国境離島新法の採択条件
国境離島新法が採択されてから、市役所職員から口を酸っぱくして言われる言葉があります。
雇用の確保をしっかりお願いしますね。
と言うことです。
市役所としても、国から補助金を頂いている以上、
「雇用者が○○人増えました!」
というような、分かりやすい数値的なノルマが課せられているようです。
しかし「雇用者増」すれば離島の経済は活性化し、人口減少に歯止めがかかるのか?と聞かれれば、決してそうではありません。
「雇用者」を増やすことよりも先に、考えるべきことがあるのです。まずはこちらの数値を見ていきましょう。
五島市の平均所得・年収
五島市の平均所得・年収のページによりますと、五島市の平均年間給与は以下の通りでした。()は全国順位。
- 2016年 252万(1307/1741)
- 2015年 251万(1274/1741)
- 2014年 244万(1354/1741)
全国的に見ても、下から数えた方が早い給与の水準となっております。
実際に暮らしをしてみて分かったのは、「お金を使う感覚」も、ちょっと都会の人とは違うな、ということです。
例えばSUP事業にしても、2時間のスクール+レンタルで5,000円と提示すると、
「ありえない!高すぎる!(怒)」
というお言葉を随所で頂きます。
中流が少ない所得分布
その感覚を如実に示すのが、所得の分布。
五島市は全国平均と比較しても、圧倒的に低所得(300万円未満)の世帯が多いことが分かります。(データ基は上記と同じ)
全国平均はこちら。
これには高齢者ばかりの人口分布も影響しているのでしょうが、それにしても2/3の割合で300万円未満とは。。。
そしてこうした「賃金の低さ」が如実に現れるのがハローワークでの求人募集。
月額もさることながら、時給もかなり低いです。平均すると750円が時給の相場というところでしょうか。
都会からの移住と現実の失望
私のように都会出身でも、最近は五島に移住をして来る人を少なからず見かけます。
バス会社・農業法人・水産会社・・・。
そういった離島ならではの企業に就職した人達が異口同音に口にする言葉が、
給料安すぎ!
ということです。そして中には、移住して長く住むことは出来ず、再び戻ってしまう人もいます。
例えば私が住んでいた五島市の短期滞在者住宅ですと、定住率は半分ほど、と言うのが職員から聴いた話でした。
田舎暮らしに憧れて島に移り住み、給与水準と労働環境の悪さに嫌気が射して都会に戻る、と言うのが典型的な帰還理由だと言えます。
雇用者数だけを見ても意味ない
お分かりいただけましたでしょうか?
離島では、雇用が少ないのが問題なのではありません。
魅力的な仕事が少ないのが問題なのです。
田舎では自給自足で生きていける、なんていう話もありますが、毎日同じものばかりでも飽きるから、やっぱり大勢の人たちはスーパーで買い物をします。
そして物価もそこまで大きく都会と変わらないから、結局は娯楽費が少ない(使うような場所もない)と言うのが実態でしょうか。
次回は、人口減少対策について考えてみたいと思います。