五島市つばき商品券の問題点と改善案

7月27日~、五島市つばき商品券の発売がスタートしました。

https://www.city.goto.nagasaki.jp/s050/010/060/20200715153210.html

概要を簡単に説明すると、

10,000円で15,000円分の商品券が貰える(5,000円分お得)

というもので、1人3セットまで(45,000円分)購入可能になっています。

追加発行が決定(8月4日追記)

好評につき、30,000セットを追加発行いたします。

との事です。

https://www.city.goto.nagasaki.jp/s050/010/060/20200803182836.html

なぜ3日で売り切れたのか?(8月1日追記)

計算すると、こういう感じでした。

a福江会場枚数18000
b窓口数3
c平均購入セット数2.5
d1窓口の処理秒数30
e1窓口の処理枚数(a/b/c)2,400
f所要時間(秒)(e*d)72000
g所要時間(分)(f/60)1,200
h所要時間(時間)(g/60)20

(赤字は仮説です)

上記の通り計算をすると、20時間で売り切れてしまう計算になります。

7月27日(月曜日)から販売していたプレミアム付き商品券は、7月29日(水曜日)に、奈留地区・椛島地区を除き完売いたしました。

現在のところ追加発行等の予定はありませんのでご了承ください。

https://www.city.goto.nagasaki.jp/s050/010/060/20200730112024.html

私も大雨の中、様子を覗きに福江文化会館まで行ってみました。

そうしたなんと、五島の中ではめったに見かけない長蛇の列が!!

文化会館から250mくらいの行列が出来ていました。

三密を回避するように訴える行政が三密を促進している。。。

本日は、そんな商品券の問題点について考えてみます。

問題点1. 「買えない人」への不平等

HP上では、本事業の目的が

「影響を受けた市内経済の回復を図るため、市内消費拡大を喚起する目的」

とあります。

お店を救済するようにも見えますが、苦しんでいるのは事業者だけではなくて、全市民です。

今回の事業で「買えた人」と「買えなかった人」が発生した場合、五島市内での「小さな分断」が生じます。

五島市の人口は、7月末時点で36,446人とされています。

18歳以下を除くと大体3万人だと考えられ、今回の商品券は、合計で3万部発行との事です。

1人1セットだったら問題ありませんが、今回は「1人3セットまで」購入が可能です。

仮に先着者が上限の3セットまで買った場合、1万人しか買う事が出来ません。

人口比で考えると、約「3分の2」の人たちが、商品券を手にすることが出来ない形となります。

そのため、「早い者勝ちの心理」が働き、本日は朝の8時前から並ばれていた人もいたそうです。

しかし、今回の商品券では

  1. 平日に仕事がある人(9:30~16:30しか販売してない)
  2. 車がない人や足が悪い人(各町の支所までたどり着けない)
  3. お金がない人(手元に1万円を持っていない)
  4. 疾患を持つ人(人込みでの感染リスクがある)

たちが制度の恩恵を受けられません。

私が見た感じだと、これ以外の人たち(時間とお金と健康に余裕のある方々)が多い印象でした。

問題点2.感染症予防の対策が不十分

コロナショックで落ち込んだ経済のダメージを回復させる事は、急務で必要です。

しかし、これだけコロナでピリピリしている島の中で、「大勢の人たちが集まる」のは、感染症予防に逆効果です。

初日の本日は、五島市内で

「Go To 商品券」

っていう感じでした。

もう少し混雑を回避する方法があったのではないでしょうか。

実際、外で並んでいる方々の「ソーシャルディスタンス」は守られていませんでした。

選挙も同じですが、社会全体で「分散化」が求められる中で、1か所で集中して処理する、というのは、あまり良くないと感じました。

例えば、島民カードのナンバー(下1桁の奇数・偶数)ごとに、販売する日にちを変えるなど、工夫する余地があったと感じます。

まとめ(改善案)

今回のつばき商品券は、制度上の仕組みづくりが今一つであったため、

  • 市民の間の心理的な分断を生みかねない
  • 市民の間で感染リスクを高めかねない

というマズさがあります。

そこで、代替案を考えてみます。

今回の事業で五島市が負担した税額は大きく分けると

  • クーポン分
  • 印刷・広告代
  • 事務処理の人件費

がありますが、「クーポン分」だけに限って考えるとクーポン総額は

5000円×3万=1億5千万円

です。これを人口で割ると、1人当たり4111円になります。

  • 市民の間での分断を生まない
  • コロナ対策に万全を期す

という条件を満たしながら経済活動の促進を図るのであれば、

全市民を対象とした商品券を配布する

というやり方が、一番良いでしょう。

現金給付一律十万円のデータも有効に活用しながら、検討する余地は大いにあります。