農業知らずの都会育ち
とんと農業には縁のない人生を送ってきました。
今年の2月、サーバールームのようなコンクリートジャングルから抜け出して、リアルなジャングルが生い茂る五島に移住しました。
都市部に比べると圧倒的に田畑の多い五島ですが、地元の人からこんな忠告を頂いたりしました。
「農業をやりに来たのだったら、『帰れ』と言うところだったよ。」
或いは低賃金(農家のお仕事)で苦しむ若者の話を小耳に挟んだりしていました。
そんなこともあり、私は
「五島で農業」は儲からなそうだなあ。
という先入観を持っていました。
ある日、長崎新聞の記事をぺらぺらと読んでいると、
『農業で儲ける』
と書いてある記事を見つけました。
「こ、これは・・・。」
早速バイクを飛ばして会社訪問をし、お話を伺ってきました。五島の三井楽にある「アグリコーポレーション」という会社です。
社長の佐藤さんは7年前に五島で起業をされた方で、ご家族を置いてこちらで事業を営まれています。
会社設立の経緯に関しては、
がとても参考になります。
電撃取材
見ず知らずの移住者がいきなり
「興味があるので、話を聞かせてください」
なんて言っても、普通は会ってくれませんよね?
でも社長の佐藤さんは、わざわざ私のために時間を空けてくれ、忙しいにも関わらず色々と話を聞かせてくださりました。
お土産のお菓子とコーヒーも頂きました。
農業って儲かるの?
結論から言うと、私の安直な思い込みは、社長の話を聴いて見事に打ち砕かれました。
社長は元々、農業コンサルタントとして働いていましたが、実際に現場で農作業を行って、
農業ほど技術が必要とされるビジネスはない
ということを発見したそうです。
現場を知らない人の言葉よりも100倍重みがありますよね。
「六次産業化して販売先を増やせばいい」
って言うのは簡単だけど、それを実践するのが難しくて皆頭を抱えている状態です。
数字にめっぽう強く、「現場を知って仕組みがわかっている」人が経営を担えば、鬼に金棒ですよね。
種まきと収穫
それからお話の中で印象的だったのは、
ビジネス毎に、軌道に乗るための時間は異なる
ということです。
(そろそろ実がなるかな~)
っていう感覚も、現場での経験とノウハウがあってこそ、初めて実感できる言葉だなあ、と感じました。
どんなビジネスでも、大なり小なり軌道に乗るまでの時間は必要です。種まきからの収穫を考えると、農業は他のビジネスと比べて必要な時間が長いのでしょう。
そのため、実がなるまでの期間を乗り越えられずに萎んでしまう会社が殆ど。
「10年間で生き残るの会社は1割」
というのもその証左ですね。
日本は外国から見れば島
「離島のハンデ」みたいな言葉を良く耳にします。
農業のビジネスを(すごくざっくり)考えると、
生産→加工→出荷→販売
というプロセスの中でロスを減らし、販売先さえ増やせれば、農業は上手く行きそうな気がします。
ところが五島のような「離島地域」は、出荷のコストが高い(燃料費が高い)ために、不利な条件である、と言われることが多いです。
そしてそれが「儲からない」という思い込みに繋がっているのかもしれません(燃料代を価格転嫁できずに競争力が落ちる)。
しかし!
それは日本国内(とりわけ都市部への出荷)という狭い見方をした場合に過ぎません。
海外から見れば、日本なんていうのは大きな島国。
中国・韓国との距離だけで言えば、五島は大きなアドバンテージがあるわけです。佐藤社長のお言葉を借りれば、
「五島だから」は理由にならない
ってことです。含蓄がありますね。
そのほかにも経営に関する貴重な意見を聞き、とても勉強になりました。
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