チョイソコとは?
2021年6月時点で19自治体様への導入実績がある乗り合いサービスです。
五島市では2020年の10月から冨江で実証実験が始まり、4月から岐宿、10月から福江にエリアが拡大されます。
https://www.city.goto.nagasaki.jp/s050/010/020/030/070/20210812134844.html
五島市では4割が65歳以上の島であり、公共交通が利用できない地域もあります。
本日は、そんなチョイソコサービスのメリットやデメリットを解説します。
チョイソコのメリット
チョイソコのメリットとしては、
- 料金が安い(1回300円)
- 時間を指定できる
- 交通空白地域の移動手段になる
と言った点が挙げられます。
バスよりも時間に融通が利き、タクシーよりも値段的に安い点がメリットです。
チョイソコのデメリット
チョイソコのデメリットとしては、
- 通話代がかかる
- 毎回予約しなければいけない
- 利用時間帯が限られている(土日・15時以降はNG)
- 乗り合いのため、目的地にスムーズにいけない
- 利用範囲が制限されている(使えない地域がある)
- 他の交通事業者の民業圧迫になる
と言ったデメリットが挙げれます。
利用時間やサービス範囲はお住まいの地域によって異なりますが、サービスエリアに関しては利用者のニーズに合った改善が必要と思います。
なぜ持続可能なのか?
普通に考えれば、1回300円の乗り合いでは採算が合いません。
必要な経費は、市町村の負担となっているため、サービスの提供が可能となっています。
五島市の場合、1台300万円の予算を計上しています。その内訳としては
- 運転手賃金
- 車両借上料
- 燃料費等
- 運行管理システム利用料
- サーバー料金
が挙げられます。一方で、運営会社が負担する経費としては、
・オペレーション、車載器、通信費、運転手講習
・会員申込書作成、印刷・会員証発行、送付
・停留所看板作成、設置、地図作成 など
が挙げれます。
運営会社のメリット
運営する会社にとってのメリットは、
- 個人情報の取得(広告を送れる)
- AIによって運行データを蓄積できる
が挙げれます。利用規約の中には「19.個人情報法の取り扱い」の中で
個人情報は、本サービスにかかる車両の運行、運行に関するご利用状況・ご意見調査、
広告配信の目的にのみ利用し、他の目的には利用しません。
とあります。利用者の興味にあった広告サービスを提供するための個人情報を取れる事に加え、
今後の交通サービスで欠かせない大きな変化(Maas)に備え、走行データを取得する事が出来ます。
自治体のメリット
サービスを導入する自治体のメリットとしては、
- 交通サービスの外部委託により、交通空白地域の課題解消
を目指す事が出来ます。ただし、本当にそれが最適な手段であるかどうかは、
執行部や議員の間で常に検証されていくべきであると感じます。
利用者の声
私は実証実験が開始された冨江地区において、多くの方から生の苦情を聴いてきました。
住民の方から頂いた意見からすると、
利便性が悪いため、交通空白地域の課題解消に至っていない。
これが現実だと感じます。
現に、五島市の冨江地区では、サービス対象区域外のエリアにおいて、街づくり協議会がボランティアドライバーで対応をしています。
導入のリスク
チョイソコの最大のリスクは、運行事業者が一方的にサービス提供を解消する事です。
「21.チョイソコセンターの稼働中断・中止 当社は、メンテナンスのため、チョイソコセンターの稼働を中断し、または停止する場合があります。」
五島市の場合、10月からは福江の街中も含めて7台の車が走る事になるので、2,100万円の出費になります。
私の意見としては、これだけ出費する覚悟があるなら、もっと有効な方法があるのではないかと感じます。
最悪のシナリオとしては、
- チョイソコの導入により、民間企業の経営が圧迫され淘汰される
- チョイソコの運営が厳しくなり、撤退する
- 地域の交通サービスを担う主体がいなくなる
というケースです。
本来であれば、
- 基礎自治体が、地域の交通課題の解消に向けたサービスを担う
- 最大限技術的な要素を導入し、経費を削減する
- 利用者ニーズに合ったサービスに向けて改善を繰り返す
これが水道行政と同じく、自治体の役割ではないでしょうか。
なぜなら、民間企業は一方的にサービスを停止する可能性があるからです。
会社の経営が悪くなれば、撤退するのは合理的な判断です。
それに何より、地域に落ちるお金が外に流れていく、という事で地域経済にとってもマイナスです。