第5次五島市財政改革プランについて~問われる”本気度”~

第五次財政改革プランが発表されたので紹介です。

https://www.city.goto.nagasaki.jp/s010/010/010/010/050/20190314112941.html

出口市長は初日の施政方針演説で、

「このままだとR12に基金が枯渇する」

というショッキングな見通しを表明して、議員は危機感が高まりました。

私も財政に関してはかねてから一般質問でも取り上げていて、3月議会でも主要なテーマとしました。草野議員も同様です。

ところが最終日になると市長は一転して、

「財政改革プランに基づき、歳入の確保、歳出の抑制に取り組むことで、令和12年度末の財源調整基金の残高を46億4,900万円と見込んでおります。」

と述べました。

最初からそう言えば良かったのに、最終日に後出しじゃんけんするのは疑問ですが、、、

本日はこの財政改革プランについて、以下の3点でAIによる検証をします。

  1. 従来から変更になった点は?
  2. 3月議会で議員(中西、草野)から提案された事項が盛り込まれているか?
  3. 実現可能性に対する評価と想定される財務上のリスクは?

1. 第四次から変更になった点

結論

第五次プランは、第四次の延長線上にある計画ではあるが、「基金維持」から「基金枯渇回避」へ危機認識が大きく強まり、歳出削減も「個別費目の節減」から「事務事業の抜本見直し」へ比重が移った点が最大の変更点である。

主な変更点

  • 危機認識が大きく変わった。 第四次では令和7年度の財源調整基金残高60.24億円見込みを前提に「47.64億円以上を維持」が目標だったが、第五次では現状のままなら令和8年度から令和12年度まで毎年度約8.2億円〜15.8億円の収支不足が生じ、令和12年度末に基金が枯渇する見込みと明記された。
  • 基本目標が厳格化した。 第五次では財源調整基金残高を令和12年度に46.49億円以上維持、経常収支比率を令和12年度95%未満、実質公債費比率を10%未満に抑制とした。第四次の「期間中95%未満」「実質公債費比率9%未満」からみると、公債費指標はやや緩和された一方、基金残高目標はより切迫した前提で置かれている。
  • 歳入確保の中身が入れ替わった。 第四次にあった「有利な地方債の活用による財源確保」「債券の運用」「その他の歳入確保」の構成が、第五次では「使用料・手数料の見直し」「各種基金の有効活用」「その他の歳入確保」に再編された。特に受益者負担の適正化を正面から打ち出した点は新しい。
  • ふるさと納税への期待値が大幅に引き上げられた。 第四次は最終年度5億円目標だったのに対し、第五次は最終年度10億円目標となっている。
  • 歳出改革の中心が「抜本見直し」へ移った。 第四次は人件費、物件費、補助費等、投資的経費を個別に削減する形だったが、第五次は最初に「事務事業の抜本的見直し」を置き、その中に物件費見直しと補助費削減を内包させている。
  • 公共施設統廃合と業務効率化が独立項目になった。 第五次では公共施設統廃合、ICT・AI活用、職員の適正配置と定員再配分が独立した柱となり、人口減少下の行政規模の縮小と業務再設計をより前面に出した。
  • 事業評価の位置づけが強まった。 第四次でも事業評価への言及はあったが、第五次では「事業成果の見える化」「長期継続事業の廃止・見直しを積極実施」と踏み込みが強い。

実質的に変わっていない点

  • 自主財源に乏しく、依存財源が約8割という構造認識そのものは変わっていない。
  • 市税徴収率向上、ふるさと納税、遊休資産売却・貸付、有利な財源の確保など、改革メニューの骨格は継続している。
  • 「選択と集中」を軸にする姿勢は第四次から一貫している。

2. 3月議会で中西議員・草野議員から提案された事項は盛り込まれているか

結論

草野議員の問題意識は一部反映、中西議員の個別提案は限定的反映という評価が妥当である。第五次プランには、両議員が問題提起した方向性の一部は入っているが、議会で出た具体策の多くは本文の行動計画レベルまでは落ちていない。

中西議員の提案の反映状況

  • 自主財源確保の強化:反映あり。市税徴収率向上、ふるさと納税倍増、使用料・手数料見直し、遊休資産売却、基金運用などは第五次プランに入っている。
  • 施設使用料・補助金の見直し:反映あり。使用料・手数料の見直しは歳入項目として明記され、補助費等削減も歳出改革に織り込まれている。
  • 全庁横断のプロジェクトチーム・タスクフォース:本文反映なし。市長答弁では「タスクフォース的なものを作る」と述べているが、第五次プラン本文には組織体制として明記されていない。
  • ネーミングライツ導入:本文反映なし。中西議員質問に対し市側は研究・ガイドライン作成着手と答弁しているが、第五次プランの歳入項目には明記されていない。
  • 公用車・ごみ収集車広告、福江港ターミナルのサイネージ広告、公共Wi-Fi広告:本文反映なし。議会答弁では「研究」「調査・検討」だが、プラン本文には載っていない。
  • 港・空港でのふるさと納税PR強化:直接反映なし。ふるさと納税強化は入っているが、港・空港でのPRや旅先納税のような具体策までは書かれていない。

草野議員の提案・問題意識の反映状況

  • 従来型予算編成では危機を乗り切れないという指摘:反映あり。第五次では事務事業の抜本見直し、事業成果の見える化、長期継続事業の廃止・見直しが明記された。
  • 前例踏襲をやめ、全事業の必要性・効果・実績を検証すべきという問題意識:反映あり。第五次の「抜本的見直し」と「見える化」はこの方向に沿っている。
  • 組織の見直し、部制や課のあり方、職員不足を踏まえた再編:一部反映。第五次に「業務の効率化」「職員の適正配置と定員管理」は入ったが、議会で論点になった部制の再検証や具体的な組織再編方針までは入っていない
  • 危機感に見合うもっと踏み込んだ予算統制:一部反映。文章上は強化されたが、基金残高目標や健全化後の経常収支比率を見ると、まだ余裕が乏しく、草野議員が求めた「覚悟が見える計画」になったとまでは言い切れない。

総合評価

議会提案との関係で見ると、プランに反映されたのは「考え方」と「大きな方向性」が中心であり、個別施策や実施体制の具体化は弱い。特に中西議員の提案は、行政答弁レベルでは前向きな表現があるものの、第五次プラン本文にはまだ落ち切っていない。

3. 実現可能性に対する評価と想定される財務上のリスク

実現可能性の評価

評価は「部分的には実現可能だが、かなり挑戦的」である。

  • プラス要因:遊休資産売却、使用料見直し、補助費整理、業務効率化、長期継続事業の廃止・見直しは、市の裁量で進めやすく、一定の効果は見込みやすい。
  • 実行の核心:第五次の成否は、新規施策よりも既存事業をどこまでやめられるかにかかっている。ここを実行できれば計画は前進する。
  • 難所:ふるさと納税10億円目標、使用料見直し、補助金整理、施設統廃合、定員再配分は、いずれも市民・関係団体・職員との調整コストが高く、政治的な抵抗も受けやすい。
  • 総合判断:財政危機を避ける方向性は妥当だが、文章で掲げた改革の強さに対し、実施体制の具体性がまだ弱いため、達成確率は高いとは言いにくい。

想定される主な財務上のリスク

  • ふるさと納税依存リスク:目標を5億円から10億円へ倍増しているが、競争激化や制度変更、返礼品確保難が起きると歳入計画が崩れやすい。
  • 物価・人件費上昇リスク:第五次でも人件費増、物価高騰の影響は明記されており、委託料・維持管理費・建設費が想定以上に膨らむと削減効果を相殺する。
  • 公共施設統廃合の遅延リスク:統廃合は合意形成に時間がかかるため、計画通り進まなければ維持管理コストが残り続ける。
  • 補助金・既存事業見直しの政治的先送りリスク:最も効果の出る分野ほど利害関係者が多く、先送りされると計画全体の実効性が低下する。
  • 交付税・国県補助制度依存リスク:依存財源が約8割という構造は変わらず、制度改正や交付算定の変化を市単独では制御できない。
  • 災害・突発支出リスク:離島自治体では災害復旧、インフラ更新、交通・医療・福祉の緊急対応が発生しやすく、基金取り崩し圧力が再び強まる。
  • 組織実行力リスク:職員不足が議会でも問題視されており、改革を進める側の人員が不足すれば、見直し・統廃合・収納強化・DXの実行速度が落ちる。
  • 健全化後でも余裕が薄いリスク:健全化後の基金残高は令和12年度で46.49億円目標だが、経常収支比率は96.9%見込みで、政策余力はなお乏しい。危機回避はできても、財政の自由度が十分に回復するとは言いにくい。

最終評価

第五次財政改革プランは、第四次より危機認識が深く、内容も踏み込んでいる。しかし、「基金枯渇回避のために何をやめるのか」をさらに具体化しない限り、実行段階で後退するリスクが大きい。議会で出された提案のうち、特に自主財源確保のための横断体制づくり個別収益策の具体化は、今後の補強ポイントとみるべきである。

まとめ

第五次プランは、従来の延長ではなく「危機対応型」へ一段踏み込んだ計画である。ただし、議会提案の反映は方向性レベルにとどまり、個別施策や体制設計はまだ弱い。したがって、今後の焦点は計画の良し悪しそのものより、実際に不採算・低効果事業の見直しと組織再設計をやり切れるかにある。

中西の意見

どんな計画も、立ててから実行するまでの本気度が必要です。

3月議会でも苦言を呈しましたが、私は様々な行政計画が

作って終わり

になっている部分があるのではないかと思っています。今回の財政計画も建前としては「5年に1度作成する」計画です。要するに、これからも作って終わりで本気度がなければ、達成は難しいです。

その辺りの本気度や具体的な行動がどこまで落とし込めるか、議員としてもチェックしていきたいと思います。