五島市議の中西です。最近、
地方議員はいらないのでは?
という声をよく耳にします(*´Д`)
実は私も、市議に当選するまでは、議員の存在意義に懐疑的でした。
更に本音を言うと、今でも少しはそういう気持ちがあります。
確かに、近所のコンビニやスーパーがなくなるのは困りますが、
地方議員がいなくて困ると感じる人は少ないと思います。
ただ、有権者からそう言われないように、日々活動を頑張りたいです。
本日は自戒も込めて、なぜ地方議員が「いらない」と言われるのか解説します。
背景を知って、すっきりして頂ければ幸いです。
目次
背景1.活動が見えずらい
議員さんは普段、何をしているのでしょうか?
その活動を市民の方に伝えるのは、そう簡単ではありません。
私もYouTubeで動画を作ったりしていますが、十分に伝えられているとは言い難いです。
もう少し詳しく解説します。
宣伝コストが掛かる
政治家にとって、「知名度」と「信頼」は命綱です。
私も市長選挙を通じて、ビラやポスターなど、「宣伝費」に沢山お金を費やしました。
勿論、ネットの情報発信ツールを活用すれば、宣伝コストは格段に低くなります。
ところが悲しい事に、地方では高齢化率が高く、
宣伝効果も限定的です(もちろん、やらないよりはやった方がマシ)。
印刷費だけでなく、印刷物の作成にも時間と労力が掛かります。
正直、結構これが面倒ですし、デザインのセンスも問われます。
議員にとっては、「報告活動」を行う事は、
時間とお金が掛かるので、あまりしたくないのが本音でしょう。
宣伝しない方が得?
私も日々、SNSで活動の発信をしていますが、時にはコメント欄がプチ炎上します。
わざわざ記事を投稿したのに、批判されたり大炎上したらマイナスです。
口は災いの元なので、何もしなければマイナスにはなりません。
そのため、「黙っていた方が得」と感じる議員様も多いと感じます。
選挙の前には立ち上がる
とはいえ、何も活動宣伝をしていないと次の選挙に落選する可能性があります。
そこで多くの議員は、選挙前になると重い腰を上げて宣伝活動を始めます。
選挙の前だけでなく「定期的に」報告を行うのが理想的ですが、
宣伝コストが掛かるので、殆どの議員は「選挙前だけ」になってしまいます。
インセンティブが働かない
議員の活動の主たる目的の一つは「地域住民のために働く事」です。具体的には
- 要望活動のヒアリング(地域へ足を運ぶ)
- ヒアリングを受けての課題整理(作戦立案)
- 課題解決に向けたアクション(実行)
- 活動の報告
となります。ところが、議員の立場からすると、こうした活動そのものは報酬には反映されません。
住民からすると、地域代表としての議員に対して様々な要望をぶつけたいと思うでしょう。
ところが議員にとっては、「地域活動」を行う事は、時間とお金が掛かるので、あまりしたくないのが本音でしょう。
それは議員の給与が「歩合制」ではなく「固定給」だからです。
極論を言えば、ずっと家でゲームしていても、報酬は同じです。
もしも歩合制が導入されれば、より議員の活動も活発化するのではないでしょうか。
背景2. 首長の「追認機関」になりやすい
議員が不要だと言われる理由の2つ目は、その役割です。
こちらの記事でも紹介している通り、議会は首長の追認機関になりやすい傾向があります。
極論を言えば、議案をまともに審議せず、ナアナアでスルーする事も可能です。
たとえまともに審議をしても、結局は多数決で決まってしまいます。
議員構成の半分以上が「首長側」だと、議会がブレーキになり得ないという構造的な問題もあります。
私は野党系ですが、多数決の原理が働くため、何を言っても
無駄無駄無駄無駄~!!
という感じで、若干絶望感もあります( *´艸`)
こうした事を踏まえると、確かに議会が不要であると言われても仕方がありません。
背景3.市民のニーズに応えきれていない
首長よりも議会への不満が高い
私の経験上、市議選前の市長選挙を通じて、様々な立場の市民からお話を聴きました。
中でも多かったのは、
まずは議会をどうにかしてくれ。
議員は選挙前にしか挨拶に来ず、普段は何もしない。
という、厳しい意見です。
全国の地方でも同じような状況ではないでしょうか。
ニーズに応えきれない
この背景には、「ニーズの多様化」と「議員の高齢化&なり手不足」という構造的な問題があります。
価値観が多様化する中で、有権者のニーズは複雑になっています。
ところが、地方議員の多くは高齢男性のため、中々機敏に対応する事が出来ません。
議員の対応力が鈍り、腰が重くなっているため、
住民からすると中々存在や価値を感じられなくなっています。
議会全体の若返りが必要ですが、お金の課題もあり、
後継者不足に拍車が掛かっているのが現状です。
まとめ
地方議員は
- 日々の活動が見えずらく
- 首長の「追認機関」になりやすく
- 市民のニーズに応えずらい
ため、議員はいらないと感じる住民が増える傾向にあります。
人口減少と地方の高齢化が進み、地方自治の在り方や存在意義が問われているのだと感じます。
「いっそのこと、議会を廃止してしまえば?」という趣旨で、大前研一氏はその存在自体不要だとも提言しています。
https://www.news-postseven.com/archives/20190314_931042.html/2
前例に捕らわれず、明治から続く「地方自治の制度」を見直す時期に来ているのではないでしょうか。
最後まで記事を読んで頂きありがとうございます。
少しでも役に立つ情報であれば嬉しく思います。