五島市合併10年目
今回は野口市政3年目(H26~)年の五島市の財政運営です。平成26年度は、市長の施政方針によると、
合併後10年を迎え、五島市が将来に向けて大きく飛躍する重要な年と位置づけ
となっています。具体的な大型事業としては、
- 日本版EMECの整備
- 教会群のユネスコへの推薦
- 国体本番
などが掲げられていて、
再生可能エネルギー推進事業は、新たに再生可能エネルギー推進室を設置いたしまして、海洋再生エネルギー実証フィールド、日本版EMECの整備に取り組みます。
と紹介されています。
財源不足
引き続き、合併10年目以降も厳しい状態が続く五島市の財政でしたが、以下の方針で取り組みを行っています。
財源不足を可能な限り先ほど言いましたように事業の見直し、
あるいは支出の見直し、
あるいは国へのお願いと、
そういった中で可能な限り圧縮するという中で持続的な財政運営ができるような体質にしていきたい
とあります。
対策1.国へのお願い
陳情
市長答弁によると、
総務省佐藤自治財政局長が来島されましたので、合併自治体の支所・出張所の状況、消防・救急機能の維持、公共施設の管理状況などを説明し、新たな財政支援
を陳情しています。
効果
こうした陳情に対して
国は、交付税加算の方針を決め、支所の持つ窓口サービスや地域振興の役割を考慮し、平成26年度から3年間で段階的に加算し財政支援するとしており、交付税の一本算定時の減額が圧縮されることになります。
だけでなく、
27年度以降、合併による区域の拡大や、離島の合併に伴う経費増に対応した交付税算定の見直しも検討するということでございますので、さらなる支援につながるものと考えております。
と紹介され、効果が上がっている形です。
対策2. 支出の見直し
公共施設
五島市の公共施設は
基本的には1市5町、合併前に整備された施設がそのまま残って、今そのまま使われ、一部は遊休化しているという状況にございますが、これの維持経費の圧縮、あるいはまた、かなり老朽化が進んでおりますんで、
これを建てかえるとなった場合の財政負担、これを考えると、もう多分気の遠くなるような数字が出てくると思います。
そういった中でどの施設を残し、どの施設を極端にいうと廃止をしていくのか、これについては地域間バランスをみながら、これについては手をつけざるを得ないというふうに思っております。
と紹介されています。ゴミ焼却場も同じですが、大型の施設には大きなランニングコストがかかります。
ふるさと納税の活用
H26.3月の議会における谷川議員の質問によると、
約30億円の自主財源しかない五島市にとって、ふるさと納税は大きな財源の一つではないかと考えますけれども、計画を立て、財源獲得に力を注がなければならないと思います
と紹介され、市長の方針が問われました。回答としては、
自主財源の乏しい五島市にとりまして、このふるさと納税は大変ありがたい財源でありますので、議員御指摘のとおり私もしっかりPRしながら、出身者だけではなく、各方面の方々から寄附していただけるよう、他市の事例も参考にしながら取り組んでまいりたい
と答弁しています。ふるさと納税の使い道については、
奈留の笠松記念館の整備だとか、あと郷土のまちづくり支援事業という補助制度を持っていますけども、それの財源。
あと離島甲子園へ中学生を派遣いたしておりますが、それへの財源。あとスポーツ団体の補助などに平成24年度末現在で973万円ほど活用
と紹介されています。一方、昨年問題にあったような「過度な返礼品」に対する懸念は前からあったみたいで、
国から目をつけられないような、そういうお礼の仕方といったものをこれから我々は考えていかなければいけないのかな
とも述べられています。
子育て支援
同じくH26年の江川議員の質問(子育て支援)に対する教育長の答弁によると、市内のエアコン設置について、
五島市といたしましては、各学校パソコン室、特別支援教室、保健室など温度に影響されやすい特定の教室のみ設置している状況でございます。
普通教室など全ての教室への設置につきましては、現段階では、五島市の財政状況からして困難であると判断
とされています。それから6年後に、ようやくエアコンの設置が行われるようになりました。
まとめ
合併10年後は、国や県が主導する大型のプロジェクトに対する投資が大きかった一方で、子育てや教育に対する分野には、それほど力が注がれていない状況でした。
また、長らく指摘されている「自主財源が乏しい」という状況に対しては、議員からの提案を受けて、ふるさと納税の活用していく方針が示されました。
財政が厳しい、となると、基本的にはどこかを削り、我慢する必要が生じます。
そうなった時、どの分野に優先的に予算が配分されるかによって、市の政治スタンスが如実に反映されます。