【令和6年3月/五島市議会】施政方針4五島の宝・子どもが育ち、輝く“しま”をつくる

4五島の宝・子どもが育ち、輝く“しま”をつくる

【結婚・出産・子育ての支援】

五島市では、4月から、全ての妊産婦、子育て世帯、子どもへの相談支援を一体的に行う機能を有する「こども家庭センター」をこども未来課内に開設します。

「こども家庭センター」では、児童福祉の相談等を担当する家庭児童相談室と妊産婦・乳児の支援を担う子育て世代包括支援センターネウボラGOTOの2つの機能を持った一体的な組織として、子育て家庭に対する相談や様々な支援を行ってまいります。

 

昨年4月に施行された「こども基本法」において、全てのこどもが将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指し、こども施策を社会全体で総合的に推進していくことが明記されました。現在、この法律に基づき、こども施策に関する基本的な方針や重要事項等をまとめた「五島市こども計画」の策定を進めており、令和6年度中に公表する予定としております。

 

この計画は、現在、取組を進めている「子ども・子育て支援事業計画」と「子どもの貧困対策推進計画」を包含する後継計画となります。計画の策定に当たっては、子どもや養育者、その他の関係者の意見をしっかりと反映してまいります。

 

出会いの支援については、結婚を希望する若者へ、出会いから結婚への足掛かりとなるよう、民間業者と連携した婚活イベントを継続しながら、気軽に参加できる内容への見直しなど、ニーズに合わせた出会いの場を創出してまいります。

また、結婚後の支援として、引き続き家賃・引っ越し費用の助成をしながら、経済的負担を軽減してまいります。

 

出産支援については、妊娠期から出産・子育てまで一貫した伴走型支援、経済的支援を一体的に行い、妊婦・子育て世帯が安心して出産・子育てができるようきめ細かな支援を行っております。

令和6年度からは、新たに1か月児の健康診査費用の助成を開始します。経済的な負担を軽減することで、出産から就学前までの切れ目のない健康診査体制を整えてまいります。

 

歯科保健事業については、虫歯がある乳幼児の割合が、全国平均より高い状況にあります。マイナス1歳からの虫歯予防として、令和4年度から妊産婦歯科健康診査を開始しました。令和6年度からは、妊婦の夫又はパートナーも歯科健診の対象とし、乳幼児の虫歯予防につながるよう事業を拡充します。

子育て支援については、引き続き五島市保育会や関係機関と連携し、保育人材不足の解消に向けた取組を進めるとともに、遊び場や放課後における生活の場、地域における学びの場の確保など、子ども達が安心して過ごすことができる居場所づくりに努めてまいります。

奈留地区における保育については、奈留小中学校内への保育所移設工事を進めており、4月からの開園に向け、関係者との最終的な調整を行っております。今回の移設により、保育園児から小・中学生、高校生までの幅広い年代の子どもが同じ敷地で生活し、学ぶことができる環境が整います。

学校との併設による保育所運営は、全国的にも珍しい事例であり、今後、新たな課題が生じることが想定されます。引き続き保育所、学校と連携し、課題解決に取り組むとともに、子ども達にとってより良い環境となるよう保護者や関係者の皆様のご意見を伺いながら、「しま」ならではの保育を推進してまいります。

玉之浦地区へき地保育所については、現時点において入所希望者がいないため、令和6年度は休園することとしております。

休園に当たっては、玉之浦地区にお住まいの子育て世帯や地域の皆様からご意見を伺った上で判断したところであり、令和7年度以降の取扱いについては、引き続き状況を見ながら検討してまいります。

子どもの貧困対策については、県内で活動している一般社団法人ひとり親家庭福祉会ながさきと連携し、昨年12月から、つなぐBANK事業に取り組んでおります。この事業は、流通に出せない食品・日用品などを企業等から寄贈してもらい無償で提供する取組です。企業や民間ボランティアなどのご協力をいただきながら、官民一体となった支援体制を整えてまいります。

【教育のしまづくり】

令和5年度の市内の児童・生徒数は、2,177人で、平成17年度の4,291人から2,000人以上減少しております。

このような中、複式学級の解消や集団学習に必要な一定の学校規模を維持するため、崎山小学校、大浜小学校、奥浦中学校及び崎山中学校の

4校を、今年度をもって閉校することとしました。子ども達は統合先の学校との交流学習を重ねており、課題となっておりました通学方法も決定し、統合に向けた準備も整いました。

令和6年度は、子ども達が安心して学校生活を送れるよう、統合先の学校に支援員を増員し、受入体制の充実を図ってまいります。

なお、保護者との協議が整っていない奥浦小学校及び盈進小学校については、引き続き、協議・調整を進めてまいります。

今後も平成30年3月に策定した「五島市立小学校・中学校における規模の適正化と適正配置の基本方針」に沿って学校の適正配置に努めてまいります。

五島南高等学校と奈留高等学校の離島留学制度については、県立高校の存続及び地域活性化を図るため、関係団体等と連携し、必要な支援を行っております。

令和5年度、県は離島留学制度の運営上の課題や制度が持続可能なものとなるような措置を検討するため、「これからの離島留学検討委員会」を設置し、制度の改善に向けた具体的な提案を取りまとめました。

これを受け、五島市においては、生徒や里親に対するサポート体制の強化や生徒の受入体制の見直しなど、今後、県、学校、地域、里親等と連携し、支援体制の強化を図ってまいります。

久賀島と奈留島で実施している「しま留学生受入事業」について、令和6年度は、しま留学制度で久賀島に8人、家族留学制度で奈留島に2世帯5人を受け入れる予定です。「これからの離島留学検討委員会」の報告を受け、高校の離島留学同様、留学生やしま親が一人で悩みを抱え込まないような体制づくり、しま親の役割の明確化、子どもの状況や親の考えの事前確認方法などについて協議会を中心に見直しを進めてまいります。また、しま親の確保に努めるとともに、市内にある高等学校が留学生の進学先の一つとなるよう、中・高連携の強化を図りながら五島市教育の魅力を発信してまいります。

英語教育を推進し、グローバルな視点をもった人材育成を目指すプロジェクトGの取組については、これまで同様に小学校低学年からの英語教育を推進するとともに、外国語指導助手(ALT)のネイティブな英語に触れながら学べる環境の充実を図ります。また、タブレット端末の有効活用に加え、小学校6年生と全中学生を対象とした外部検定試験を、実態に即してGTECから英検に変更します。今後も、学力の状況を細かく把握し、日常の英語指導に生かしてまいります。

不登校をはじめ一人ひとりに応じた支援体制づくりとして、スクールソーシャルワーカーの配置時間を増加し、学校適応指導員を増員するとともに、新たに教員業務支援員を配置することで児童生徒、保護者、教職員へのサポートを強化してまいります。

全ての小学校・中学校で、五島の地域資源を活用した「ふるさと教育」を実施しております。特に、五島市の未来を担う児童生徒が、少子化、人口減少等のふるさとが抱える課題を捉え、その解決に向けた学習活動の創造を支援する「ふるさと活性化貢献支援事業」では、今年度、小・中・高の8校を指定校に位置付けて支援しております。今後も、ふるさとについて学ぶ機会を拡充しながら、ふるさとを誇りに思う心を醸成し、五島に残り又はUターンするなど、一人でも多く五島の活性化に貢献できる人材の育成を推進します。

文化の振興については、伝統芸能鑑賞会や芸術家派遣事業及び東京芸術大学の指導者による音楽セミナー・合同演奏発表会など、多くの子ども達が優れた文化芸術に触れる機会を提供してまいります。

令和7年度には、国内最大の文化の祭典「国民文化祭」が本県で初めて開催されます。五島市においても、全国大会として「連句の祭典」を開催するほか、五島ならではの文化資源や地域資源を活用した事業を計画しており、引き続き、関係団体等と連携し準備を進めてまいります。

次に、4つの基本目標以外の項目について、ご説明いたします。