【国境離島の島々】五島市の男女群島・肥前鳥島の紹介

本日は五島市の男女群島・肥前鳥島に行ってきました。

男女群島の紹介はこちらのページが参考になります。

JP143 男女群島(だんじょぐんとう)

国境離島の島として

市政施行20周年のイベントとして、男女群島の視察ツアーが催されました。

五島市を構成する多くの島々は、国境周辺に位置していることから、国の領域や排他的経済水域等の保全、海洋資源の利用などにおいて、海洋政策上、非常に大きな役割を担っています。

市制施行20周年を迎える本年、五島市が「国境離島」として果たしている役割を改めて確認するため、「男女群島・肥前鳥島」の視察を実施します。

お隣の韓国ともEEZを巡って小さな係争が起きている年もあります。

https://www.zakzak.co.jp/article/20220903-BQ6LI3ELKFMRBJHE2AUZJWV7BY/

重要土地等調査法に基づく指定

男女群島は重要土地調査法に指定されています。以下、議会議事録からの抜粋です。

令和4年6月1日に施行された重要土地等調査法に基づき、五島市内では五島海上保安署の周辺など7か所が注視区域に、航空自衛隊福江島分屯基地の周辺及び男女群島の男島の2か所が特別注視区域に指定されました。これは安全保障上の観点から、国境離島や防衛関係施設周辺等における土地の所有、利用について国が注視することを目的に指定されたものです。

これらの区域内においては、国が土地利用や取引等に関する調査、勧告等を行うほか、特別注視区域内においては、面積が200平方メートル以上の土地や建物の売買等を行う際に届出が必要になります。

女島上陸

圧巻の断崖

島の周辺はいわゆる柱状節理という岩石で覆われており、場所によっては墓石と見間違う位の整然とした長方形があちこちに点在していました。

樺島や玉之浦地域でも同様の地質が確認できますが、そのスケールは圧倒的に女島の方が大きい印象でした。

渡り鳥の宝庫?

当日はあまり鳥を観察する事が出来ませんでしたが、頂いた資料によると、カツオドリ、アカコッコ、アカヒゲなど南方系鳥類も多数英巣するという事でした。

女島灯台まで

灯台までは船着き場から割とタフな上り坂を登ります。所々崩落の危険性がある箇所があり、赤いマーカーで表示されています。

私たちが上陸する前に、海上保安庁の職員の方が現場の安全確認をして下さったこともあり、無事に全員灯台まで登れました。

女島灯台の建設は大正時代に始まり、戦争時には通信施設、気象観測施設が増設されています。

今でもここで観測される気象データは、気象庁に送られ活用されています。

ヘリポートも存在

灯台のすぐ近くには、当時の物資や人を搬送するためのヘリポートもありました。そこで夜にリクライニングチェアーを置いたら、きっと一生忘れられない星空ツアーができるだうな、と思いました。

島には電線が通っていない為、灯台に必要な電気は大量の太陽光と蓄電池によって賄われているとの事でした。

灯台守の暮らし

現在は無人化されていますが、割と最近の平成18年までは人が管理し、1日2食で雨水を使うという厳しい生活の中勤務をされていたそうです。

初期の頃は2週間に一度、その後10日間制で交代で島に常駐していたそうです。

灯台守さんの取材記事によれば、「星空の美しさは最高です」という言葉もあり、何の灯りも存在しない中での夜空は格別だろうなと想像しました。

島全体が保護区

1969年に、男女群島は全島が史跡名勝天然記念物(天然保護区域)に指定されているため、上陸には許可が必要です。

肥前鳥島

パット見ると岩のように見えますが、実は以前は「岩」でしたが、「島」に名称変更されています。平成25年9月の五島市議会議事録によると、

肥前鳥島の名称変更について。
肥前鳥島は、北岩、岩瀬中岩、南岩の3つの島で構成され、我が国の領海や排他的経済水域の基点となっており、大変重要な島であります。
近年、国境離島の領有権や外国船の違法操業による緊張が高まる中、この国境に面した肥前鳥島を構成する島が「岩」という名称でいいのかという声もお聞きするところであります。
こうした状況の中、本年1月には、五島市鳥島等の保全・整備を求める期成会から名称変更の要望があり、また、先般、市内の3つの漁業協同組合の連名で、漁業者の安全安心な操業の確保の観点から、「岩」から「島」へ名称を変更し、国による確実な領土、領海の保全が図られることが重要であるとして、早急な名称変更の手続きについて要望がありました。
今後、漁業者や市民、市議会の意見もお聞きして、また、所有者である財務省を初めとする国の関係機関の御意見もお聞きしながら、名称変更の手続を進めてまいりたいと考えております。

とされて名称変更されましたが、島か岩かを巡る議論は結構奥が深いようです。

島か岩かの議論

国連海洋法条約の第百二十一条の定義によれば、

第八部 島の制度
第百二十一条 島の制度
1 島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう。
2 3に定める場合を除くほか、島の領海、接続水域、排他的経済水域及び大陸棚は、他の領土に適用されるこの条約の規定に従って決定される。
3 人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。

https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/unclos2.htm

という事であり、五島市は2014年1月10日にそれぞれ北小島、中小島、南小島への変更を国土地理院に申請。

国土地理院は同年1月24日に名称変更を認め、電子地図を訂正されました。

名称の変更前からも、肥前鳥島は日本のEEZや領海を守る役割を果たしています。

肥前鳥島を巡っては、過去の経緯も含めて韓国側との領海を巡る係争があるようです。

国会議員の視察と五島市の紹介がされているYouTube動画もあります。

まとめ

今回は普段あまり意識する事のない

  • 国境・領土とは何か?
  • 周辺国とどのような問題が発生しているのか?
  • 地元漁業者にとっての死活問題はなにか?

考える良いきっかけとなりました。

安全管理されてくれた市の職員の皆様、海上保安庁の皆様、船を出してくれた事業者の方々にお礼を申し上げます。