人口減少対策は市政の最重要テーマではない

こんばんわ。

順調に日焼けしている中西です。

ここ最近、ブログやYouTubeの活動が止まっていました。

しかし政治活動はコツコツと進めています。

覚悟はしていたものの、政治活動はアナログ中心です。

  • ビラ(上限 16,000枚)への証紙貼りの段取り
  • ポスター貼り(370箇所)の段取り
  • 申請書への手書き&押印連打(50枚以上)
  • 有権者へのハガキ(上限 8000枚)の宛名張り

などなど。

本当に地味でアナログな作業の連続です。

手伝ってくれている方々には感謝の言葉しかありません。

 

本日は、ある新聞社様から電話取材を受けて、10分程度の問答を繰り返した末に、

ああ、中西さんが考えていたのは、そういう事だったのですね。誤解していました。

という返事を頂きました。そこで私が感じた事は、

現在の市政が最重要として掲げる「人口減少対策」について、もう少し自分なりの考えを整理した方が良い

という事でした。そこで本日は、

人口減少対策は最重要のテーマではなくなる

という持論について、その理由を5つご紹介します。

1.焼け石に水

五島市は人口減少対策を最重要のテーマとしていますが、仮にそのゴールを達成したとしても、特に明るい未来はありません。

実際、野口市長はH26の答弁にて、人口減少を

食いとめたいという気持ちはありますが、多分食いとめることはできないだろうと思っております。

と述べています。五島市が掲げる「人口ビジョン」も、現在の「下落予想」の傾きを少し改善するだけであり、上向きの予測にはなっていません。

そのため、人口ビジョンの目標を達成できたとしても、あまり明るい未来が待っている訳ではありません。

2. KPIとして不適切

人口減少対策では、「住民票に記載されている人数」が重要な指標(KPI)となりますが、それ自体にはあまり意味がありません。

特に五島列島では「住民票の人口」が、「実際に島で活動している人数」と大きくかけ離れています。

長崎や福岡とのアクセスも、国境離島新法により、格段に良くなりました。

そのため、五島市民が五島で活動しているとは限りません。

極端に言えば、五島市民が3万人いたとしても、実際に活動をしている市民はその半分かもしれないのです。

住民票の数が増える事と、それによって市民の幸福度が高まる事の間には、大きな乖離があります。

3. BBQスタイルの浸透

現在の五島市行政で「人口減少対策」が大きなテーマとなったのは、市民発ではなく、国が言い出したことが発端です。

地方創生の名のもとの生まれた「まち・ひと・仕事総合戦略」がそれに該当します。

五島市にとっての国・県は、収入源の半分以上を占める「無視できない親」です。

しかし少なくとも私は、「行政以外の一般市民」が熱心に「人口減少対策」に取り組んでいる姿をあまり目にしたことがありません。

これからの時代は、料理のメニューが決まった「レストラン型」ではなく、市民自らが問題設定をして解決する「BBQ型」が浸透していきます。

逆に言えば、行政が一方的に掲げたテーマでは、市民もついていけなくなります。

4. “定住価値”の低下

従来、人は「生まれた土地で一生を終える」のが当たり前でした。

ところが、最近は「そうでもない人」の割合が増えてきました。

移動のコストが下がり、インターネットが普及した時代には、「定住」の価値が薄れていきます。

コロナショックを契機として、「ネットがあれば仕事も教育もある程度は完結する」流れが進むでしょう。

働く人材はますます流動的になり、ネット空間での活動の比重が高くなります。

オンライン空間での比重が高くなるにつれて、リアル空間での相対的な価値は低くなっていきます。

5. 価値観の多様化

そもそも、「最重要課題=A」とする発想自体、

Aだけ解決すれば、全てが上手くいく

という、短絡的な発想に基づいています。

実体としては、市民のニーズはもっと複雑で、簡単に解決できる問題ではありません。

これから益々価値観が多様化する中で、最重要課題という言葉自体、多くの市民には響かない言葉になっていきます。

「あえて一つに絞るならこれ」

というなら分かりますが、3万人以上の市民にとっての最重要の課題を一つに断定すること自体、無理があると感じます。

人口減少の問題よりも、

  • 親との関係をどうにかしたい
  • 経済的な問題をどうにかしたい
  • 職場の人間関係をどうにかしたい

など、市民にとって関心の高いテーマは他に沢山あります。

まとめ

五島市は今まで、「人口減少対策」を市政の最重要課題に位置付けて、雇用拡充の推進や移住促進を行ってきました。

しかしながら、そのテーマはこれから先、意味が薄れていきます。その理由はそもそも論として

  1. 焼け石に水
  2. KPIとして不適切

という、テーマ設定上の問題があります。それだけでなく、時代の変化として

  1. BBQスタイルの浸透
  2. 定住価値の低下
  3. 価値観の多様化

が避けられないため、

(国の指針に従い)行政が掲げる「人口減少対策」は、その重要性は薄れていく

と考えられます。

だからこそ、テーマ設定を再定義する必要があると感じます。

私の意見では、地方自治が掲げるべきテーマは

多様化する個人の悩みに寄り添い、応える仕組みづくり

だと考えます。

やや抽象的ですが、そのための具体策については、行政職員や市民と一緒に創り上げていくべきモノだと考えます。