令和の改革シリーズ第二弾です。
https://nakanishidaisuke.com/2019/05/02/finance-inovation/
本日は、交通がテーマです。
まずは、交通に関する島の事情をご説明します。
超車社会・五島
島には公共交通の電車がなくバスしかありません。
そのうえ、本数も少ないので、車は1人1台車を持っている状況です。
https://nakanishidaisuke.com/2018/11/10/goto-trafic/
公共交通を支える市の財政負担
公共交通を支える赤字(欠損金)を補填しているのは、国・県・市です。
平成30年3月の議会では、
欠損金に対する補助につきましては、市の要綱で、国、県の補助額を控除した上で、予算の範囲内で補助するというふうに規定(商工雇用政策課の課長)
とあります。その金額について、同議会で網元議員から
五島バス、1億1,000万ですか、赤字が出て、それの補助金として9,900万円というふうに補正(網元議員)
とあり、
29年度の五島バスの欠損金に対して84.9%の補助(草野議員)
となっています。この金額が100%とならないのは、五島バスが
乗り合い事業のほかに、他の事業(観光バス)を行っており、今回収益がありましたので、事業者とも調整をさせていただいた結果、今回計上の補助金額(市長答弁)
となっています。公共交通を公的なマネーで下支えするという構図は、財政的に余裕のない自治体で、頭の痛い問題になっています。
人口減少に伴う利用料の低下が避けられないからです。
2025年に向けて
令和元年時点で、五島市は既に人口の高齢化率が38%の水準に達していて、旧福江市内を除く旧5町は更に深刻です。
玉之浦は高齢化率が65%を超えていたり、陸上交通で行けない二次離島では、年金暮らしの世帯が大半を占めていたりします。
そうした中で、
- 社会の高齢化に伴う交通事故の件数が増大
- 社会の高齢化に伴う交通弱者も増大
することが予想されます。
解決策はMaas
従来の枠組み(公的な援助で地域の交通を支える)では、税収の減少が避けられないため、限界が見えつつあります。
しかし、次世代の交通を支える「自動運転・ライドシェア」という技術とサービスを活用し、この問題を解決できます。
もちろん、これを推進するためには
- 事故が起きたときの責任の問い方
- 自治体として推進していく上での条例の制定
- 地元住民に対する周知と合意形成
が必要です。
こうした事は、行政が主導となって、粘り強い交渉(国+県+地元)をする必要があります。
物理的に閉鎖されている島では「Maas」に代表される、利用型交通の新しい環境を整備する余地があります。
特に3分の1が高齢者である五島では、「車社会」が持続可能ではないという構造的な問題を抱えています。
一方、世界に目を向けると、「所有から利用へ」という大きな潮流の変化が起こっており、この問題の解決策になります。
五島列島こそ、この「不可避な変化」と「世界の潮流」を踏まえて旗振り役となり、Maas社会の先駆者となるべきです。
こうした「新しい社会を実現する事」を掲げれば、
ソフトバンクに代表される大資本から、
技術活用の推進に必要となる資金やリソース
を受けられるチャンスが生まれると考えられます。
国からの財政から脱却するために必要なのは、「他の人からも賛同を得られるような、大きなテーマを掲げる事」です。