【市議会解説】五島市の農業・イノシシ対策・部活動の地域移行

2025年12月8日付で公開された田口議員による一般質問(4 回目)をもとに、AIにて現状の課題・行政の姿勢・今後の要望などをまとめたものです。

【2025年12月五島市市議会メモ】田口議員

■ 議題の全体像

今回の質疑は、五島市が直面する「農業の担い手不足」「イノシシ被害」「中学校部活動の地域移行」「公共交通の利便性確保」という4つの重要課題を扱っている。少子高齢化・人口減少が進む中、暮らしと産業の維持に向けた市の姿勢や今後の方針が問われた。


1.農業振興 ― 畑の基盤整備と取水・灌漑施設の更新

● 背景

  • 農家の高齢化により、耕作放棄地が急増。

  • 食料生産基盤の維持が困難になりつつある。

  • 「儲かる農業」を実現するために、土地の区画整理・集約化などの“基盤整備”が必要。

● 質疑ポイント

  • 農地整備を進めれば、大型機械の導入や効率化が進み、所得向上・後継者確保につながるのではないか。

  • しかし、整備は個人財産に関係するため所有者調整が難航しやすい。市は「申請があれば対応」方針で慎重姿勢。

● 用水・灌漑設備の更新

  • 特に富江地域の農地は老朽化(約50年経過)で漏水などの不具合が多い。

  • 国の事業を使い「令和9年度から更新を予定」、対象は約403ha。

→ 農業基盤を再構築し、若者が参入しやすい環境づくりが急務という内容。


2.イノシシ対策 ― 防護柵だけでは限界、地域総がかりの対策へ

● 現状

  • 市内全域でイノシシ出没が増加。農作物被害だけでなく生活圏への侵入も問題化。

● 質疑ポイント

  • 捕獲数、防護柵の延長、個体数管理の実態について質問。

  • 防護柵は国制度で整備が進み、累計約223kmに達するが、それでも生息域拡大に歯止めがかからない。

  • 「耕作放棄地・竹林・荒れ地」が隠れ家となり、農道や市道の草刈り管理も重要。

● 市の答弁

  • 地域単位での協働が不可欠。

  • 行政だけでなく、住民・関係団体の連携で“すみ分け”を強化したい。

→ 防護柵だけに頼らず、地域総合戦略として環境整備と捕獲体制を強化する必要性が示された。


3.中学校部活動の地域移行 ― 移動手段・費用・大会参加の課題

● 背景

  • 生徒数減少により、学校部活動の単独存続が困難に。

  • 国全体の流れに沿って「地域クラブ」への移行を進める方針。

● 市の方針

  • 認定制度を導入し、認定クラブは公式大会への参加を認める。

  • 指導者育成、立ち上げ費用助成などの支援制度を整備。

● 課題

  • 校区外から拠点校に通う生徒(例:24名)の移動手段と費用負担が大きい。

  • バス路線が薄い地域は特に負担が重く、保護者負担軽減策が求められる。

  • 移行期に大会参加資格が揺らぐ可能性があり、議員からは「市長杯・教育長杯など市独自大会」の創設提案も。

→ 子どものスポーツ機会保障のため、当面の移行期間に手当てが必要である点が議論された。


4.公共交通 ― チョイソコと路線バスの“乗り継ぎ問題”

● 現状

  • 高齢者の生活交通として重要なチョイソコだが、旧行政区を越える乗り継ぎができない。

  • 特に女性高齢者から「バスと乗り継げず病院に行けない」との声。

● 市の回答

  • 既存のバス事業者との競合を避けるため、乗り継ぎの導入は慎重。

  • 一方で「地域実情を踏まえた改善の必要性」は認めており、今後の検討課題とした。

→ 過疎地の移動権確保をどう担保するかが今後の焦点。


■ 総括

今回の質問は、五島市が抱える構造的課題に真正面から踏み込む内容。
主軸は次の3つに整理できる。

  1. 暮らしの基盤維持(農業・交通)

  2. 地域安全(イノシシ対策)

  3. 子どもの育ちを支える仕組みの転換(部活動)

いずれも「人口減少社会の中で、どう地域を持続させるか」を根底にした議論である。
行政は慎重姿勢だが、課題は明確であり「どれだけスピード感を持てるか」が今後の焦点となる。