2025年12月9日の下山春雄による一般質問をもとに、AIにて現状の課題・行政の姿勢・今後の要望などをまとめたものです。
目次
物価高騰と市民生活への影響に対する市長の認識
下山議員は、食料品や燃料、野菜・鮮魚などあらゆる物価が「2〜3割は上がっている」という市民の実感を紹介し、生活の厳しさが増している現状への認識を市長に問いました。
これに対し市長は、円安などの影響で生活必需品が高騰・高止まりしており、市民生活だけでなく市内事業者の経営にも深刻な影響が出ていることに危機感を示しました。そのうえで、これまで国の臨時交付金を活用し、住民税非課税世帯への給付金(最大10万円)、児童への給付、学校給食費の高騰対策、つばき商品券の発行、地域公共交通や医療機関への支援など、物価高騰対策に取り組んできたと説明し、今後も市民生活の実情を踏まえながら、効果的な事業を構築していく考えを示しました。
五島市つばき商品券の効果と課題
つばき商品券は、プレミアム率50%という高い付加価値を付けて販売され、市内357店舗で利用可能とされました。産業振興部長によると、12月5日時点で約4億円分が換金されており、エネルギー・食料品価格高騰への対策として一定の経済効果があったと評価しています。
一方で、事業としてはまだ完了しておらず、詳細な波及効果や課題については、今後の検証の中で明らかにしていくとしています。下山議員からは、市民からの人気も高く、自身の家族も恩恵を実感しているというエピソードが紹介されました。
つばき商品券の次年度実施に向けた考え方
次年度もつばき商品券を販売するのかという問いに対し、産業振興部長は、申込後の辞退などにより「100%完売とはならず、若干の売れ残りがあった」と説明しました。
市長は、国が21兆円規模の経済対策を打ち出し、重点支援地方交付金の拡充を計画していることに触れつつ、現在、市として事業者の負担軽減策も含めた具体的な支援内容を検討中であり、現時点で次年度のつばき商品券実施の可否は決まっていないとしました。
観光客数の季節変動と主な来訪理由
地域振興部長の報告によると、年間の観光客数は約20万人で、
1〜3月:約3.6万人、4〜6月:約4.7万人、7〜9月:約6.5万人、10〜12月:約5万人程度と、夏場にピークがあり、冬場がやや減少する傾向にあります。
来島理由としては、アンケートから「海や山などの自然」「食材」「教会巡り」が主な目的として挙げられており、五島ならではの自然環境と文化資源が魅力となっていることが示されました。
閑散期(冬場)の観光対策とサウナを活かしたアイデア
下山議員は、夏場に偏りがちな観光需要を平準化するため、冬場の新たな観光コンテンツの必要性を指摘しました。その具体例として、大分県豊後大野市が自然とサウナを組み合わせて冬季の誘客に成功している事例を紹介し、「サウナで身体を温め、冬の海や自然を楽しむ」というオールシーズン型の体験を五島市でも展開できないかと提案しました。
市長は、自身はミストサウナが好きであると触れつつ、五島市内にはすでに9カ所のサウナ施設があり、日帰り利用や宿泊者限定利用など多様な形態が存在していると説明。冬季には椿まつりや食のイベントも開催しており、「癒しの島」を目指す方針の中で、冬場の観光対策として自然・サウナ・食を組み合わせた取り組みに前向きな姿勢を示しました。
また、世界遺産の教会での高齢者によるおもてなしや、乗馬体験、祭りや行事との連携など、地元にお金が落ちる仕組みづくりについても、磨き上げを行いツアー商品化していきたいとの考えが示されました。
住宅建築件数の推移と市街地への集中
住宅建築件数(新築)の推移について、過去3年間で合計339件があり、そのうち約84%が旧福江市(福江地区)に集中していると報告されました。全体としては建築件数が減少傾向にあり、その要因として建築資材の高騰や人口減少が挙げられています。
下山議員は、住まいは一生で最も大きな買い物であり、学校・職場・交通の利便性が立地選択に強く影響していると指摘。旧町エリアで建築件数が少ないことからも、市街地志向が強まっている現状を踏まえ、将来のまちのあり方をどう考えているのかを問いかけました。
住宅密集地の道路整備と無電柱化の今後
下山議員は、水手町など住宅の建て替えが困難な密集地における防災面の不安を訴え、道路整備の必要性を指摘しました。これに対して建設管理部長は、道路拡幅等の事業は住民要望を踏まえて検討しているものの、多額の費用を要するため実施は容易ではないと説明しました。
一方、無電柱化については、市長が公約に掲げていることもあり、下山議員から強い期待が示されました。市長は、無電柱化の推進には国の補助や長崎県の無電柱化推進計画への位置付け、電線管理者との合意形成など多くのハードルがあり、時間を要する事業であるとしつつも、他自治体(平戸市や川越市、下郷町など)の事例を挙げながら、観光地としての景観向上の観点からも、密集地を対象に区域を慎重に検討していると述べました。
荒川温泉閉館と荒川地区振興の課題
地域福祉センター荒川温泉の閉館について、下山議員は、かつて漁港が賑わっていた時代から地域住民に親しまれてきた「天然温泉」としての歴史や、現在も入浴後に近隣で飲食を楽しむ利用者がいることを紹介し、閉館が地域のにぎわいと商店に与える影響を懸念しました。
市長は、荒川温泉は気軽に楽しめる「癒しの場」の一つであったとしつつも、老朽化や雇用の問題などから、運営主体である社会福祉協議会が売却を決断した経緯を説明し、「決定されたことなので、今後の行方を注視したい」と述べるにとどまりました。
玉之浦支所長からは、平成26年に策定された活性化プランに基づきイベントなどが行われてきたものの、温泉活用の取り組みは十分ではなかったこと、閉館を受けて早急に計画の見直しが必要であるとの認識が示されました。
下山議員は、荒川地区の振興と温泉の存続に向けて、行政としても可能な限り支援してほしいと強く要望して質疑を締めくくりました。
