長崎県五島市の県議会選挙の分析

熾烈な戦い

4月7日に投開票された五島市選挙の結果です。(五島市HPより)

開票率100.00%
当選人 山田 ひろし(無所属) 得票数10,574
林 むつひろ(自由民主党) 得票数10,056

投票者総数 20,925
開票総数 20,925
有効投票数 20,630
無効投票数 295
持ち帰り 0

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今回も518票差と僅差でした。

本日は、この結果の分析です。

高齢化と棄権票の増加

過去4回分のデータはこちらです。(無効票数は除く)

  2007 2011 2015 2019
山田氏 41.5% 35.1% 35.8% 33.1%
対抗馬 31.0% 34.8% 32.3% 31.5%
棄権票 28.0% 29.7% 31.3% 34.5%

この傾向から、近年は棄権票が最も高い割合を示している事が分かります。

この主因は、高齢化です。以下、五島市の統計書より抜粋。

http://www.city.goto.nagasaki.jp/contents/city_ad/pdf/988_02.pdf

 

五島市の年齢区分別人口割合の推移

私も2日間、期日前投票の立会人の仕事をしましたが、来られる有権者の中には、

投票所にたどり着くのもやっとの事

という方も少なくありませんでした。

https://nakanishidaisuke.com/2019/04/03/reiwa-election/

人口の38%以上が65歳以上の高齢者という、超高齢化している五島では、

施設入居者・要介護者・精神的な病を抱える人・肉体的なハンデを抱える人は、間違いなく増加傾向にあります。

そのため、3人に1人が棄権になってしまうのも、無理はありません。

都会では「若者の政治離れ」が指摘されていますが、五島に限っては、「高齢者の投票所離れ」が顕著です。

投票数の推移

次に、投票所に行かれた方の数の分析です。

  2007 2011 2015 2019
山田氏の投票数 15,363 12,280 11,892 10,574
対抗馬の投票数 11,481 12,162 10,717 10,056

どちらの候補も減少傾向にありますが、その「減少率」には差があります。

特に2015年から2019年にかけては、

山田氏:▲11%

対抗馬:▲6%

という数字になっています。(対抗馬は2015年と2019年で別の候補者ですので、単純に比較はできませんが)

ただ、特筆すべきは、今回山田氏が1割以上の票を失っているという事です。

その中にはもちろん、先述の高齢化による「投票所離れ」もありますが、対抗馬との比較(▲6%)で考えると、「山田離れ」も5%ほど(600人弱)はあると考えられます。

投票地区ごとの分析

各地区の投票率は以下の通りです。

地区ごとに見ると、

福江地区のみ、期日前の投票率が高い

という事が分かります。街中は人口密度と若年率が高いため、期日前に投票を済ませる人の割合が多かったと考えられます。

更に、投票数で見ると、

圧倒的に福江の投票者数が多いことが分かります。

  有権者数 割合
福江 19,655 61.4%
冨江 3,974 12.4%
岐宿 2,797 8.7%
三井楽 2,342 7.3%
玉之浦 1,190 3.7%
奈留 2,076 6.5%
合計 32,034 100.0%

単純な数字だけで見た場合、福江地区に対してどのようなアプローチをするかが、選挙の勝敗を分ける形となりそうです。