再エネが欧州と比べて低いと言われているけど。。。
何が課題になっているの?
こうした疑問に答えます。
本記事を読むと、「再エネが抱える課題」が分かります。
太陽・風力が抱える系統制約の課題
再エネの主力化に向けて、太陽光と風力に対する期待が大きくなっていますが、系統制約の課題が立ちふさがります。
系統制約とは、需要と供給のバランスを調整する問題です。
運送にたとえると、工場で沢山商品を作っても、消費者がそれを求めていなければ届けられないような状態です。
工場との違いは、電機は保存しておくことが出来ず、常に需給のバランスを取り続けなければいけない点です。
消費者のニーズと発電のタイミング(風力・太陽光)がずれる事により、調整が必要になります。
このため、例えば九州電力では、系統制約の問題により、たびたび「出力抑制」が行われています。
系統制約の問題は「容量面」と「変動面」の課題に分類され、
- 容量面:いかに接続可能な量を増やすか?
- 変動面:いかに需給のズレを調整するか?
が鍵になります。再エネの促進を促すためには、この系統制約の問題を解決が必要です。
これに向けた解決案として「日本版コネクト&マージ」が提唱されています。
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/saiene/keitouseiyaku.html
容量を増やす日本版コネクト&マージとは?
送電線の設備には限りがあります。
そこで、限られた既存の系統を最大限活用する発想のもとで、イギリスの制度を基に提唱されています。
車にたとえると、従来は発電所毎に専用のレーンが厳格に定められていました。
そのため、レーン全体の稼働率が低い(空きも多い)状態でしたが、コネクト&マージにより、より柔軟な運用が可能となる見込みです。
それでは次に、再エネついて個別の課題を紹介します。
太陽光の課題
太陽光発電は全国各地で見かけるようになりました。
しかし、固定価格買取制度(FIT)が高く設定されすぎたため、値下げのインセンティブが働かず、国民負担も大きくなっています。
FIT制度の根本的な見直しが必要です。
それに加えて、発電コストを抑えるために
- 分散型電源としての活用
- 蓄電池の価格低減
も課題です。
風力の課題
特に洋上風力では、これまで
①海域の占用に関する統一的なルールがない
②先行利用者との調整の枠組みが存在しない
事が利用の促進を妨げてきました。そのため、2019年に新法が制定され、五島市が初の指定を受けました。
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/yojo_furyoku/index.html
地熱の課題
地熱発電については、
- 地域の理解促進が不十分
- 投資リスクが高い
- 採掘の成功率を高める技術開発が不十分
- 環境アセスメントに時間がかかる
- 電気事業法上の安全規制が厳しい
などが指摘されています。これだけ見ると、地熱発電は非常にハードルが高い事業だと考えられます。
バイオマスの課題
バイオマスについては、
- 燃料費が高い
- 燃料が安定的に調達しづらい
- 地域の森林・林業施策が弱い
- 物流コストが高い
ことが指摘されています。
まとめ・再エネ課題は山積している
政府が目指す「再エネ比率の主力化」の実現には、発電種類ごとに様々な課題を抱えています。
- 法律的な課題の克服(政治家の仕事)
- 事業性の課題の克服(事業家の仕事)
これらの両者でタッグを組みながら、いかに課題を乗り越えていけるかがカギになると言えそうです。