e-むらづくりと国策の罠

政策パンフレット

最近は、街頭演説の際に配るための「政策パンフレット」を作っています。

色々な人に見てもらい、指摘事項の修正をしたり、根本から作り直したり、試行錯誤をしています。

https://nakanishidaisuke.com/2019/07/18/kouyaku1-0/

しかし自分で言うのも何ですが、私が書いている「政策パンフレット」は、「実現性」がかなり疑問です。

自動運転とか、遠隔介護とか、或いは多様な教育の場とか、そういう「新規事業」に対しては、必ず「法律の壁」が立ちはだかります。

本日は、政策パンフと紐づけて、かつて五島市で大失敗に終わった「e-むらづくり事業」についてご紹介します。

ゼネコンと市民負担

「e-むらづくり事業」とは、農林水産省の「情報化による農業・漁業および地域社会の活性化計画」で、その内容は多岐に渡ります。

情報格差の大きい五島市に光ケーブルを敷設し、その上に様々なソフトを載せるイメージです。

詳細はこちら。

https://www.ntt-west.co.jp/csr/pdf/25_26.pdf

しかしこの中身は、平成21年3月の草野議員の言葉にある通り、

ゼネコンがもうけるために闇カルテルでお互い手を組んだ。そのことによって我々が、e-むらづくりの価格が高くなった。

という内容です。

e-むらづくりのメリットは?

H17.12月の答弁によると、

市民生活編

市民の皆様が市役所に出向くことなく、各種の申請でありますとか、届け出ができる環境となってまいります。具体的には、

  • 公共施設を利用する際の予約
  • 図書館の図書の貸し出し予約
  • 選挙時の電子投票
  • 電子入札

こういったことが可能となってまいります。

15年後、かなりの公共施設はアナログな書類文化が残っています。

福祉関係

  • 診療の予約、申し込みといったことが容易にできるように
  • 二次離島地域におきましても、各医療機関の連携による遠隔医療システムが構築をされますと、より鮮明な画像を用いた遠隔での診療
  • 医療機関での電子カルテの共有化

  • 検診データの集中管理

  • 個人の患者さんに適した診療・検査が受けられる

このうち、実現できたことは幾つくらいでしょうか??

教育関係

さまざまな世代の住民ニーズに合った各種講座、講演会、シンポジウム、こういったものを超高速な情報通信基盤を活用いたしまして、

  • サテライトカレッジ

  • e-ラーニングと言われる新たな学びの機会が創出

  • 受講したい内容が自分のペースで受講できる

ということになりますので、時間的、経費的な節約が可能となってまいります。

全くそのようになっていない気がします。

H26年の草野議員の質問では、e-むらづくりの総括として、

今、読み返してみますと、「絵に描いた餅」でございます。つまり、合併後力を入れてあった事業が失敗であったと、だから今いう激減した人口になってしまったんだということでございます。

と質問がされています。

政策のまとめ

なぜこのような、ダメダメな政策が推進されてしまったのでしょうか?

私の見解では、「国の号令にホイホイと乗っかってしまったこと」が原因だと考えています。

e-むらづくりを巡る紆余曲折は、かなり詳しく下記の資料に述べられています。五島の政治に興味がある方はぜひ。

http://www.lib.kobe-u.ac.jp/repository/81002099.pdf

この中で、最後のまとめ部分が特に印象的なので、抜粋です。

地上波デジタル化を急ぎ、平成の大合併で自治体数を減少し、「三位一体の改革」で地方経済の疲弊を招いた施策のツケが、地方自治体に回されている、ということになるだろう。

広域合併した自治体内の情報格差は、都道府県ではなく、当の自治体が解決するしか仕方がないからだ。

IT立国で全国津々浦々まで高速インターネットとデジタルテレビを普及させようとすれば、ケーブルテレビ施設用の大型投資を、ということになる。

たとえそれが、安くテレビを見たいだけの高齢者の、利害に反していたとしても。

冒頭に紹介した構図で言えば、

  1. 大手機器メーカーが儲けの種を探す
  2. 「e-むらづくり」で国とタッグを組み、機器を販売
  3. 全国の地方で本来は必要のない設備が販売

という形になるでしょう。要するに、末端の地方は高い買い物をさせられただけ、と言うのが「e-むらづくり」の実体ではないでしょうか。