人口減少と公共施設
全国の地方自治体には、人口規模に見合わない公共施設が沢山存在します。
例えば五島市では、人口減少の見通しが避けられない中、今後も公共施設の使用頻度が下がると考えられています。
市の「総合施設の管理計画」によると
財政の歳入は減少していくことは必至で、新設はもちろん本市が保有している全ての公共施設を更新・建替えすることは難しく、施設の量や質をそのまま維持することは困難であるといえる。
とされています。
https://www.city.goto.nagasaki.jp/s011/020/010/010/010/988.pdf
具体的に、老朽化する建物については、
今後 40 年間で、公共施設(建築物)の総延床面積を 40%削減する。
という方針を示しています。しかしながら問題は、この計画が10年に1度しか見直されないという点です。
10年も経てば、社会は大きく変化します。
長期的な視点も勿論大事ですが、これから起こるであろう変化を踏まえるならば、1年に1度見直しを行っても良いくらいでしょう。
変化1. 自然災害
公共施設は老朽化だけではなく、自然災害の発生による公共施設の損傷も大きな問題となっています。
2020年12月の五島市議会では、公共施設の管理について、一番多くの質門がされました。
公共施設の一体的な管理に当たっては、人口減少や築年数という情報だけでなく、自然災害による被害や地域社会の変化と言った動的変化も考慮して見直しを行う必要があります。
変化2. デジタル社会の進展
五島市では公共施設を4割減らす方向性(譲渡、廃止)となっていますが、その活用方法については目途が立っていません。
一方で、コロナによって社会のデジタル化は加速し、人の居住についても加速しそうです。
総務省ではテレワークの推進を始め、東京一極集中の解消に向けた動きが今後も加速しそうです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201216/k10012767711000.html
記事によると
会議で菅総理大臣は「新型コロナウイルス感染症を機に、地方に関心が高まっており、活力ある地方を作っていかなければならない」
と述べました。とはいえ、コロナで税収減が避けられない中で、自治体としては新たな受け皿や施設を建設を出来る財政的な余力はありません。
そのため、現在利用方針が立たない公共施設は、こうした都会からの受け皿として活用できる可能性があります。
まとめ
現在、人口減少が止まらない自治体では、公共施設の「総合管理計画」を立てて床面積の削減を目指しています。
これは税収減と人口減が加速するため、当然の流れですが、問題は「今起きている大きな社会変化」に対応しておらず、計画の見直し頻度が遅い点です。(五島市の場合は10年に1度)
大きな変化とは「自然災害」と「DX社会の進展」であり、公共施設を数多く抱える自治体では、都会から流出する関係人口の受け皿として、公共施設の管理計画を見直すことが必要でしょう。
企業誘致を進めたい自治体としては、企業向けに「公共施設案内ツアー」を企画し、地域の内外から「公共施設を有効に活用してくれそうな民間事業者」を集客する方向性が望ましいのではないでしょうか。