これからの観光の話をしよう

観光行政

対馬では、日韓の関係悪化により、災害級の経済損失が生じています。長崎新聞によると、

日韓関係が悪化し対馬市を訪れる韓国人観光客が激減していることについて、長崎県は5日、「災害に準じる」として資金繰りに苦しむ中小企業の相談窓口を近く設置する考えを示した。

と紹介されています。

ここ数年で、韓国からの観光客が激増した対馬ですが、現在はその反動が大きく出ています。

観光の弊害

本日は、離島経済新聞社が発行しているマガジンを参考に、これからの「島の観光」について考えてみます。

http://ritokei.com/information/kikan29

「観光先進地から聞こえてくる観光公害のうめき声」として、

人口5万人弱の宮古島では、2011年に33万2200人だった入込数がわずか7年で114万3000人に増加。

宿泊施設の建設ラッシュが続き、地価が高騰。バブルともいえる状況のなか、アパートの家賃が引き上げられるなど、人々の暮らしに影響を及ぼしている。

(中略)年間140万人を超える観光客が訪れる八重山諸島の石垣島では、隣島の竹富島にも観光客が集中。

人口わずか360人の島に年間50万人以上の観光客が押し寄せるなか、浮上したリゾート開発問題に島人が反発。紛争状態に発展している。

とあります。さらに

竹富島は観光客や事業所は増えているが、人々の所得はむしろ低迷しているという。

実際に、全部離島72自治体の所得を調べたところ、竹富島が最下位であることが分かった。

と指摘されています。

【観光公害について知る本】

観光公害

所得と暮らし

さらに記事によると、下地芳郎さんのインタビューの中で

残念ながら世界的にみても、高度な製造業や情報産業に比べると観光産業は労働集約型の産業であり、雇用という部門では大きくとも、一人当たりの所得に置き換えると課題があります。

観光客が2000万人になったところで沖縄県民の所得が2倍にならないのは構造上の問題です。

と指摘されています。

関連記事

https://nakanishidaisuke.com/2019/06/20/okinawa-society/

島と観光・経済

五島市政においても、

観光産業はすそ野が広く、多くの雇用者が見込める

観光産業は、衰退する一次産業に代わる、振興政策

という大前提に基づき、年間26万人の観光客数を目指しています。

しかし、H30の観光客数(24万人)が1割増えたとしても、島民の所得が1割増えるわけではありません。

【五島市観光統計】

https://www.city.goto.nagasaki.jp/s054/030/020/010/010/kankoutoukei_h30.pdf

考えてみれば当然で、上記の統計資料にある通り、

観光客の増加→観光消費額の増加

は正しいですが、

観光消費額の増加→島民所得の増加

にはなりません。

数値的に凄い事になっている島(対馬・石垣島・竹富島)では、様々な観光弊害が生じています。

五島列島の良いところは、(悪い意味で)沖縄ほど、開発が進んでいない事だと思います。

五島列島の観光政策も、目先の数字に拘る現在の方針から転換が必要です。これからの観光政策を推進する際には、

  • 観光が島民の暮らしにどう貢献するのか?
  • 何を政策のゴールに据えるのか?

という、「現在はあまり明確でない部分」をしっかりと考える必要があります。

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