内閣府が主導する離島振興政策
国境付近の国策(国防対策)として有人国境離島新法が制定されました。
そして全国から「事業計画書」の出揃った7月末、内閣府の主導より次なる一手として「日本の国境に行こう!!」というプロジェクトが始まりました。
ここで今一度、国境離島振興を巡る背景をおさらいしておきましょう。
- 北朝鮮の脅威
- 中国の軍事力の強化
- 米国の軍事負担減
要するに、外側からの圧力が高まる一方で、庇護国(アメリカ)からの支援は今まで以上に見込めないという状況ですので、
万が一にも国境離島が無人島になってしまうことは、外国に領土と領海を侵犯される可能性が高いようです。
有事の際における国防の最前線として、まず焦点になるのが国境の島々でしょう。
そこで政府は経済対策としてお金を注ぎ込み、国境付近の人口を維持しよう、という狙いのようです。
有事の際の正当防衛
もし無人島(及び領海)が占領された場合に武力行使による反撃を行えば、
「そこまでしてやる必要あるの?(無人の島を護るために命をかける必要あるの?)」
なんて言う反論も国内から出てきそうですが、少なくとも国境付近に人間が住んでいれば、
「日本国民の生命を守る」
という大義名分で武力行使することへの抵抗も少なくてすみます。
そういう意味では、人を送り込んで「防人(≒カカシ)」とする、したたかな戦略のようにも見えますね。
振興プランから見えること
そうした「国を護る」事が「本音」なのですが、「建前」としては以下の条文(スローガン?)が掲げられています。
- 第一条 日本人の島国プライドを呼び覚ます!
- 第二条 「ヒト」「モノ」「タノシミ」を行き来させる!
- 第三条 面白いことを真面目にやろう!
- 第四条 動きながら考える「現場考動主義」!
- 第五条 「フットワーク」が「ネットワーク」をつくる!
- 第六条 社会に求められる「サービス」を!
- 第七条 島の人々が「シアワセ」になる!
何だか戦時中の(大和魂)スローガンを想起させる内容ですね。
ここで注意が必要なのが、その「主語」に当たる部分です。「主語」に当たる部分は第七条にしか出てきませんが、
「島の人々」となっており、
「国(=意思決定機関)」の存在がぼかされています。
旗振り役が「主語」として登場しないのは不思議な感じもしますが、行政の示す資料にこういった「主語不明」が多いのは、国が主導して国民を扇動してきた戦時中の反動でしょうか。
「国」が主語として登場する代わりに、「私たち」を想起させる言葉(「島の人々」)が主語に置き換わっています。
スローガンそのものに関して
「日本の国境に行こう!!」という言葉からも分かるとおり、国(内閣府)が観光促進の旗振り役となっています。
そして上述の第二条と第三条を見れば分かることですが、
「離島には何か面白いことがありそう」
と島の外に思わせることがキーポイントであると見ているようです。
要するに、「国防」のために「経済対策」が必要とされ、「観光」がその手段として用いられているという構図です。
しかし注意が必要なのは、現在の沖縄がそうであるように、いざとなれば「国」は国境離島の島々を「捨て石」とすることです。
その背後で糸を引いている主体は誰でしょうか?
記事を書きながら、NZの羊さんを思い出しました。