市民アンケート分析の続きです。
施策の重要度及び満足度指数
この部分では、
満足度が低く重要度が高い分野としては、「島外との交通環境の充実」、「農林業の振興」、「水産業の振興」、「結婚・出産・子育て支援」などが該当し、本市の重点課題であるといえる。
と紹介されています。
島外との交通環境
九州商船のストライキによる船の欠航や、ORCの機材故障による欠航など、島外との交通は脆弱な環境が続いています。
そうした背景を踏まえ、五島市でも「交通の在り方検討会」が組織されましたが、結論としては、「慎重な対応が必要」という事で、指定区間の見直しや改定は行われませんでした。
実際、五島市単独で解決できる問題ではないので、どういう関わり方をしていくかが問われています。
「自分たちではどうにもできない、だけど大きな問題」こそ、市として工夫を凝らし、解決策を模索すべきテーマではないでしょうか。
農林水産業の振興
一次産業を取り巻く環境としては、ある程度大きな設備を持って大量に生産し、独自の販路を持っている事業者が強い構図となっています。
五島市内でも、一次産業で立派に生計を立てている事業者も少なくありません。
ただ、全体としてみれば、基幹産業と言えるほど、多くの従業員は必要ありませんし、今後の機械化が進むと、益々「雇用の場」としての求心力は弱まります。
将来的に一次産業は、究極のデータ産業として、全ての農作物がAIで最適な状態で生産され、物流までも含めた人手が不要になります。当然、生産するコストもドンドン下がっていきます。
そのため、政治的なテーマとして「農林水産業で雇用を確保」というのは、これからの時代の流れに逆行した政策であると言えます。
結婚・出産・子育て支援
これは五島市だけでなく、日本全体にも共通しているテーマです。この部分については、政治的な声が小さいため、従来はあまり大きくクローズアップされてきませんでした。
そのため、本来であれば、20年前から着手すべきテーマに、「今更になって」取り組んでいるという感じです。
手っ取り早い方法としては、子育て世代に対する減税や祝い金・給付という形での拡充で対応は出来ます。
しかし、この部分は他市の事例なんかも踏まえながら、政策的に差別化できる部分を磨く必要性があるでしょう。
五島市の強み?
ちょっと違和感なのが、以下の文言。
また、「保健・医療の充実」、「観光による交流拡大」は満足・重要度とも高く、本市の“強み”としてさらに伸ばしていく分野といえる。
これらの結果は、あくまで「相対的な順位が高い」というだけであって、「五島市の強み」ではありません。
むしろ、保険・医療の充実は、五島市の弱い部分です。
だからこそ、島民は安くなった運賃で島外の病院に通い、そのついでに島外で買い物をする訳です。
観光による交流拡大
現在の所、観光客数は増えています。しかし、京都や沖縄など、行き過ぎた観光としてオーバーツーリズムが問題になるケースもあります。
五島市は全くそれほどのレベルではなく、外国人の数も少ないですが、五島市としては観光をバンバン推進しても、あまり効果はない気がします。
その理由は、観光で儲かるのは一部の事業者のみだからです。
そのため、これも市役所が、政治的なテーマとして推進する理由は特にない気がします。
現在の政策の問題点は、
かねてより続けてきた大きな枠組み(時代の流れに合っていない)を方針転換できない。
という部分ではないでしょうか。