荒川温泉が閉館—“癒し”が消える五島市で、いま何が起きているのか

  • 2025年12月12日
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荒川温泉が閉館—“癒し”が消える五島市で、いま何が起きているのか

五島市・荒川地区で長年親しまれてきた「荒川温泉(地域福祉センター荒川温泉)」が、2026年3月末を目途に閉館する方針が示されました。
「温泉だけでも残せないのか」「地域の足が遠のくのでは」——議会では、住民感情に直結する切実な声が相次ぎました。

この記事では、議会での質疑をもとに、議員側の主張市役所側(市長・担当部局)の対応方針を整理し、
“何が争点なのか”をAIがわかりやすくまとめます。

 

結論:争点は「誰が責任を持ち、いつまでに、何を決めるか」

荒川温泉の閉館は「社協(社会福祉協議会)が決めたこと」と説明される一方で、
市からの補助金や、市職員が社協の役員に入っている実態を踏まえると、
「市が“注視”だけでよいのか」という問いが浮上しています。

さらに、浴場だけでも暫定的に継続できないかという要望に対し、
市側は浄化槽(借地)問題を大きな障壁として挙げました。
つまり、論点は感情論ではなく、制度・設備・調整の“具体”にあります。

 

荒川温泉とは:地域の“癒し”であり、生活インフラだった

議会では、荒川温泉が単なる入浴施設ではなく、
高齢者の健康維持、リハビリ、交流、そして“暮らしの安心”を支える場として語られました。
40年通う住民の存在も触れられ、閉館は日常の喪失につながるという危機感が共有されています。

 

議員の主張:閉館で失われるのは「温泉」だけではない

1)地域福祉の拠点として、代替がきかない

「体に不調がある人も来る」「癒しの場がなくなる」など、
入浴が生活の一部になっている住民の現実が指摘されました。
施設の位置づけを“収益事業”だけで片付けるのは乱暴ではないか、という問題提起です。

2)閉館は荒川地区の経済・にぎわいにも直撃する

「温泉に入った後に近くで飲食を楽しむ人もいる」——この動線が消えると、
商店や飲食店に影響が出る可能性がある、という懸念が示されました。
温泉は地域振興の核になり得る、という視点です。

3)“温泉だけでも”残せないか——暫定継続の提案

「施設全体の売却は仕方ないとしても、買い手が決まるまで浴場だけでも使えないか」
という現実的な提案が繰り返し出されました。
ところが、説明会では「できません」との回答だったとされ、
そこに行政の姿勢への不満が集中しました。

4)社協は別組織?それで終わらせてよいのか

市から社協に補助金が出ていること、そして市職員が理事・評議員として関与していることから、
「他団体だから仕方ない」と線を引く説明に疑問が投げかけられました。
“市民の財産”としての視点から、もっと踏み込んだ協議を求める声です。

 

市役所の説明:閉館は「社協の決定」/最大の壁は浄化槽

1)閉館判断は社協の内部検討(赤字・老朽化・人員確保)

市側は、社協が検討委員会を設置し、
温泉・デイ等の赤字や修繕費の増大、人員確保の困難を理由に「継続困難」と判断した、
という経緯を説明しています。

2)市は補助関係にあるが、運営判断への直接介入は難しい

社協は独立した社会福祉法人であり、市とは別組織であるため、
市が経営判断を左右するのは容易ではない、という立場が示されています。

3)浴場継続の障壁:浄化槽が借地で、撤去・返還予定

市長答弁では、浄化槽が個人の土地を借りて設置されており、
将来的に撤去して返還する予定だと説明されています。
継続するなら新たな浄化槽設置が必要になり、現段階では難しい——これが“できない理由”として語られました。

4)ただし「何らかの手段の検討」「地元と協力」「スピード感」も言及

議員側の強い要望を受けて、市長は「何らかの手段を検討する必要がある」「地元の皆様と話す」「スピード感を持って対応したい」といった趣旨の答弁もしています。

ここが今後の展開を左右するポイントです。

 

次に問うべき“具体論”:感情論で終わらせないために

  • 閉館までに「浴場のみ暫定継続」の可能性を技術・費用・法令で整理したのか
  • 浄化槽の修繕・更新・仮設など、代替案を比較したのか
  • 市・社協・地元(利用者・商店・関係者)で、協議の場は設けられるのか
  • 売却後の活用(温泉の存続含む)を、観光・福祉の両面でどう位置づけるのか

重要なのは、“賛成・反対”ではなく、選択肢と条件を市民に見える形で示すことです。
それができて初めて、地域は次の一歩を選べます。

 

まとめ:荒川温泉は「地域の未来」の話になった

荒川温泉の閉館は、施設の老朽化や赤字という経営課題だけでなく、
「地域福祉」「暮らしの安心」「観光資源」「行政と社協の関係性」まで含む、
まさに地域の未来を問うテーマになりました。

今後、市が“注視”から一歩踏み出し、具体的な代替案・工程・協議体制を示せるかどうか。

そこに、住民の納得感がかかっています。

※本記事は、議会での質疑内容をもとに要点を整理したものです。状況の変化や追加情報が出次第、随時更新します。

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