マグロ規制と漁民の怒り
長崎をはじめ、全国的な問題となっている「マグロ規制」について、簡単に紹介します。
ポイントとしては、
クロマグロの漁獲量に対する国際的なルールがあり、
マグロの漁獲量が日本全体で規制される中、
- 一部の業者だけが「早いもの勝ち」で獲れるのはおかしい!
- 「まき網漁業」だけが許されるのはオカシイ!
といった不満が高まっています。
この問題は、長崎県の県議会や壱岐市の市議会でもテーマとして扱われています。壱岐市の市長答弁では、今後の課題として、
都道府県間の不公平感を解消し、取り得とならない配分のあり方を検討しており、長崎県のようにとり控えた県と、北海道のように超過した自治体の超過量に応じて対応する。
とのことです。
このあたりの事情を飲み込まないまま、一方的に国が条約に合意してしまったものだから、全国各地で「正直者がバカを見る」という不満の声が上がっています。
長崎県の陳情と水産庁の思惑
長崎県の県議会では、水産課から
漁業者からは、「枠まで漁獲させてほしい」、「捕り得とならないような制度とすべき」などの意見が
と紹介され、陳述を受けた水産庁からは、
「国際ルールの中で、2年連続して全国枠を超過すれば、日本の漁獲枠が減る可能性があり、我慢してほしい」、「捕り得とならない制度を検討する」
と回答があったそうです。日経新聞の記事からも、水産庁は国際的な信用力の低下を避けたい、との想いが強く滲んでいます。
漁民は生活の代替手段がない?
そもそもですが、一次産業と言うのは数知れない「リスク」との戦いです。
- 台風や津波による「自然災害リスク」
- タンカーの流出やゴミによる「環境悪化リスク」
- 領海の侵犯や他国の濫獲による「政治的リスク」
- 規制やルールの制限による「縛りリスク」
- 燃料の高騰や販売不振による「経済的リスク」
- 若者の就労不足、高齢化による「事業継続リスク」
今回の場合は、「縛りリスク」が全国各地で顕在化した形です。いきなり「制限」が適用されて魚が取れなくなったとき、
生きるか死ぬか
という状況に置かれてしまうことです。全国各地で不満が噴出していますので、政府も生活の保障や対応策を提示しています。
次世代の「漁民」像は?
現在は、零細の小さな漁業者があおりを食らってしまい、生活が非常に苦しくなっており、不満の声を爆発させています。
こうした声を受け、暫定対応として、国は補償に追われるのですが、今回の規制を機に、
もう漁業を続けられない!
と言う事業者も増えている気がします。
そうなったとき、次世代の「漁民」像そのものも、考える必要があります。つまり、ビジネスモデルそのものの転換です。
国の例でいえば、オイルショックを受けて中東依存を改め、国内の原子力に舵を切ったような、大きな転換です。
今後の漁民は、国の方針や規制に左右されない、副業的な収入源の確保が必要となります。例えば、
- 養殖業・生け簀を主とした産業へシフトする
- 釣り動画をYouTubeにアップして広告収入を得る
- 特定の魚の生態系に特化したメディアを作る
などでしょうか。他にも色々とアイデアはありますけれど、良くも悪くも、今回の「クロマグロ規制問題」が、
- 単一の収入源に頼る漁民の生活を圧迫し
- 漁民の数そのものを減らす一方で、
- 他の産業・分野へのシフトチェンジを促す流れ
も生まれると考えられます。