五島市観光客受入基盤支援事業給付金
6月12日に、新しい給付金が始まりました。
https://www.city.goto.nagasaki.jp/s054/020/010/010/050/20190314205903.html
本日は、これをテーマに「コロナ時代の給付金と地域づくり」について考えてみたいと思います。
もちろん正解はありませんので、頭の体操として考えてみると良いかと思います。
五島市長によると、五島市は
「観光でメシを食っている島」
とされています。
しかし実際は、観光業で働く人の数よりは、医療系の人材の方が多いです。少し古いですが、五島市統計書(平成27年10月)の「産業、従業上の地位、15歳以上就業者数 」によると、
- 医療、福祉 2809
- 卸売業・小売業 1603
- 建設業 1391
- 農業 1479
- 公務 1229
- 漁業 992
となっています。
https://www.city.goto.nagasaki.jp/s007/040/010/020/140/R1tokeisho-4.pdf
確かに、五島市の観光産業は、今回のコロナで非常に深刻な影響を受けました。
最近ではそれがようやく一服し、徐々に経済活動も再開しつつあります。
観光事業者への支給
今回の支給のポイントは、前回が
「売上の減少した場合の上限30万円給付」
だったのに対して、
「事業所の規模(宿泊能力・車両の保有台数)」
に応じた支給であるという点です。
これは既に、他の長崎の自治体(佐世保や大村)が実施している方法です。今回の給付については、
- なぜ観光事業者だけ?
- 前回は含まれていた業種が含まれないのはなぜか?
- どういう経緯で決まったのか?
- 公平性はあるのか?
など、様々な疑問がありますが、今回は個人的に「あまり良くない」と思う点を3つご紹介します。
1. タイミングが遅い
宿泊・交通事業者にとって、今回の給付は
「貰えないよりは貰った方がマシ」
ですが、本当に事業が継続できるかどうかは、「今後の集客」に掛かっています。
例えば10個のベッドがある宿泊業者では、今回30万円が支給されるはずですが、これだけではせいぜい1週間分の売上にしかならないでしょう。
そもそも現段階では、
- 持続化給付金(100万 or 200万)
- 長崎県の休業補償(30万)
- 五島市の給付金(30万)
- 政策金融公庫からの借入
- 長崎県の宿泊キャンペーン登録
を済ませている事業所が殆どのはずです。
コロナ発生当初は資金需要がひっ迫していましたが、現時点では「取り急ぎの資金は問題ない」事業所もあるはずです。
「倒産する事業所を出さない」事を目的にするのであれば、より正確な事業所の情報を収集すべきでしょう。
2. 関係人口が少ない
今回の給付があまり良くない理由の2つ目は、「関係人口が閉ざされている」点です。
言い換えると、観光事業者以外にとっての恩恵が全くない点です。例えば長崎県は、宿泊に5000円のクーポンを付ける事で
- 県民も宿泊が安くなる
- 宿泊事業者の売上にも寄与する
という形で、関係人口がオープンな状態となります。
例えば雲仙市では、市独自で宿泊のクーポンを付けており、長崎県のクーポンとの併用を可能にしています。
https://www.city.unzen.nagasaki.jp/info/prev.asp?fol_id=34340
同じ金額を支給するのであれば、お金の使い方としては「より多くの関係者に恩恵が受けられる」方が良いでしょう。
特に今回の場合は、対象が観光業のみに限られているため、市民の間では
なぜ貴重な市税を、観光の穴埋めに使うんだ?
という不満もあると思います。
3. 「地域づくり」の視点がない
今回の補正予算では、経済活動が徐々に再開する中で、「コロナ後の世界」に対する自治体の宣言を示す機会でもありました。
コロナ後、自治体はどういった「地域」を目指すのか?
残念ながら五島市ではそれが見られませんでした。
「とりあえず、他の自治体がやっている事を模倣しました」
という感じしかなく、五島市独自の政策ではありません。
私だったらこうする!
6月12日に発表された五島市の「事業継続支援」は、
- タイミングが遅い
- 関係人口が少ない
- 地域づくりの視点がない
という形であるため、
本当にそれが必要なのか?今後の地域のためになるのか?
という点に疑問が残ります。
私だったら、市内の「五島産食材を使った飲食店」に対するクーポンを発行します。
ポストコロナの時代では、
地域の経済循環をいかに高めるか?
が非常に大きなポイントです。
その点では、食事が一番身近な例です。
例えば予算額が1億円と仮定した場合、
500円の飲食クーポンを2万枚配布できます。
- 「地元の食材」に接する人口を増やし
- 地域産品への需要を高める種まきをする
これがポストコロナ時代に、自治体が取るべきお金の使い方だと思います。
大手の飲食チェーンは、コロナの影響で非常に厳しい状況になっているため、外食の多くを非地元のチェーン店に依存する事は、地域の食に対するリスクです。
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/615042/
皆さんはどう思いますか?