エネルギー政策に関する政党ごとの違いはあるの?
この質問に答えます。
比例代表の候補先を選ぶ判断の一つにした頂ければ嬉しく思います。
日本が掲げた国際公約
日本は主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で、
2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする目標を示し「国際公約」とされました。
このため、どの政党も再生可能エネルギーの普及と石炭火力からの撤退という方向性に大きな違いは生じません。
本記事では、政党ごとに意見が分かれる「原発政策」の違いをご紹介します。
脱原発に向けた立場の違い
自民党
自民党議員の中には様々な立場・意見があり、脱原発を訴える議員もいます。
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20210505/pol/00m/010/003000c
しかし本記事では、政権与党の政府が進める「エネルギー基本計画」を前提に紹介します。
6月末時点ではまだ公表されていませんが、2021年5月17日の日刊工業新聞によると、
再エネを3割台後半に引き上げる一方、原発は引き続き2割程度とし、運転時に二酸化炭素(CO2)を排出する火力は4割程度に縮小する
と検討されているようです。こうした中で、関西電力は6月23日、
運転開始から44年たつ美浜原子力発電所(福井県美浜町)3号機を10年ぶりに再稼働させています。
原発への依存度を2割に保つためには、40年ルールに縛られない形で原発の再稼働をしていく事が必須となりますが、政治が主導的な役割や方向性を示していない事が指摘されています。
こうした事を受け、日本維新の会からは、政治主導の必要性を求める提言がされています。
https://o-ishin.jp/news/2021/images/ae3be2db191b7ad409f410bd270adcb4936ce1a3.pdf
公明党
公明党のHPによると、
原発への依存度を徐々に減らして、将来的に「原発に依存しない社会・原発ゼロ社会」をめざします。
とされ、新規着工は認めず、建設後40年を経た原発の運転を制限する制度を厳格に適用するとの立場ですので、
自民党よりも原発に対しては厳しい立場であると言えそうです。
立憲民主党
綱領によると
原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現します。
原子力発電所の新設・増設は行わず、すべての原子力発電所の速やかな停止と廃炉決定をめざします。
と記載がありますが、枝野代表は会見にて、
現実的な原発0を目指すが、その手段として「原発ゼロ法案は作らない」
と述べています。
https://www.asahi.com/articles/ASP436WQYP43UTFK009.html
国民民主党
国民民主内では、脱原発に関して、産業別労働組合(産別)出身の議員を中心に批判が根強いと言われています。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62716310X10C20A8PP8000/?unlock=1
そのため、基本政策に「30年代原発ゼロに向け、あらゆる政策資源を投入」と記すのみに留まり、
立憲民主と比べると脱原発に向けた時間軸が遅くなっています。
共産党
共産党では、「原発ゼロ基本法」を制定し、「原発のない日本へ」と謳っています。
https://www.jcp.or.jp/web_policy/2019/06/2019-bunya30.html
原発ゼロ基本法案を制定しないとしている立憲民主党よりも、更に急進的な姿勢です。
日本維新の会
政策HPにはエネルギー政策が記載されていませんが、維新の会は2019年の公約に脱原発を掲げています。
こうした方向性を政治が主導的に示すための改革案の提出も行っています。
https://o-ishin.jp/news/2021/images/ae3be2db191b7ad409f410bd270adcb4936ce1a3.pdf
れいわ新選組
れいわ新選組は、原発の即時廃止を掲げています。
課題となる「核ゴミの置き場」と「使用済み核燃料」に関しては、
政府が通貨発行によって電力会社の資産を買い上げ、倒産させない仕組みを提唱しています。
まとめ
エネルギー政策を巡っては、国際的な公約の縛りがあるため、
再生可能エネルギーの普及&脱炭素に向けた火力依存度の低下
が各政党で共通の方向性となりそうです。これに関しては大きな違いはありませんが、
「脱原発に対する立場や意見の違い」が大きな争点となりそうです。
※↑あくまで筆者のイメージです
各政党がどの母体から支持を受けているかによって、意見も異なってきます。
エネルギー政策は国の根幹を支える大事な部分ですので、
選挙の際の検討ポイントにしてみてください。