【クラスター発生】飲食店名を公表するメリットとデメリット

クラスター

1月9日の長崎新聞によると、長崎県五島市では、飲食店でクラスターが発生しました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ff0d5371129bc7d3088122ec9592cd7525fee3f4

クラスターの定義と認定者

クラスターに明確な定義はありませんが、都道府県が認定をしています。厚生労働省のクラスター対策班によると、

クラスターの定義そのものが、国際的に決まっているわけではありませんが、厚生労働省のクラスター対策班としては、同じ場所で5例以上、5人以上の患者さんが発生した時点でクラスターと見なしております

との見解です。

https://www.pref.nagasaki.jp/koho/governor/kaiken/20200422.html

店舗名公表のメリット・デメリット

店舗名の公表に関するメリット・デメリットは以下の通りです。

店舗名を公表するメリット

  1. 根拠のないデマや噂・犯人探しが広がる事を抑止できる(市民間の不安を抑える)
  2. 「他のお店」に対する不信感が払しょくされる(他の店舗への安心感)
  3. 追跡が困難な「店舗利用者」への周知により、早期検査を促す(感染拡大防止)

店舗名を公表するデメリット

  1. 店舗の従業員や家族が悪者扱いされ、誹謗中傷や差別を受ける可能性がある(店のダメージ)
  2. 店舗の周辺地域にも悪評やデマが広がる恐れがある(地域へのダメージ)
  3. 飲食店を利用する人への心的ストレスを与える(利用者へのダメージ)

政府の方針

政府としても、増え続ける飲食店のクラスター対策を強化しています。朝日新聞によると、

政府は7月28日、飲食店などで新型コロナウイルス感染症の感染者集団(クラスター)が発生し感染経路の追跡が困難な場合には、都道府県が関係者の同意なく店舗名などを公表できるとする通知文書を業界団体に向け出した。

https://www.asahi.com/articles/ASN7X6VTWN7XULFA03K.html

原文によると、

クラスターなど感染者が発生し、感染経路の追跡が困難な場合には、感染拡大防止の観点から店舗名を公表する扱いとなっており、当該公表において関係者の同意が必要なものではないこととともに、ガイドラインに掲載しているような感染防止策が適切に講じられていなかったことが感染の要因であると考えられるときは、その旨を公表して感染防止策の徹底を促すことを改めて周知する。

https://www.mhlw.go.jp/content/000652973.pdf

政府方針の問題点

政府の方針が示す問題点は、

  • 感染経路の追跡が困難かどうか?
  • 感染防止策が適切に講じられていたか?

を都道府県が調べるのに時間がかかり、その分店舗名の公表が遅れてしまう事です。

全国の事例

飲食店の店名公表を巡り、全国の事例をいくつか紹介します。

1.長崎市(クラスター発生→非公表→公表へ)

長崎新聞によると

12月10日の会見で、市は感染症法に基づく公表基準を踏まえ、「店が客の連絡先をおおむね把握できており、追跡もできる」として店名は明らかにしていなかった。

だが、店側から11日、感染拡大防止のため追跡のスピードを早めたいとの申し出があり、店名を公表することにしたという。

https://this.kiji.is/710285597537320960?c=39546741839462401

店舗側からの申し出により、「感染拡大防止」を重視した結果のようです。

2.三沢市(クラスター未発生→公表→クラスター認定)

毎日新聞によると

(青森)県は6日、県内で新たに14人の新型コロナウイルス感染を確認したと発表した。このうち5人は県が注意喚起のために店名を公表した三沢市の飲食店「オフザウォール」の関係者とみられ、店での感染者は計8人となった。県はこの店でクラスター(感染者集団)が発生したと認定した。

https://mainichi.jp/articles/20210107/ddl/k02/040/050000c

クラスター未発生の段階から公表する事により、「感染拡大防止」を重視した結果のようです。

3.岐阜市(クラスター発生→公表)

岐阜新聞によると

クラスター(感染者集団)関連では、新たに1件を認定した。本巣郡北方町の接待を伴う飲食店「GAS PANIC(ガス パニック)」で、規模は従業員19人と同居家族1人、利用客1人の計21人。店は感染拡大防止のため県の検査に協力し、店名を公表した。

gifu-np.co.jp/news/20210103/20210103-33991.html

検査と公表を同時に行う事で、「感染拡大防止」を重視した結果のようです。

4.富士市(クラスター発生→非公表→公表)

静岡テレビによると、

静岡県は、1月6日にクラスターと認定した富士市の接待を伴う飲食店について「来店客(利用者)の名簿を確認したところ、連絡先の分からない人がいることが判明した。」として店名を公表しました。

https://www.sut-tv.com/news/indiv/8283/

この背景には、市長から知事への強い要望(店舗名を公表しない県に対するいら立ち)があります。

小長井義正市長「確認中といっても(その期間で)時間がたつわけですから、このこと自体が、私たちから見れば拡大するのではという不安につながっていく」

https://www.sut-tv.com/news/indiv/8277/

知事に対する要望を行い、「感染拡大防止」を重視した結果のようです。

五島市の場合

五島市の野口市長は1月9日の記者会見で

私個人としては公表していただきたいと思っておりますが、県の方が事業者と交渉して今の段階(非公表)だと思っている。

それはそれで、尊重しなければいけないと思っています。

と述べています。静岡県知事に対して「早急な店名公表」を促した富士市の市長とは大きな違いです。

さらに、クラスターが発生した飲食店に関する記者会見では、

  • 感染経路の追跡が困難かどうか?
  • 感染防止策が適切に講じられていたか?

が問われませんでした。

【五島市長】1月9日記者会見

問われる市町村の対応力

クラスター対応での一番の問題は、

クラスターが発生した店舗の利用者が、知らない間に感染を広めてしまう事

です。そのため、市町村としては、都道府県がクラスター認定をした場合(或いは予兆が見られた場合)、早い段階での「情報開示」が必要です。

これを実施するためには、市町村独自でガイドラインを定め、

クラスター発生の可能性がある場合、感染拡大防止を目的に早期の「店名公開」をする

事を周知徹底し、飲食店側への理解を求める事が必要です。

 

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