五島市では、議事録が公表されるまでに数か月かかりますので、
3月9日に市長から公表された「施政方針」をご紹介します。
以下、「見出し」以外は原文通りとなります。
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4 五島の宝・子どもが育ち、輝く“しま”をつくる
【結婚・出産・子育ての支援】
五島市の令和2年の出生者数は189人と、はじめて190人を下回18 りました。人口減少対策として、自然減をいかに改善していくかが大きな 課題であります。今後、これまでの子育て支援に併せて、結婚や出産を望 む人の希望がかなえられるよう、出会い・結婚・出産支援の強化に努めて まいります。
出会いの支援については、婚活支援団体の活動に対して引き続き助成 するとともに、テレビ等の媒体を活用し、島内の独身男女だけでなく島外 の独身女性も含め、出会いの場の創出に取り組んでまいります。 結婚支援については、令和3年度から福江総合福祉保健センター内に 「結婚支援センター」を開設し、結婚を望む独身男女の相談に対応する体 制を構築します。
また、結婚に伴う新生活のスタートアップに係る費用の 軽減を図るため、新婚世帯を対象に家賃や引っ越し費用等の支援を行い ます。 出産支援については、妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない支援を行うため、4月に「子育て世代包括支援センター」を開設します。
母子保健コーディネーターとして助産師を配置し、妊娠中から産後の 育児不安への相談を強化するとともに、乳幼児健診・家庭訪問・相談事業 を切れ目なく実施しながら安心して子育てできる環境づくりに努めてま いります。また、不妊治療については、国が1月から特定不妊治療に対す る支援を拡充していることから、五島市もこれに併せて治療に係る宿泊 費や交通費の支援拡充を行っております。
子育て支援については、令和元年から開始された幼児教育・保育の無償 化により保育施設等の利用の需要が高まることが予想されることから、 引き続き、保育士の確保や施設整備を支援してまいります。 乳幼児や子どもの医療費の助成については、令和3年度から対象をこ れまでの15歳から18歳に達する日以後の最初の3月31日まで拡充 することを予定しており、子育て世帯のさらなる負担軽減に取り組んで まいります。
家庭環境の多様化や地域社会の変化等を背景に家庭の教育力低下が指 摘される中、保護者等を対象に子育てに関する学びの場と、仲間づくりを 進める「家庭教育学級」及び「子育て出前講座」を提供してまいります。
【教育のしまづくり】
学校施設については、学校施設長寿命化計画に基づき、計画的に老朽化 した学校施設の改修を行ってまいります。 本山小学校については、県道富江福江線交通安全施設等整備工事により、用地の一部を県に道路用地として提供することになりました。
これに 伴い体育館及び横断歩道橋の移転が必要となったため、令和3年度から 体育館新築工事に着手したいと考えております。 新築工事完了後に既設体育館及び横断歩道橋の解体に着手し、道路整 備と並行して横断歩道橋を新設する予定です。 五島南高等学校と奈留高等学校の離島留学制度については、県立高校 の存続及び地域活性化を図るため積極的に推進してまいります。
なお、奈 留地区においては、地元住民と地域おこし協力隊による「奈留しまなび協 議会」が古民家を改修し、定員9名の男子学生寮と多世代交流ができるコ ミュニティスペースを兼ね備えた「しまなび舎 や 」を整備中であり、今月完 成予定となっております。
令和3年度から受入れを開始し、寮の運営のほ か、学生の生活面のサポート、小中高生を対象とした学習支援や体験学習、 住民同士や島外の方との交流促進などに取り組むこととしております。 令和3年度の離島留学生の内定者は、五島南高等学校が9名、奈留高等 学校が12名となっております。
久賀島及び奈留島で実施している「しま留学生受入事業」については、 問合せや現地見学の希望者数が増加傾向にあり、令和3年度は久賀島に 10名、奈留島に3名を受け入れる予定です。また、昨年度からスタート した家族留学制度では、久賀島に1世帯、奈留島に1世帯を受け入れます。
留学生やしま親の不安や悩みの軽減を図るためスクールカウンセラー を配置し、相談体制の充実を図るほか、市内の高校が進学先の一つとなっ ていることから、しま留学と離島留学の連携を推進してまいります。 プロジェクトGについては、市内の全小学校を教育課程特例校に位置 付け、小学校1年生からの英語教育を推進するとともに、外国語指導助手 (ALT)を配置し、ネイティブな英語に触れながら学べる環境の充実を 図ります。
また、小学校6年生と全中学生を対象に外部検定試験を実施す ることにより、「読む」「書く」「聞く」「話す」の4つの領域別の学力状況 を把握し、日常の英語指導に活かす取組を進めてまいります。 郷土愛を醸成する人材育成の取組として、地域の課題を捉え、その解決 に向けて活動する中高生の学びを支援する「ふるさと活性化貢献支援事 業」を実施しております。
今年度は、福江・崎山の2つの中学校と、五島・ 五島南・奈留の3つの高校を指定校に位置付けて支援してまいりました。 今後も様々な学習機会を捉え、ふるさとについて学ぶ機会を拡充し、郷20 土を愛する心の醸成を図ってまいります。 また、小中学校で進めているふるさと学習では、世界遺産やジオパーク に関わる学習の充実を図り、ふるさと五島の魅力を実感できる学習を進 めてまいります。
新図書館建設工事については、コロナによる入札手続きの延期及び入 札の一部不調に加え、建設予定地の土壌汚染対策が必要となったことに 伴い、当初の計画から大幅な遅れが生じております。この土壌汚染対策に ついてでありますが、3,000平方メートル以上の土地について、掘削 などで土地の形質を変更する場合には、土壌汚染対策法の規定により、着 手する日の30日前までに「一定の規模以上の土地の形質の変更届出」が 必要とされていることから、県に提出したところ、土壌汚染調査が必要と 判断されました。
専門機関による土壌汚染調査を実施した結果、敷地内の 一部で基準を超える特定有害物質(六価クロム・ふっ素・砒素)が確認さ れたため、現在、入札手続きを停止しております。 確認された特定有害物質は、地中にあるため飛散の恐れはなく、地下水 汚染も確認されなかったことから直ちに健康への影響はありませんが、 将来、降雨等による地下水汚染が生じる可能性がないとは断定できませ ん。
将来に渡る市民の皆様の安全・安心を最優先とし、基準を超える特定 有害物質が確認された土壌を速やかに除去したいと考えております。な お、今月5日に住民説明会を開催し、近隣住民の皆様に調査結果及び市の 考え方について報告しております。 令和3年度の工事着工に向け、改めて準備を進め、「しまの暮らしをさ さえ、地域をつくる図書館」の基本理念のもと、市民の皆様にとって、学 びの拠点や交流の場となるよう整備を進めてまいります。
五島日本語学校については、運営する学校法人九州総合学院や長崎県 公立大学法人及び県と連携して準備を進め、昨年4月に開校し16名の 留学生を受け入れ、第一歩を踏み出すことができました。開校に至るまで の間、ご支援いただいた地元町内会や市議会及び関係機関の皆様に改め て感謝申し上げます。 また、留学生に対して、地元町内会の皆様はもとより、多くの市民の 方々から物心両面での温かいご支援をいただいていると伺っております。 重ねてお礼申し上げます。
同学院によると、2期生に当たる令和3年度の入学生は27名の予定 とのことです。入学式は4月16日に執り行われる予定であり、今後も総 定員である100名の留学生確保に向けた取組を進めると伺っておりま21 す。 市としては、今後も引き続き、地元町内会を含め関係機関と連携すると ともに、留学生の確保や教育環境の整備など安定した運営が図られるよ う支援してまいります。
文化の振興については、市民の皆様や多くの子ども達が優れた文化芸 術に触れる機会を提供できるよう取り組んでまいります。 令和3年度は、児童向けに演劇など優れた舞台芸術を提供する「青少年 劇場」や、県と連携して東京藝術大学から吹奏楽指導者を招き、市内中高 生を対象とした音楽セミナーと合同演奏発表会の開催を予定しておりま す。
また、山本二三美術館では、山本二三氏のライフワーク「五島百景」 の完成を記念して、五島列島各地での展示会の開催準備を進めています。 8月には長崎県美術館においても「五島百景」の全作品と最新作のアニ メーション背景画による大規模な展示会が予定されており、多くの方に 五島の魅力を発信できる機会になるものと期待しております。 今後も引き続き、市内文化団体への活動支援や一流の文化芸術に触れ る機会を提供し、文化芸術の振興を推進してまいります。
(続く)