緊縮財政が国を滅ぼす?

緊縮財政

私が住んでいる五島市は、財源の8割程度を国の交付税に頼っています。家庭に例えると、親から小遣いがないと生活出来ない子供、っていう感じです。

しかし昨今、国の緊縮財政により、地方はますます疲弊しようとしています。

財務省の主計局の方からの講和はこちら。

https://nakanishidaisuke.com/2018/08/29/goverment-finance/

今回は、そんな「財務省の論理」に対して、真っ向から批判・反対の意見を唱える書籍をご紹介します。

タイトルからも分かるように、日本は緊縮財政の路線によって、亡国化していく、というお話です。

規制緩和、自由貿易、緊縮財政の3点セット

筆者曰く、日本を弱体化させる規制緩和・自由貿易・緊縮財政は3点セットであると紹介しています。簡単に説明すると、

  1. 緊縮財政により国内の供給力を減らし
  2. 規制緩和によりグローバル企業の参入障壁を撤廃し
  3. 自由貿易によりグローバル企業が儲ける幅を大きくする

というものです。

例えて言うならば、水道から出る水を減らす代わりに、他の国から水を輸入する量を増やす、という感じでしょう。

こうしてみると、確かに一つ一つバラバラな政策ではなく、一つの大きな目標に対する同時平行的な政策だと考えられます。

豊かになるとは?

ただ、筆者の述べる経済のモデルや定義については、

本当にそうなの?

という部分も幾つかあります。例えば、

豊かになるとは、厳密 には「所得 が 増える と 同時に、 所得 で購入できるモノ や サービス が 増えていく」という 定義 に なる の だ。

これはアメリカンドリームというか、消費文化の前提が強すぎる気がします。

「購入よりも共同利用」というシェアリングエコノミーへの変化を考慮できておらず、昨今はこうした変化を受けて、「購入できるモノやサービスの量」と、「豊かであることの実感値」は、少しずつ乖離しています。

私個人の意見で言えば、豊かさとは、

手触りのある人間関係の数が増える

ということではないでしょうか。

家族、親戚、友人、趣味仲間、同僚、恋人、仕事のお客さん・・・

といった、かかわりのある人たちと、良い関係を築くことが、現代の「豊かさ」ではないでしょうか。

話が逸れましたが、本筋のご紹介をもう少しします。

日本政府は財政破綻するのか?

よく、「このままだと日本は、財政破綻する!」と言われますが、筆者の紹介によると、財政破綻の要因は

① 金利の高騰(債券価格の下落)
② 自国通貨建ての借金ではないこと

としており、そもそも自国通貨建ての借金である日本の債権は、デフォルトにはならない、と述べています。

その上で、現在の政策では

緊縮財政→景気の悪化→税収の悪化→財政の逼迫

という、マイナスのスパイラルが指摘されています。

それよりも、デフレ対策としてより積極的に政府がお金を支出することが大切である、と提言しています。

ただ、財務省の権力は絶大で、

  • 記者クラブという支配的な情報配信を有し
  • IMFの理事にも多数のOBを抱えていたり
  • いざとなったら国税庁という強権を行使できる

くらいの力を持っています。確かに、

「国の借金は○○兆円。だからヤバイ。」

という一般常識は、財務省によって私たちに広く浸透しています。

政府が財政破綻をするかどうかはともかくとして、

これからの時代は、こういう「常識」からまず疑いにかかって、実体をしっかり見極めることも大切になるでしょう。