12月定例議会最終日の討論内容の紹介です。
補正予算 反対討論
中西 私は、全天候型子どもの遊び場整備に係る設計費用を含む本補正予算について、反対の立場から討論いたします。
本事業については、一般質問における市長答弁により、
ライフサイクルコストの試算が行われていないこと、また、他の選択肢との金額ベースでの比較検討が行われていないことが明らかになりました。
この事実を踏まえたうえで、私は現段階で本補正予算を承認することは適切ではないと判断しております。
第1に、意思決定の前提となる比較検討が不十分である点です。
本事業は、新築で約7億円、年間約3,500万円の維持管理費を要する、極めて長期的な財政負担を伴う事業です。
にもかかわらず、建設から維持管理、修繕、最終的な解体に至るまでのライフサイクルコストが示されておらず、
また、廃校活用や既存公共施設の改修といった他の選択肢と、同一条件での金額比較が行われていません。
これは、事業の是非を判断するための基礎資料が、議会に十分示されていないということであり、
議会として承認を与えるには、判断材料が不足していると言わざるを得ません。
第2に、人口減少が進む中での新規ハコモノ建設は、極めて慎重であるべきだと考えます。
五島市において、今後子どもの数が増加に転じる見通しは立っていません。
その中で、新たな施設を建設し、高額な維持管理費を長期にわたり負担し続けることは、
将来、他の子育て施策や福祉、教育分野に使える財源を圧迫する可能性があります。
これからの行政運営においては、新しい施設を建てること以上に、
既存施設や遊休資産をいかに有効に活用するかという視点が、より重要になると考えます。
第3に、1か所に機能を集約する手法が、五島市にとって最適かという点です。
私は、子育て支援の機能を1か所に集中させることに懐疑的です。
雨の日に子どもが遊べる場所や、子育てについて相談できる場所は、
できるだけ生活圏に近い場所にある方が、日常的に利用しやすいと考えます。
例えば、各支所単位で既存の公民館や体育館などを活用し、
遊具購入など必要最小限の整備を行うことで、
新築を伴わずに、複数の屋内遊び場を確保することも可能ではないでしょうか。
このような分散型の取組は、地域ごとの関わりを生み、
子どもを地域全体で見守る環境づくりにもつながると考えます。
加えて、1か所固定型の施設では、遊具更新などの追加コストが将来的に必要となる点も懸念されます。
当初は多くの利用が見込まれても、時間の経過とともに遊具の更新や改修が求められ、
結果として維持費とは別に、継続的な投資が必要となる可能性があります。
この点についても、長期的な財政影響を含めた検討が不可欠です。
賛成討論
柳田 今回の補正予算のうち、全天候型子どもの遊び場施設整備に係る実施設計及び実地調査については、その基となる基本構想について、主に三つの論点があると考えております。
一つ目は、なぜ新設なのか。
二つ目は、なぜ図書館横の場所なのか。
三つ目は、なぜ住民説明会を実施しないのか、という点です。
まず、何よりも最初に押さえておかなければならないのは、五島市の最大の課題が人口減少対策であるという点です。
昭和30年から令和2年までの年少人口、生産年齢人口、老年人口の割合を比較しますと、14歳以下の年少人口は40.4%から10.5%まで減少し、老年人口は6.2%から40.8%へと増加しています。さらに先月末時点では43.42%となっており、極めて高い割合となっています。
一方で、生産年齢人口は53.4%から48.6%と、年少人口や老年人口と比べると減少幅は緩やかですが、先月末では47.39%となり、老年人口と逆転することも間近な状況です。
自治体は生産年齢人口に支えられて成り立つものです。年少人口の減少を嘆くだけではなく、そこに対して具体的な対策を講じる必要があります。
五島市は、国に先駆けて子育て支援をはじめとするソフト面の施策を展開してきました。そうした取組の効果もあり、移住支援にも自信を持って取り組み、一定の成果につなげることができたものと考えております。
しかし、現在の子育ては、経済的な問題だけではありません。
子育てを終えた世代には理解しづらい、子育て環境の質に関わる様々な要因が存在していると感じています。
今回整備しようとしている施設は、そうした子育て環境面を含め、人口ビジョンに基づき、長期的な視点で子育て環境を整える構想であると理解しております。
この施設は、子どもの健診会場であり、現在の子育て相談窓口でもある保健センターと、他世代が利用する図書館が一体となり、子育て支援に特化したエリアを形成するものです。相談支援などを含め、幅広い相乗効果が期待できます。
子どもだけが利用する施設ではなく、孫育て世代にとっても利用しやすい施設であり、さらに2階部分は高齢者や高校生などの居場所としての活用も予定されているとのことです。
多世代が集える施設という点は、想像するだけでもワクワクしますし、若い世代にとっても、遊ぶ子どもたちの姿を見ることは、将来の子育てをイメージしやすくし、ライフ設計にも良い影響を与えるものと考えます。
高齢者にとっても、子どもたちのはしゃぐ姿は元気の源となります。施設の利用促進という面からも、多世代が利用しやすい今回の場所は最適であり、周辺地域の活性化と子育て支援を結びつける構想であると考えます。
私自身、以前の一般質問において、十八親和銀行跡地を子どもの遊び場として活用してはどうかと提案した経緯もありますが、検討された既存施設はいずれも、子どもの遊び場としての提供は可能であっても、多世代利用や子育て相談支援と結びつかないものとして、新設及び図書館横の場所にならざるを得なかったという説明を、基本構想の中で伺っております。
また、住民説明会については、9月議会の説明会において市長からパブリックコメントを求める旨の説明があり、広く構想の周知及び閲覧環境は確保されていたものと考えます。
ただし、現在の子育て世代の忙しさを考えると、ネットを活用した情報提供は一定の配慮である一方、ネット活用に疎い世代への説明については、今後の課題として必要であるとも考えております。
五島市が子育てしやすいまちとして評価され、地域が活性化し、多世代が交流できる居場所が生まれること、それが私の強く望む未来です。
以上の理由から、本補正予算に賛成いたします。
議員各位のご賛同を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
起立採決
反対者:中西のみ
賛成者:他全員 賛成多数で可決(反対案が否決)
附帯決議
網本議員 令和7年度五島市一般会計補正予算(第6号)に対する附帯決議 令和7年度五島市一般会計補正予算(第6号)には、全天候型こどもの遊び場施設整備事業の実施設計費2,324万8,000円、地質調査費411万6,000円が計上され、本日、可決されました。 この子供の遊び場については市長選の3候補者とも公約に上げていました。五島市議会でもこれまでに多くの議員が一般質問で取り上げ論議してまいりました。 子供の遊び場については、全議員が必要性は認めているところです。しかし、今議会の一般質問や委員会の質疑からみてもまだまだ、論議が不足していると思われます。 つきましては、下記事項に十分留意されるよう強く要望いたします。
記:保護者以外の意見を聞くことや、五島市民全体を対象にした説明会の開催を要望します。
付帯決議に対する【反対討論】
(木口 利光 議員)
私は、令和7年度五島市一般会計補正予算第6号に対する付帯決議について、反対の立場から討論をいたします。
今回の全天候型子どもの遊び場施設は、多くの市民が待ち望んでいた、雨の日でも思い切り遊べる施設であり、少子化が著しい五島市における子育て拠点となる施設であります。
また、市の建設計画では、近くに図書館や保健センターを隣接させ、五島市の最大課題である子育て支援施策に大きな役割を果たすとともに、子どもを抱える保護者世帯や、子育てに不安を抱える多くの市民にも喜んでいただける施設であると考えております。
何よりも、主役である子どもたちにとって、また行きたいと思える夢のある施設です。
私は、この施設が開設後も将来にわたり、子どもたちに何度も行きたいと思わせる、夢を与える施設であり続けることを目指すべきであると考えております。
今回の計画は、多くの市民の期待を担う事業であり、資材高騰の状況も踏まえ、スムーズな事業執行が必要です。
計画の基本構想策定に当たっては、既に子育て世帯アンケートや五島市の保育環境に関する意見交換を実施し、その後、パブリックコメントや広報誌、ホームページ等での情報発信も行われています。さらに今後も、様々な機会を捉えて事業内容を説明していくとのことです。
また、近隣住民の方々に対しては、住民説明会を計画中とのことであります。
私は、急速な少子化が進む五島市の状況を踏まえると、全天候型子どもの遊び場施設についての情報発信は、現在の計画による事業推進の下で、将来の利用促進のためにも、市民の多世代に向けて積極的に推進すべきであると考えます。
同時に、近隣住民への住民説明会については、工事開始後の騒音対策などの不安を取り除くため、スピード感を持って行うべきでありますが、今回の付帯決議で指摘されている、五島市民全体を対象とした住民説明会までを求める必要はないと考えます。
以上の理由により、一般会計補正予算第6号に対する付帯決議に反対いたします。
議員各位のご賛同をよろしくお願いいたします。
付帯決議に対する【賛成討論】
(荒尾 議員)
私は、決議第2号、五島市一般会計補正予算第6号に対する付帯決議について、賛成の立場で討論をいたします。
協議会での質問の中で、全天候型子どもの遊び場の基本構想作成に際し、市長は、単に子どもが遊ぶスペースではなく、多くの人たちが集う新しい拠点をつくろうとしており、そのためにも、あの場所が必要であると自信を持って構想を策定したと発言されております。
また、隣接地に市営住宅があることから、建設工事に入る際には迷惑をかける可能性があるため、関係者に対する説明会は予定しているとも発言されております。
今回の策定に際しては、関係者への聞き取り、アンケートが318件、パブリックコメントが196件寄せられておりますが、これらの件数だけで判断するのではなく、より多くの市民に説明の場を設けることは、何ら問題のないことだと考えます。
むしろ、それこそが、約7億円を投資するプロジェクトに対する、市民への丁寧な対応であると考えますので、ぜひ住民説明会を開催することをお願いするものであります。
以上、賛成討論といたします。
採決
賛成者:中西、山崎、荒尾、下山、網本、草野
反対者:他全員 反対多数で否決
