高まる債務リスクと戦争リスク

本日は、日経新聞の記事を基に、債務リスクと戦争リスクについて考えてみます。

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200524&ng=DGKKZO59504760T20C20A5EA1000

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産油国を始めとする高債務国で、デフォルトリスクが高まっているそうです。

なぜこのような状況に?

単純に言えば、ドル建てでお金を借りてきたが、コロナショックにより返済が不可能となっているからです。

「信用リスクが高まっている」と表現されていますが、そもそも返済できないお金を借りている事に問題があります。

そのお金は、借りる側、貸す側のどちらの意志による合意でしょうか?

当然のことながら、貸す側は一度貸してしまえば、利息収入が得られるから、貸す側にメリットがあります。

金融資本主義を推進する事は、貸す側にとってのメリットであり、今日のような新興国のデフォルトリスクの高まりは、
返済見込みがない新興国に対して、資金を「貸し過ぎた」事に原因があるように見えます。

IMFには100か国以上が融資を求めている

とありますが、これは日本の中小企業が自転車操業に陥っており、政策金融公庫に融資を求めている状況と酷似してます。

つまり、新興国とは国内レベルで言えば中小企業で、資金繰りが常に厳しい国々の事です。

小さな主体が身の丈に合わない借金まみれに陥っている事自体が、根本的な危機の原因です。

この危機的な状況から、2つの変化が考えられます。

1. 企業から個人へ

資本金が収入に対して数十倍に及ぶ場合、当然のことながら返済計画は十年単位に及びます。

安定的に収益を出し続けらえる商売が少なくなる中で、これは貸し手側にとってもリスクです。

そのため、資金を借りる事を前提とする企業の数は減っていくでしょう。

大規模な設備投資と維持費を必要とする建造物、大型輸送、大型客船は、プラットフォーマーにとっての箱に過ぎないため、利益率は低いです。

逆に身軽な個人でも動ける動画編集・プログラミング・システムエンジニアというソフト系の需要が拡大するでしょう。

2. 紛争と戦争リスクの高まり

資金に余裕のある国は、企業が合理化による人員整理を避けられない中で、庶民の救済策が求められます。

スペインが貧困世帯に対する給付を始めたように、社会を安定させるための財政出動が必要です。

中小企業の倒産に伴う失業者の増大は、犯罪や暴動などの社会不安を招くため、政府も対策が求められます。

そこで政府が救済策を持たない場合、国民は生きるために国外へ難民として離散するしか方法がありません。

しかし、国境を跨いだ移動に対しては、安全保障上の観点から抑止策を取った場合、大規模な抑止・弾圧が行われるでしょう。

  1. その国で経済難民となり、国境を跨いだ移動
  2. 移動に伴う安全保障として、血生臭い弾圧
  3. 国家間での武力的な対立

これが最も深刻な世界的リスクではないでしょうか。