こちらのシミュレーションを現場で見学させて頂きました。
https://ritouken.com//files/libs/882/202510211351587413.pdf
新聞記事はこちら
実際に搬送元のお宅まで訪問して、現場~福江島までの搬送に立ち合い、事後の意見交換会まで参加させて頂きました。
以下、現場から提起された主な問題点の紹介です。
1.ボランティアの免責
久賀島での患者搬送はボランティアの協力が不可欠。搬送中の2次災害(患者を落下、車両の交通事故で患者が外傷を負う事)が生じた場合に、患者又は家族から責任追及を受ける可能性もあり、免責(ボランティアが責任を負わない)が必要、障害保険などに加入などを考慮すべき。
2.海上タクシーの手配
海上タクシーの手配が困難、特に夜間、深夜の手配が難しい。リスト上の海上タクシーと連絡が取れない、飲料水のため不可能だと拒否されることがある。更に天候により船の運航ができなかった場合、どうするか?漁師など船主に協力を頼む必要性がある。
3.脳卒中センター
脳梗塞、虚血性心疾患は速やかな治療が必要である。特に脳梗塞は発症から4時間半以内に血栓を溶かす注射を行う。改善しなければカテーテルを使った血管内治療を追加するが 24時間以内に行う必要がある。五島中央病院には脳卒中センターがないので治療ができない。ヘリコプターで大村の国立医療センターに搬送する。ヘリコプターの使用は、天候、深夜、整備士不足問題があり制限されている。最近は整備士不足で約1週間運行不可と言われている。久賀島の症例では、発見、搬送に時間がかかり治療が遅れ麻が生涯続くか死亡例がほとんどである。
総括
これらの問題は直ぐに解決できることではない。五島市だけでは解決できない。また離島の問題は全国的な課題である。解決には資金と制度(ボランティア保険、緊急搬送時の特別処置など)が必要である。行政は県や国への継続的に働きかけが必要である。
意見交換会の中での意見
実際に救急に当たった住民の方からは
- 何らかの形で緊急搬送体制を作ってほしい。
という意見があり、保健所の担当の方からは
- 長崎ではメディカルコントロール協議会があるので、どういう体制が望ましいか協議する必要がある。瀬戸内市のように漁師の方に手伝ってもらう体制も必要では。
という声も挙げられました。
他の市町村では、市町村の管理で救急艇の導入をしている自治体もあるそうです。費用負担は多額になりそうですが、五島市においても真剣にそうした検討をする段階に来ているのではないでしょうか。
長崎県内の他市の状況
佐世保市:五島市と同じ状況
→地元漁船所有者に依頼し、本島へ搬送している状況
長崎市:
高島→市が所有している救急艇による搬送、池島→民間の船会社と契約し、搬送
平戸市:
チャーター船と提携し救急搬送を行っている