スーパーシティ構想とは
10月10日の毎日新聞の記事によると
片山さつき規制改革担当相は10日、国家戦略特区諮問会議の有識者議員らとの会合で、AI(人工知能)やビッグデータを活用して、交通事情に応じた車の自動走行など最先端技術を集約した「スーパーシティ構想」に取り組む考えを示した。
「スーパーシティ構想」
という何だか中二っぽい単語が出てきましたが、安倍政権はそれ以前から、似たような構想を掲げていました。
それが「国家戦略特区」でして、スーパーシティ構想の実運用を担う片山氏(規制改革担当相)は、
就任の際に安倍晋三首相から国家戦略特区の運用改善を指示された
とされています。つまり、国家戦略特区の改善バージョンが「スーパーシティ構想」のようです。
国家戦略特区の課題
全国的に展開された国家戦略特区ですが、課題としては
テーマが分野ごとに分かれていた
点が大きいのではないでしょうか。つまり、
- 医療:〇県
- 観光:×県
- 農業:△県
といった感じで、点による規制緩和しか行われず、結果として全国展開できた事例が少ない、という点も指摘されています。
そうした点を踏まえ、片山氏は
分野横断的な改革を進めることが重要だ。
と述べています。
都市の競争に今更参戦?
実はこの「スーパーシティ構想」は、新自由主義的な改革を推進してきた竹中平蔵氏らが10月10日に提案を行っています。(以下、引用)
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早急に検討すべき政策
●自動走行やスマートシティを部分的に進めていくだけでなく、AI・ビッグデータを活用し、第四次産業革命を体現する最先端
都市を先行実現する「スーパーシティ 」構想を検討。
<イメージ>
・域内の交通:オンデマンド自動走行
・域内の支払い:キャッシュレス
・域内の行政手続:ワンスオンリー
・域内の医療:遠隔診療、医薬品配達
・域内の教育:遠隔教育
・域内のエネルギー:自立可能で最適な電力供給 など
↑私がブログで度々書いているテーマが盛り込まれています。
https://nakanishidaisuke.com/2018/07/17/autometaion/
この布石を受けて、片山氏が具体的な制度設計をするようですが、竹中氏が提唱しているのはあくまで「都市」のことです。
そのため、従来の国家戦略特区のように、「地方創生」という文脈で規制緩和が語られない可能性が高いです。
こちらの記事にもありますが、
(国家戦略特区は)日本経済を牽引する成長分野の開拓という目標から、地方創生の意味合いが強くなってきているということです。
とあります。
しかし、こうした大胆かつ横断的な規制緩和を都市で実施する場合、人が多く規制が多いため、制度設計と実運用に至るまでに多大な時間がかかります。
片山氏自身も認めているように、
世界では分野横断的なサービスの変革が恐ろしい勢いで進み、日本は2周以上遅れている
状態です。そんな今から、日本は都市間競争を始めても、既に遅すぎるのではないでしょうか?
まとめ
「スーパーシティ構想」で掲げる分野横断的な規制緩和は、
- 従来の国家戦略特区の課題を解消し
- 新しい魅力的な社会の在り方を検討する
うえでは、有意義です。
しかし、これを日本の「都市」で実践しようとした場合、制度設計と実運用に至るには非常に時間がかかります。
仮に都市で規制緩和を実施できたとしても、その頃には日本は3週以上の差を海外勢からあけられているでしょう。
そのため、「都市間競争」の路線ではなく、分野横断的な「スーパー田舎構想」を掲げるべきでしょう。
その方向性であれば、
- 都市間競争に邁進する海外勢との差別化を図れる
- 地方創生という従来のテーマにも寄与できる
という点でメリットがあります。