リスク社会
本日は、国境離島の島が抱えるリスクについて、
世界の中の五島という枠組みで考えてみます。
自然リスク
台風
古くから、五島で一番深刻なリスクです。今後は今まで以上に大型化する恐れがあるので、従来以上に綿密な避難計画や、耐震基準を設ける必要があると感じます。
大雨
こちらも全国的に、大きな問題となっています。昨年の西日本大災害が記憶に新しいです。河川の氾濫やダムの処理能力も含めてどこまで耐えられるのか、検証が必要です。
地震
五島は地震が少ないので、日本の中でも恵まれています。ですが、未来永劫地震が起きないとも限らないので、備えが必要です。私が見た限りだと、古い造りのかなりの建物が、倒壊の危険性が高いように感じられます。
津波
五島ではあまり津波の話は聞きません。が、それはリスクに対して備えが十分ではないとも言えます。
特に沿岸部の地域では、避難計画が本当に機能するのか、集落単位で見直す必要があります。
実際、H30.12月の定例会によると、五島市では
南海トラフとか、そういうことでのハザードマップでは、五島への影響としては富江のところと福江のほうでの津波の予想が出ております。
さらに避難場所の誘致については、
平成27年度に、地震や津波の災害時に、危険から逃れるための安全な避難場所として、災害の種類ごとに、指定緊急避難場所というのを75カ所指定しております。
とありますが、
市民への周知が十分でないというふうなことは我々(行政側)も認識してる
ため、
今年度(H30)は、避難所等の標識を大きくわかりやすい災害種別の記号を使った標識に変更するようにしております
だそうです。
政治リスク
エネルギー価格の高騰
イランを巡る緊張から、エネルギー価格が高騰するのではないかという憶測も出ています。
中東の不安定な政治情勢がダイレクトに影響し、特に離島ではそのダメージが大きいため、エネルギー転換が求められます。
他国からの侵略
香港でも大規模なデモがありましたが、侵略は武力行使ではなく、法制度から徐々に進んでいく可能性があります。
特に五島は国境付近の島々ですので、政治的なリスクの最前線です。
自治体としては、避難経路の確保を進める必要があると感じます。
核攻撃
北朝鮮が核を手放さずに緊張状態が続いていますが、これも可能性として、否定できません。日本が配備しようとしている迎撃ミサイルも、果たして本当に撃ち落とすことが出来るのか?という点で疑問が残ります。
侵略時のケースと同様に、避難経路の確保を進める必要があると感じます。
五島市の取り組み
H30.12月の定例会によると、
防災士・防災リーダーの養成講座を、
五島市で開催していただけるよう要望しているところであり、多くの人に自主防災リーダーとなっていただきたい
との事です。
防災士の育成
防災に関する知識や技術を身につけ、地域や職場の防災力の向上に貢献することを目的として、日本防災士機構が認証する資格
防災リーダーの育成
毎年、県が実施している養成講座を受講することにより、防災に関する知識や技術を身につけることができます
避難訓練
H30.12月の定例会によると、五島市では避難場所の周知を
避難所等の市民への周知については、毎年、地区ごとにチラシを作成し、市民へ配布
しているそうです。さらにH30年度は、
現在設置している避難所の標識を、避難場所がどのような災害に対応しているのか(表記する)
JIS規格で標準化された災害種別の図や記号を使った標識に取りかえていく
そうです。しかし、肝心の避難訓練については、総務企画部長によると、
各地区の町内会長会議とか、そういうところに出席をさせていただきまして、ぜひこういう避難訓練とか、講話でもいいですから、防災講話を聞く機会をつくってくださいとか、そういうお願いは常々やっているところでございますけども、
町内会長さんにいたしますと、会長さんや町内会の役員さんの負担がやっぱり大きいということで、なかなか実施にまでは結びついてない
状況だそうです。
各地区に今まちづくり協議会もございますので、そういう御協力もいただきながら、これは進めていきたいと思いますが、全240カ所を1年に毎回1回ずつというのはなかなか厳しいかもしれませんが、少しずつ、少しずつでもいいですから、数はふやしていきたいというふうには思っております。
だそうです。
薄れる危機感
災害時は、「自分の命は自分で守る」という自助の精神が必要ですが、市長の答弁では
まだまだ災害に対する市民の意識というのも、災害がないということはいいことですけども、裏返す形で危機感がだんだん希薄になってるということでありますんで、
やはりあらゆる機会を通じて、そういった備えというんですか、そういったことについてのお願いをする。こういったことを繰り返す以外に多分ないんだろうなというふうに思っております。
とあります。段々と、市民の危機感が薄れているようです。
まとめ
世界に目を向けると、自然リスク、政治リスクは近年非常に高まってきています。
これらは単発で起こる可能性もあるし、複合的に起こる場合もあります。
今までも自治体の避難計画は存在しますが、今後は従来よりも深刻な事態となります。
少なくとも、対処方針を巡っては、警察・消防・自衛隊とのプランのすり合わせ、情報共有が必要です。
現在の五島市では、市民レベルでは危機意識が薄れていると言われています。そんな中で、財政の乏しい地方自治体が、
どこまで可能で、どこから不可能なのか、従来以上に真剣に考えていく必要があると感じます。
例えば避難所では、総務企画部長の答弁では、
耐震化施設であっても、例えば屋根の非構造部材が落ちて床に刺さるとか、そういう、必ずしも100%安全であるというような状況ではない
状況です。
こうした問題を解決するために、「リスク対策本部」を設置し、横断的にプランの作成と避難訓練の実施を行う必要があります。