選挙の投票率は「自治体規模」と「高齢化率」で決まる

統一地方選挙

2019年4月21日に実施された首長選挙に関するデータのまとめは以下の通りです。

告示の首長選挙数 224
選挙実施数 142
無投票選挙 82
無投票率 37%

(首長=政令指定都市・東京23区・市長村の長)

https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/touitsu/2019/

全国のおよそ3分の1が無投票という状態です。

本日は、選挙が行われた自治体の中で、「市町村の有権者数」をベースに、傾向の分析です。

区分 選挙数
50万人以上の政令都市・市町村区 9
50万人未満10万人以上の市町村 27
10万人未満5万人以上の市町村 23
5万人未満1万人以上の市町村 38
1万人未満の市町村 45

50万人以上の政令都市・市町村区

有権者数と投票率は以下の通りです。

都道府県 市長村名 有権者数 投票率
大阪府 大阪市 2,189,852 53%
北海道 札幌市 1,652,394 56%
広島県 広島市 966,547 37%
東京都 世田谷区 744,432 43%
静岡県 浜松市 647,801 56%
東京都 大田区 599,370 43%
神奈川県 相模原市 591,284 49%
静岡県 静岡市 584,837 49%
東京都 江戸川区 547,625 42%

上記、9自治体で現職の当選率は67%となっており、非現職が勝ったのは、

大阪市、模原市、江戸川区

でした。

50万人未満10万人以上の市町村

有権者数と投票率は以下の通りです。

都道府県 市長村名 有権者数 投票率
東京都 板橋区 458,712 44%
兵庫県 姫路市 433,604 46%
東京都 江東区 406,767 47%
大分県 大分市 389,978 28%
長崎県 長崎市 350,395 47%
大阪府 吹田市 297,055 48%
東京都 北区 281,619 52%
東京都 豊島区 223,924 42%
茨城県 水戸市 221,850 45%
東京都 墨田区 221,201 44%
北海道 函館市 221,166 49%
大阪府 八尾市 217,222 49%
神奈川県 平塚市 212,188 41%
長崎県 佐世保市 205,114 50%
大阪府 寝屋川市 194,319 50%
神奈川県 大和市 192,315 38%
東京都 渋谷区 184,602 40%
東京都 文京区 174,823 51%
東京都 三鷹市 152,059 49%
千葉県 流山市 151,768 44%
千葉県 佐倉市 146,220 48%
千葉県 習志野市 139,238 44%
東京都 中央区 128,000 44%
東京都 東村山市 124,179 48%
山口県 周南市 118,946 49%
広島県 尾道市 114,343 58%
愛知県 瀬戸市 105,041 48%

上記、27自治体で現職の当選率は74%となっており、非現職が勝ったのは、

姫路市、八尾市、寝屋川市、三鷹市、佐倉市、中央区、周南市

でした。

10万人未満5万人以上の市町村

有権者数と投票率は以下の通りです。

都道府県 市長村名 有権者数 投票率
北海道 江別市 99,901 52%
奈良県 生駒市 97,005 50%
栃木県 那須塩原市 95,514 44%
群馬県 桐生市 95,045 51%
大阪府 富田林市 93,476 46%
茨城県 取手市 90,784 39%
福岡県 春日市 88,814 42%
大阪府 池田市 84,266 56%
大阪府 泉佐野市 83,725 33%
兵庫県 芦屋市 78,253 49%
東京都 稲城市 72,064 51%
北海道 室蘭市 71,669 59%
愛知県 日進市 70,141 52%
東京都 東大和市 69,917 48%
埼玉県 行田市 68,154 53%
秋田県 大館市 62,849 64%
東京都 清瀬市 61,298 52%
京都府 木津川市 60,344 48%
山梨県 南アルプス市 58,380 52%
埼玉県 北本市 56,652 49%
京都府 京田辺市 54,704 54%
福井県 敦賀市 53,574 58%
大阪府 藤井寺市 53,524 52%

上記、23自治体で現職の当選率は57%となっており、非現職が勝ったのは、

那須塩原市、桐生市、富田林市、池田市、芦屋市、日進市、行田市、北本市、京田辺市、藤井寺市

でした。

5万人未満1万人以上の市町村

有権者数と投票率は以下の通りです。

都道府県 市長村名 有権者数 投票率
大阪府 大阪狭山市 47,684 50%
大阪府 高石市 47,428 52%
福岡県 直方市 47,200 56%
愛知県 常滑市 46,824 52%
京都府 向日市 46,741 34%
広島県 三次市 43,421 63%
岐阜県 瑞穂市 41,710 42%
山梨県 富士吉田市 40,736 73%
福岡県 田川市 39,209 67%
福岡県 志免町 35,865 42%
神奈川県 南足柄市 35,632 57%
埼玉県 毛呂山町 28,813 53%
北海道 稚内市 28,396 64%
香川県 東かがわ市 26,799 69%
熊本県 人吉市 26,798 73%
山形県 上山市 26,250 62%
静岡県 清水町 25,695 50%
新潟県 加茂市 23,524 70%
北海道 幕別町 22,185 62%
岐阜県 垂井町 22,091 64%
神奈川県 湯河原町 21,856 49%
徳島県 石井町 21,497 60%
愛知県 美浜町 18,463 61%
北海道 美幌町 16,539 70%
福岡県 広川町 15,842 55%
奈良県 河合町 15,271 66%
静岡県 小山町 15,201 67%
神奈川県 開成町 14,155 64%
熊本県 御船町 14,022 70%
福岡県 川崎町 14,015 75%
栃木県 芳賀町 12,977 71%
宮崎県 川南町 12,921 63%
熊本県 あさぎり町 12,601 75%
長野県 坂城町 12,377 64%
岐阜県 安八町 12,100 48%
群馬県 榛東村 11,945 64%
青森県 板柳町 11,812 63%
長野県 松川町 10,972 68%

上記、38自治体で現職の当選率は63%となっており、非現職が勝ったのは、

直方市 、常滑市、 三次市、 瑞穂市、 東かがわ市、 清水町、 垂井町、 美浜町、 美幌町、 河合町、 小山町、 川崎町、 あさぎり町 、松川町

でした。

1万人未満の市町村

有権者数と投票率は以下の通りです。

都道府県 市長村名 有権者数 投票率
北海道 赤平市 9,042 74%
北海道 美瑛町 8,531 80%
熊本県 錦町 8,480 77%
群馬県 嬬恋村 8,072 74%
三重県 朝日町 8,004 61%
福岡県 糸田町 7,501 60%
茨城県 五霞町 7,313 70%
北海道 夕張市 7,283 71%
長崎県 東彼杵町 6,745 73%
岐阜県 坂祝町 6,364 61%
広島県 大崎上島町 6,343 74%
東京都 大島町 6,238 79%
長野県 立科町 6,135 76%
熊本県 小国町 6,042 81%
北海道 足寄町 5,781 81%
滋賀県 豊郷町 5,757 58%
福岡県 吉富町 5,573 75%
福島県 矢祭町 4,899 88%
徳島県 神山町 4,825 72%
宮城県 大衡村 4,782 71%
石川県 川北町 4,745 87%
鹿児島県 南種子町 4,709 84%
北海道 大樹町 4,604 78%
北海道 由仁町 4,484 81%
北海道 鹿追町 4,286 85%
長野県 朝日村 3,880 69%
徳島県 牟岐町 3,648 82%
和歌山県 すさみ町 3,572 84%
北海道 豊富町 3,303 81%
北海道 乙部町 3,213 86%
愛知県 東栄町 2,846 81%
北海道 下川町 2,788 90%
山形県 大蔵村 2,738 89%
北海道 天塩町 2,546 92%
長野県 小谷村 2,423 80%
高知県 東洋町 2,199 79%
長崎県 小値賀町 2,115 91%
北海道 壮瞥町 2,109 83%
秋田県 上小阿仁村 2,104 86%
沖縄県 東村 1,508 87%
福島県 三島町 1,462 87%
北海道 中川町 1,297 94%
北海道 赤井川村 911 86%
奈良県 下北山村 816 91%
長野県 根羽村 804 83%

上記、45自治体で現職の当選率は44%となっており、非現職の候補が勝ったのは、

赤平市、 美瑛町、 朝日町、 糸田町、 夕張市、 東彼杵町、 立科町 、小国町、 足寄町、 吉富町、 矢祭町、 南種子町、 鹿追町 、朝日村、 牟岐町、 豊富町、 乙部町、 天塩町、 小谷村、 小値賀町、 壮瞥町、 上小阿仁村、 東村、 中川町、 赤井川村

でした。

人口規模別の現職当選率

人口規模別にみると、以下の通りです。

区分 選挙数 非現職当選率 現職当選率
50万人以上 9 33% 67%
50万人未満10万人以上 27 26% 74%
10万人未満5万人以上 23 43% 57%
5万人未満1万人以上 38 37% 63%
1万人未満 45 56% 44%

注目なのは、1万人未満の自治体では、半分以上が非現職候補の当選となっている点です。

逆に、50万人未満10万人以上の自治体では、ほぼ4人に1人しか、非現職が勝てておらず、現職の強さが伺えます。

有権者数別の投票率

有権者数別の投票率の散布図を見ると、

クリックすると拡大表示します

人口規模に比例して投票率が下る傾向にあり、

  • 人口1万人未満:概ね70%以上
  • 人口1万人以上5万人未満:50%~70%程度
  • 人口5万人以上10万人未満:30%~60%程度

となります。

この原因として考えられるのが、「政治との近さ」と「高齢化率」であると考えられます。

人口規模の小さい自治体では、政治と生活の距離が近く感じられますが、都市部の人口が多い箇所では、政治と生活の距離感が遠く感じられます。

それに加えて、地方は高齢化率も高いので、選挙への関心が高いと考えられます。

この結果を更に詳細に1万人以下の自治体で見ると、

となります。全国で最も投票率の高かった北海道の中川町では、投票率が94%にも上っています。

このことから、選挙の投票率を高めるには、

  1. 自治体の選挙ブロックを細分化し
  2. 有権者に対する「政治と生活の距離感」を縮める事

が有効であると言えそうです。