地域医療構想とは?新型コロナで加速する変化を分かりやすく解説

地域医療構想ってなに?

新型コロナの影響で地域の医療はどうなるの?

という質問に答えます。

中学生にも分かるように、出来るだけ簡単に説明してみます。

地域医療構想って何?

簡単に言うと、

2025年の高齢者急増に備えて、病床の役割・数を調整したり、地域ごとに準備をしましょう。

という構想です。

病床の役割・数の調整

具体的には、都道府県の単位で「地域の実情」に沿った形で

  • 現在の病床数を把握し
  • 将来の推計を基に
  • 必要な対策を講じる

事が求められます。

サッカー部にたとえると、

  • 現在の部員の数を把握し
  • 適切なポジションを話し合って決め
  • 将来の試合に備えたチーム編成をする

感じです。

地域ごとの準備

「地域医療構想調整会議」という場で、様々な関係者が地域の医療について話し合いをします。

将来必要な病床数

地域医療構想で問題となるのは、

病床の役割と数をどう調整するか?

という事です。

構想では病床数を4つに分類し、将来的に必要な数が算出されています。

  • 高度急性期(命の危険を伴う)
  • 急性期(患者の状態がどんどん変わる)
  • 回復期(リハビリを行い治癒を目指す)
  • 慢性期(長期的な治療と向き合う)

全国的な傾向として、回復期以外の病床数は過剰であるとされ、

回復期の病床数が不足していると言われています。

私が住む長崎県の場合も同様です。

構想区域ごとに作られる

必要な病床数を算出するに当たり、日本全国の都道府県の中で更に341ごとに分けられます。

例えば長崎県の場合、以下のような形で区域が分けられ、その単位で必要な数が算出されます。

五島では高度急性期の必要数が17とされていますが、現在は0です。

お住まいの地域の区分を知りたい場合は、

「〇〇県 地域医療構想」

と検索すると、都道府県の資料が閲覧可能です。

地域医療への影響

市町村にとって心配なのは、

身近な病院やベッドの数が減らされてしまうのではないか・・・?

という事です。

こうした心配が的中する形で、2019年に厚生労働省から

「再編病院リスト」が一方的に公開され、新聞にも掲載されて波紋を呼びました。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50232120W9A920C1MM8000/

五島市長も令和元年6月の議会にて

新聞記事は、実は僕も見まして、えっ、という気はしたんですね。(中略)

そういった意味では、私自身としてはそういった動向(病院再編)というのは

しっかり気をつけながら見なくてはいかん話だろうと思っています。

新型コロナで加速する地域医療構想

新型コロナの感染拡大が広がる地域では、

「医療資源が不足している」

と言われています。

新型コロナの感染拡大は、地域医療構想にどう影響するのでしょうか?

厚労省のワーキンググループで検討された資料を基に概要を紹介します。

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html

露呈した構想の不備

第二回のワーキンググループでは、「従来の地域医療構想」について

病床必要量は、感染症等を対象としておらず、

健康危機管理時における病床のバッファーを想定していない。

と指摘され、

今般のような有事に迅速かつ冷静に対処できるような体制を準備する必要性

が提起されました。具体的には、

各都道府県において、感染症法に基づく「予防計画」を策定し、

感染症指定医療機関の整備や感染症患者の移送体制の確保等の取組を進めています。

国の支援が拡充

新型コロナの感染拡大を受け、国による地域医療構想の実現に向けた支援が拡充されました。

重点支援区域を指定

2025 年において達成すべき医療機能の再編、病床数等の適正化に沿ったものとなるよう、

重点支援区域の設定を通じて国による助言や集中的な支援を行うこととされました。

具体的には

  • 地域の医療提供体制や、医療機能再編等を検討する医療機関に関するデータ分析
  • 関係者との意見調整の場の開催
  • 地域医療介護総合確保基金の令和2年度配分における優先配分
  • 新たな病床ダウンサイジング支援を一層手厚く実施

が挙げられます。

病床の再編を加速

コロナでの医療不足を受け、病床の再編に対する国からの財政支援が行われるようになりました。

具体的には

  • 「病床削減」 に伴う財政支援
  • 「病院統合」 に伴う財政支援

が行われています。

まとめ

記事を最後まで記事を読んで頂きありがとうございます。

地域医療構想は、

  1. 過去の資料の蓄積が多く、
  2. 素人には分かりにくい専門用語や漢字が多く
  3. 様々なデータが出現し

中々理解しづらい面があります。

従来からの流れをまとめると、

  1. 地域医療構想は「地域の実情に見合った」将来推計を基に
  2. 都道府県が主体となって作成してきたが
  3. 新型コロナの感染拡大を受け、考慮すべき範囲が増え
  4. 国が積極的に構想の実現に向けた後押しを進めている

状況です。

 

ただし、コロナ前の段階でさえ、例えば病院の再編を巡って

  • 国の方針
  • 県の方針
  • 地域の実情

には「すれ違い」がありました。

 

地域医療構想の実現に向けては、

コロナで指摘された「デジタル化の遅れ」と同様に、

計画を実現するための国の後押しが加速すると考えられます。

 

それに伴って、県や市町村との「すれ違い」も生じると考えられます。

 

私もまだまだ勉強中の分野ですので、勉強を重ねながら

「より分かりやすい」情報を発信していきます。