中・高校生議会
五島市では毎年、「高校生議会」、「中学生議会」が行われています。これは教育の一環として行われる疑似的な議会ですが、中には政策に反映された提案(お見合い大作戦)もあります。
10月の広報誌にも議会の内容が記載されていますが、私はその内容を見て、がっかりしました。
中学生:〇〇はどうですか?
行政:予算的に無理です。
中学生:××はどうですか?
行政:制度的に無理です。
そうした問答が多く、何だか子供たちに諦観を植え付けているだけのように感じました。
参加された中学生としても、
(そうか、政治は私たちのような小さな意見を実現する場所ではないんだな。。。)
と自覚されたのではないでしょうか。
こうした諦観を植え付けるのは、個人のやる気を削ぐだけではなく、政治への不信を招くことになります。
行政と議会
有権者として市町村に政治力を行使できるのは、首長選挙と市議会選挙です。
そうであるならば、「市議の立場」を疑似演習するのではなく、それを実行する「行政の立場」を実演する方が、より勉強になります。
なぜなら行政は、「実行する事」が仕事であり、口だけで提案するよりも100倍も難しい事だからです。
現実的に立ちはだかる法律の壁・予算の壁、これを乗り越えるのが行政の仕事です。
最近は、資金調達の方法が多様化している事もあり、
お金がないから・・・
という言い訳は、通用しません。
資源も限られた島の中では、「アレコレと提案」するよりも、まずは小さな方から「始める事」に100倍価値があります。
批評家・実践家
世の中には、大きく分けて2通りの生き方があります。
他人の活動を見ながらアレコレ論評をする批評家と、そんな声は気にせずにアレコレ行動する実践家です。
ネット社会になり、全ての活動がオンラインで閲覧可能なので、批評家の割合が増えているような気がします。
何しろ、批評家は指を動かすだけで楽な仕事です。
批判的に物事を見る事は大切ですが、批判ばかりしていても、世の中全体は上手く回りません。
せっかくなら、「質問や提案」が主な仕事となる「議員」を体験させるのではなく、
「行動と粘り強さ」が求められる「行政」の仕事を体験させる方が、今後の人生にとってプラスになると思います。
これからの世の中は、
論理的なディベートに強い人間
よりも
とにかく小さく始める事の出来る人間
の方が、相対的な価値が上がります。
トライアンドエラーを経験するという意味でも、責任の範囲を限定し、中高生に行政の仕事の一部を委任する方法が、教育上も相応しいと感じます。