地方政治の仕組みってどうなっているのか、ちょっと分からない。
国の政治とどう違うのか、よく分からない。
こんな質問に答えます。
この記事を読むと、「国の政治と地方の政治がどの点で異なるのか」その概要が分かります。
違い1. 政治家の役割が違う
国の政治システムは、三権分立(立法権、行政権、司法権)になっています。
国民が選ぶ政治家は、衆議院議員と参議院議員です。
一方、地方政治のシステムは二元代表制となっており、立法権、司法権がありません。
(条例の制定には、地方議会が関わります)
国 | 地方 | |
立法権 | 国会議員(衆議院・参議院) | ー |
行政権 | 内閣(国会の議決指名で総理を選ぶ) | (執行機関)首長 (議決期間)地方議員 |
司法権 | 最高裁判官は内閣が任命 | ー |
※赤字は直接選挙で選ばれる人
そのため地方政治では、執行機関で選ばれた首長(知事・市長・町長・村長)と、議決機関で選ばれた地方議員が対等な立場となります。
アメリカの政治も、大統領と議会が別々に選出されるため、二元代表制の仕組みとなっています。
首長の仕事
首長は予算、決算、条例制定、条例改廃、大きな契約の締結などを議会に議案として提案します。
地方議員の仕事
議会は首長の議案を審議し、その可否を決めます。
議員はそれ以外にも、
- 代表質問
- 一般質問
- 総括質疑
で首長の提案に意見したり、住民の声や意見を反映させ、審議の過程で様々な意見を出し合ったりします。
あの件はどうなっているの?
もっと●●に予算を使うべきでは?
国会の代表質問も、同じように内閣に対して国会議員が質問を行います。国会中継で流れていますね。
議会の権限に関する詳細は、こちらの資料が参考になります。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000451021.pdf
違い2. 税収の仕組みが違う
国と地方で大きく異なるのは、税収の仕組みです。
国 | 地方 | |
歳入 | 国税(所得税、法人税、相続税、消費税や酒税など)+公債金(国債など) | 地方税(都道府県税、市町村税、地方法人税、地方消費税、固定資産税など)+公債金(市債など)+地方交付税+国庫支出金 |
歳出 | 社会保障、国債費、地方交付税+国庫支出金、公共事業、防衛、文教及び科学技術振興、その他 | 総務費、民生費、衛生費、学校教育費、労務費など |
注目すべき点は、国→地方へのお金の流れがあるという点です。
細かい科目は割愛していますが、国の歳入&歳出について、図で詳しく見たい方はこちらのページが参考になります。
https://www.mof.go.jp/zaisei/matome/thinkzaisei01.html
通貨発行権が違う
もう一つ大きな違いとして、日本政府は日銀を通じて国債の発行(通貨発行)ができる一方で、地方には通貨を発行する権限がありません。
税収の仕組みがもたらす問題点
人口減少している地方では、歳入を上げずらい構図にあるため、国の補助金が大きな歳入源になります。こうした事は、
- 税収の大都市圏等への偏在
- 行政サービスの地域間格差
に繋がります。2020年4月発刊の日本総研のレポートによると、
地方法人課税の在り方については、政府の税制調査会等において、かねてより再検討が求められていた。
と述べられています。
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=36111
地方議会の現状
2023年1月時点の現状と、課題についてはこちら。
より詳しく知りたい方向け
地方自治の仕組みについて、参考になるページを紹介します。