、いわゆる3条収支
3条収支は、日常的な水道事業の運営に関する収入・支出です。
主な収入は水道料金収入であり、収入全体の約9割を占めます。
主な支出は以下のとおりです。
- 人件費
- 施設の動力費
- 委託料
- 維持管理費
9-2. 資本的収支、いわゆる4条収支
4条収支は、浄水場や水道管などの整備・更新に関する収入・支出です。
主な収入は以下のとおりです。
- 企業債の借入
- 国の補助金
主な支出は以下のとおりです。
- 工事費
- 企業債の元金償還金
4条収支は、企業債や補助金だけでは支出をまかなえないため、不足額が発生します。
この不足額は、3条収支の純利益や減価償却費など、補填が認められている財源から補填しています。
10. 収支見通し
令和2年度から令和6年度までは実績、令和7年度以降は見込みとして、収益的収支の見通しが示されました。
今後の傾向として、以下の説明がありました。
- 料金収入は、給水人口の減少により減少していく。
- 支出は、施設の老朽化や物価高騰により増加傾向となる。
- 令和8年度から、支出が収入を上回る見込みである。
- その結果、純利益はマイナスになる見込みである。
11. 水道料金収入の推移
平成27年度から令和6年度までの10年間で、水道料金収入は減少しています。
- 減少率:約4.7%
- 減少額:約3,350万円程度
今後の見通しとして、令和16年度には令和6年度実績と比較して、約1億2,000万円の減少となる見込みです。
令和16年度の料金収入は、令和6年度の約82%程度まで低下する見通しと説明されました。
12. 現在の水道料金
一般家庭で多く使用されている口径13mmの場合、基本料金は以下のとおりです。
- 5トン以下:750円
- 5トンを超えた分:1トンごとに160円
- メーター使用料:13mmの場合100円
- 上記に消費税が加算される
例えば、7トン使用した場合は、5トンを超える2トン分について、160円×2=320円が加算されます。
また、口径が大きい事業所等では、別の料金体系が適用されます。
現在の料金体系は、平成19年4月1日に市町村合併時の旧市町の料金を合わせる形で改定されたものです。
13. 質疑応答・意見交換
質問1:基本料金と超過料金の考え方について
質問:
一般家庭の基本料金は5トン以下で750円という理解でよいか。6トン、7トン、8トンと使用した場合、超過分は1トンごとに160円ずつ加算されるのか。
回答:
その理解でよい。5トンを超えた分について、1トンごとに160円が加算される。
質問2:収支見通しは、施設更新を行う場合の試算か
質問:
資料では、更新をしなかった場合と、更新を行った場合の健全度が示されている。一方で、収支見通しでは赤字が増えていくと説明されている。
この収支見通しは、施設更新を行わない場合の試算なのか、それとも毎年4億円程度の更新を行う場合の試算なのか。
回答:
収支見通しは、施設更新を行う前提での試算である。
ただし、更新工事費そのものは4条収支に計上されるため、3条収支に直接工事費が入るわけではない。
しかし、施設を更新すると減価償却費が増加するため、結果として3条収支の純利益が圧迫され、赤字が膨らんでいく見込みとなる。
質問3:現金残高と資金枯渇の見通しについて
質問:
資料では、現状のままでは令和16年度頃に現金が枯渇するとある。現在の現金残高はいくらあるのか。どのようなシミュレーションで資金が減っていくのか。
回答:
詳細資料は手元にないが、現在の現金残高はおおよそ8億円から9億円程度と認識している。銀行預金や定期預金で管理している。その資金が今後減少していく見通しである。
質問4:今回の会議の位置づけ・目的について
質問:
今回の意見交換会がどういう目的・権限を持つ会議なのか分かりにくい。出席者は利用者側・市民側の立場でもあり、水道事業の仕組みに詳しいわけではない。
以下の点を明確にしてほしいとの意見がありました。
- この会議は何を目的としたものか
- 出席者はどういう立場で意見を言えばよいのか
- 今後も会議があるのか
- 最終的に料金改定につながる話なのか
回答:
今回の会議は、正式な審議会ではなく、今後の検討に向けた前段階の意見交換会である。
今後、議会で条例改正を行い、水道事業の経営について審議する組織を設置する予定である。その組織では、料金改定を含め、水道事業を今後どのように運営していくかを審議してもらうことになる。
今回出席した方々の一部には、今後設置する組織の委員として参加をお願いしたいと考えている。
ただし、市議会議員は条例上、委員にはならない見込みであり、今回の参加までとなる。
質問5:水道料金の値上げが目的なのか
意見:
率直に言えば、今回の話は水道料金の値上げに向けた説明ではないのか。市民・利用者の立場からすれば、値上げは困る。他の方法がないのかも含めて議論すべきである。
回答:
現時点で料金改定を決定しているわけではない。ただし、今後の水道事業の経営を考える上で、料金改定も含めた検討が必要になる可能性はある。
正式な審議会が設置された後、経営状況や施設更新の必要性などを踏まえ、どうするべきかを議論していただく。
仮に料金改定が必要となった場合でも、最終的には議会に諮る必要がある。
質問6:今後のスケジュールについて
質問:
今後、審議会はいつ頃設置され、何回程度開催される予定か。
回答:
次の議会で条例改正が成立すれば、7月頃に審議会を立ち上げる予定である。開催回数は、現時点では4回程度を想定している。ただし、議論の内容によって回数は変わる可能性がある。
質問7:人口減少地域・無住地域の水道施設維持について
質問:
今後、人口減少により、郡部や過疎地域では住民がいなくなる場所も出てくると思われる。そのような地域の水道管や施設は、どの程度維持するのか。
一時的に人がいなくなった地域でも、1年後、2年後に誰かが戻ってくる可能性がある。水を通さないままにすると、水道管の劣化や再開時の問題が生じるのではないか。
回答:
現在1人でも住んでいる場合は、水を供給し続ける必要がある。
完全に誰も使わない状態になった場合、水を作ることを止める可能性はある。ただし、将来的に戻ってくる可能性がある場合、施設を完全に撤去するのではなく、休止という形で維持することが考えられる。
一度施設を廃止してしまうと、再び水道を整備するには大きな費用がかかる。そのため、維持したまま休止し、必要になれば再開できる形が望ましいと考えられる。
ただし、これまで人口がいなくなったことを理由に施設を止めた経験はなく、具体的な対応については今後の課題である。
14. 主な論点整理
14-1. 水道事業の経営悪化
- 給水人口の減少により、料金収入が減少している。
- 今後も人口減少が続く見込みであり、料金収入はさらに減少する。
- 一方で、老朽化施設の維持管理・更新費用は増加していく。
14-2. 施設老朽化への対応
- 更新を行わなければ、2035年頃には健全な管路が半分以下になる見込み。
- 更新を行う場合でも、毎年4億円程度の事業費が必要とされる。
- 構造物・設備については、将来的に更新時期が集中する可能性がある。
14-3. 料金改定の可能性
- 現時点で料金改定が決定しているわけではない。
- しかし、今後の経営を維持するため、料金改定を含めた検討は避けられない可能性がある。
- 市民・利用者側からは、値上げへの強い懸念が示された。
- 料金改定以外の方法も含めて検討する必要がある。
14-4. 会議体の位置づけ
- 今回の会議は、正式な審議会ではなく、事前の意見交換・勉強会の性格が強い。
- 今後、条例改正を経て正式な審議組織を設置する予定。
- その中で、水道事業の経営、料金、施設更新などについて具体的に議論される。
14-5. 過疎地域の水道維持
- 人口減少地域でどこまで水道施設を維持するかは大きな課題である。
- 1人でも利用者がいれば供給を続ける必要がある。
- 無住化した地域については、休止・再開可能な維持方法も含めた検討が必要である。
15. 今後の予定
- 次回議会で、審議会設置に関する条例改正を予定。
- 条例改正が成立すれば、7月頃に審議会を設置予定。
- 審議会は4回程度を想定。
- 審議会では、水道事業の経営方針、施設更新、料金改定の必要性などを検討する。
- 料金改定を行う場合は、審議会での議論を経たうえで、最終的に議会での議決が必要となる。
16.中西議員の感想
合意形成のためのプロセスの一環のように感じられました。
施設の老朽化・人口減少を考えれば、水道料金の値上げは避けられない側面があるかと思います。
しかし問題はその中身で、どういった負担の割合にするのか、段階的に行うのか、低所得世帯への配慮措置はあるのか等、論点は多岐に渡ります。
そうした事も含めて、審議員に選任された方々も必ずしも専門的な知見を持ち合わせていない為、まずはたたき台を作成する必要があります。全国の事例をAIで収集して、住民負担や行政コストの最小化、施設更新の最適化に関する妥協点を見つける事が大切です。
