【2023年10/30,/31】全国地方議員交流研修会in長崎に参加しました

全国地方議員交流研修会in長崎に参加しました。

会場には100名以上の地方議員の方や、全国から政治に関心が高い方が集まっていました。

http://kokuminrengo.net/19zenkokutihougiin/

会は2日間で行われ、初日は基調講演と各議員の発表、2日目は分科会に分かれての勉強会、全体講演となりました。

会のプログラムは、以下のサイトの情報が参考になります。

https://go2senkyo.com/seijika/168315/posts/798462

記念講演

テーマ「長崎からアジアの平和を展望する」

講師:孫崎享氏 東アジア共同体研究所長・元外務省情報局長

関連動画

軍備増強ではなくアジアとの交流を通じて地域経済の発展を

2日目は1~4の分科会に分かれて意見交換会が行われました。私は以下の分科会に参加。

・テーマ「軍備増強ではなくアジアとの交流を通じて地域経済の発展を」

事例報告 沖縄をハブとする地域外交とその展望  國仲昌司氏

以下、講演の内容のメモです。

沖縄の現状と報告

1.なぜ基地が集中しているのか

米軍基地は元々90%が本土にあったが、本土では反米基地闘争があり、政府は海兵隊を沖縄に移した。

1972年に本土復帰したときは本土と沖縄の基地比率は50対50。本土の基地は沖縄に移転。本土3割沖縄7割。

2012年の森大臣は、政治的に沖縄が最適だと発言。軍事的な優位性を保つ理由ではないと。

ジョセフナイ氏は「沖縄は中国に近すぎて脆弱」と発言。他の高官も、日本政府が求めれば普天間でなくて別の場所でも良いと発言。

米国のシミュレーションでも、日本本土が攻撃を受けるとされているが、沖縄だけが巻き込まれるという意識がある。

近年では、保育園にヘリの備品が落下し抗議したところ、保育園に誹謗の嵐が。小学校でも同様の事案が発生。

沖縄に基地が集中するのは当たり前と刷り込まれている。

「台湾有事を煽られても、『日本本土は大丈夫』と考えている人が多数ではないか。」

「沖縄に基地が集中するのは仕方ない」という意識を変えないと。

2.安保関連3文書の影響

長射程ミサイルを保有して基地に配備する計画。南西諸島が対象。いつでも軍事利用できるように整備する。

第15旅団を師団に強化し、基地負担の増加が増える。平和外交を構築すべきとの意見が出てきた。台湾独立は、日本だけが前のめりになっている。

訓練の一環として南西諸島の港湾に入るのは当たり前だという意識が醸成されている。民間の港湾を軍艦が利用する実績を作る狙いがある。

与那国島では大きな港湾施設を整備しようとしている。駐屯地を整備すると地元の声は無視されると受け止められている。

オスプレイが空港に3日連続緊急着陸。石垣はオスプレイを使用した訓練。鹿児島の無人偵察機は嘉手納基地に整備。

田岡俊次さんの指摘 「日本が軍事費を2倍とする事で、アメリカの国益は確保されたから、法案決定後、アメリカは中国との向き合いを変えた」との事。

3.辺野古の埋め立て不承認の裁判

軟弱地盤や活断層があるとの事だが、変更申請を出してきた。国は3年前から把握していたが存在を隠して埋め立て承認を得たのではないか。

軟弱地盤は政府に報告され深刻に捉えているが明確に認めなかった。

最深は90mでマヨネーズのような地盤。1番深い所の地点を調査してくれと言っているが、国は推定値で設計変更を出してきており、調査不十分としている。

行政不服審査法で国に申し立てる仕組みがあるが、防衛省が個人になりすまし、国土交通省に申請をした。国が1人2役として私人なりすましを認めている。

これが通用すると、地方自治は何なのかとなる。国が救済措置を求めれば、全て国の思い通りになる。これが今回の裁判の恐ろしい点。

工事の安全性を危惧して承認できないとしても、裁判所は触れない。裁判官は知事の裁量権の逸脱があると言っている。

耐震の問題も震度1,2レベルで沈下するのではと言われているが裁判所は触れていない。埋め立ての公益は色々あるが、最低でも工事は12年間かかる。もしかしたら20年かかるかもしれない。

深い所や軟弱地盤を考えると予算は5〜6倍超になるのではと言われている。辺野古の基地が出来ても、米軍が普天間地下から撤退しない可能性もある。

稲田大臣も辺野古移転の可能性は断言できないと答弁して問題になった。日本政府の在り方、税金の使い方に声をあげなければと思っている。

⚪沖縄の対応

平和外交室を作り事業計画を作っている。中国へ行って交流もしている。

質疑応答

⚪質問 中西 軍事力強化によって領海侵犯は減っているのか?

A.実際に中国の船籍は5〜6倍に増えているが、日本の対応とは関係ないと思う。普通は2時間程度ででていく、日本政府が強化したからと言って、中国は辞めない。海上保安庁がやるべきだと思っている。取り締まりを強化すべきと思っている。

孫崎氏コメント.ポツダム宣言では日本は領有権を放棄している。日本も中国も領有権を主張している。どのように紛争しないかが大事。法的な勉強(日中漁業協定)をしてほしい。日本の漁業法は、紛争にしないために、出て行きなさい、という。国際的には日本の領海ではない。合意を日本がない形にしている。

Q .米中の覇権争いで中国を押さえ込もうとしているが、単に米国の軍事予算を増やす事が目的だったのか?

孫崎 アメリカは常に揺れ動いている。ある政策が進めば反対の動きもある。アメリカの主流の人達は、中国に抜かれる事を認めたくないという思いの人が多いので、納得できない潮流がある。中国脅威が基調に流れていく。

Q .西側のNATOも含め世界情勢の分析が必要。複合的な緊張感系の中で考えなければいけない。防衛省任せではいけない。日本の民自主主義の在り方、どのように展開していけば良いかと思う。

孫崎 政府だけで任せていけない状況。地方発で意見を出す事が重要である。当事者を呼んでくる。中国の人を呼んで議論する事が大事。全て行政で出来ることではない。主体は市民が行う事を援助する動きをしてほしい。県庁の動きを期待していてはダメと思う。
緊張のある人たちとどのように付き合っていけるか。

Q .岩国の事を新聞にしている。看護師として基地問題を扱わなければと思っている。次々と施設が出来上がり、保守的な山口では市長も対抗馬がおらず、盤石な自民党勢力で無風。市街地の状況も低空飛行している。

燃料を積んで軍港も整備されてグリーンビーチが並び戦闘機が並びオスプレイや飛行機が並んでいる。沖縄と同じくらい近く、射程距離に留められている。保守系がシェルターを作りましょうと言っているが、意識の情勢が遅れていると感じている。市民の関心は薄く保守系の議員から監視されている。

Q .仮想敵国脅威論との戦いだと思っている。中国や北朝鮮の脅威、反中プロパガンダで中国叩き。自治体議員として出来ることを考えていきたい。住民自治をするために、何が出来るか考えたい。

⚪地方議員としてできる事 意見交換

Q .今の情勢をどう見るのかが大事。アメリカ支援で中国と戦わされているのを見なければ行けない。基地政策委員会として議会で対応している。11/1に基地との共存を進めようとしている。日本を取り巻く状況は厳しいとあるので、聞いたら「国が言っているから」と。事実は違うでしょと話をした。
農業振興の中で食べ物がなくなるとの警鐘もある。これはどこの自治体でも出来る話。

Q .基地を増やしてほしくないため毎年沖縄から招聘している。映画公演をしているが、戦争を止めるために映画をした。
環境の町を目指しているので、中国から環境活動をする人を誘致する。研究者と餃子を作ったりしている。国際的な関係を取り戻すことを地域として行う必要がある。アジアとの協働の交流をしていかないと、視点を変えないとと思っている。

Q .一次情報を得るためには対話が必要。相手は中国。廈門市と姉妹都市提携を結んでいる。岩国市と姉妹都市を結ぼうとしている。普天間基地の固定化に繋がるのではないかと思っている。しっかりバランスを取ってどちらとも仲良くして行くことを地域レベルで実践出来ないか。

Q .保守系が大多数だが、住民は辺野古ではないと。議員の保守系の数と市民が感じている事は違う。大多数が市長と一緒になって誘致に取り組んでいる。市長は国の動向を見て行くとの一点張り。市民は諦めムード。中国と沖縄は友好関係なので、政府がそう言っている事をメディアが書き立てている。県民はそう思っていない。
アジアの貿易都市として発展していきたいが、アメリカ寄りでは未来はないと思う。

特別講演

テーマ「沖縄・長崎からアジアの平和を構築する」

講師:羽場久美子氏 青山学院大学名誉教授
●全体会討論
●アピール採決

全体を通じて

問題提起としては、

日本は米国従属を脱し、アジアとの交流から平和を模索すべきでは?

という内容でした。

確かに沖縄や九州各地では、民主的な手続きを無視する形で強硬的な基地の整備が進められている現状です。

こうした流れを受けて、少なくとも米国主導のアジアでの緊張エスカレーションは避けるべきと考えました。

しかし一方で、成長著しい中国の側に立つべきなのかという問題は、人権や政治体制の違いなど、改めて考えるべき点があるのではないかと思いました。

米中の間で揺れ動く沖縄、九州の問題は、日本全体で考えていくべき問題だと改めて感じました。