廃校を利活用した子供の遊び場作りやイベントの実践事例

五島市にある廃校、大浜小学校を利活用して子供の遊び場づくりのイベントを実施しました。

その経緯と具体的な実践例をご紹介します。

背景 雨の日の子供の遊び場が少ない

五島市ではかねてから、「雨の日の子供の遊び場が少ない」事が子育て世帯から要望されていました。

そうした声を受けて2024年の市長選挙は三つ巴となりましたが、全ての候補者がその実現を公約に掲げました。

そして市長に就任した出口氏は、2025年9月にその素案を公開しました。

https://www.city.goto.nagasaki.jp/s029/010/020/070/kihonkousou_soan_gaiyou.pdf

新規の施設を建てる方針ですが、費用は7億円も要し、維持管理の費用も年間約3500万円と試算されています。

現状の人口が34000人規模であり、少子化・人口減が進む中での投資額としてはかなりの金額。

全天候型遊戯施設の整備は賛成だが、その手法(新規のハコモノ建設)には疑問が残る

というのが議員としての私の考えです。

既存施設の活用に対する市の考え

もっと廃校や既存の遊休施設を有効活用する事は出来ないのか?

一応市役所内でも検討はされたようですが、

  • 規模や機能が不十分
  • 安全・快適な施設としては不十分
  • 将来的な大規模改修の懸念
  • 条件を満たす廃校は遠い

といった理由から、新規建設の結論になりました。

確かに財源と期間に制約がなければ新規建設が望ましいのでしょうが、実際には制約があります。

実践した事

以上が市の考えですが、私としてはまだ廃校や公共施設の利活用に対する検討が不十分ではないかと思いますし、市民への情報周知も不十分だったと考えています。そういった思いから、

まずは小さくてもやってみよう!

の精神で大浜小学校を活用して下記のイベントを実施しました。

  1. かくれんぼ
  2. 宝探し
  3. 脱出ゲーム

今回はお試しの実施だったので子供の参加者は10名程度を想定していました(実際来たのは9名)。対象年齢は小学校1年~3年生程度です。

廃校活用の手続き

廃校は多くの場合「普通財産」の扱いになるため、賃貸借が可能です。五島市の場合は、

  1. 財政課で利用申請書を書く(大浜小、崎山小中、奥浦中が利用可能)
  2. 必要な金額(今回の場合は3,519円+収入印紙200円)を収め、契約書にハンコを押す
  3. 校舎のカギを受領する

という流れでした。

保護者への説明

私たち「屋内遊び研究会」では、雨の日の遊び場づくりを検討する中で、廃校を活用してみようと本日のイベントを計画しました。本日の流れを説明します。

【ルール説明】

まず、子ども達を3―4人ずつのチームに分けて、それぞれ30分ずつ3つの競技を行います。一つ目はかくれんぼ、二つ目は宝探し、三つめは脱出ゲームです。全てのゲームは同じチーム内で行います。まず共通のルール説明を行います。

  • 廊下は走らない
  • 入ってはいけない場所にはいかない
  • モノを壊さない、移動させない

①かくれんぼ

(子供たちへの説明)かくれんぼは2回行います。隠れる時間は2分です。2分経ったら、大人の人が探しに行くので、8分間、見つからないように隠れてください。見つかってしまった人は、教室に戻って来ましょう。チームの中の一人でも見つからなければ、チームにポイントを貰えます。終了の合図は、笛で行います。

ここでのポイントは、大浜小学校は廃校であるため、実際に隠れる事が出来る場所が少ないという問題です。ロッカーや物置スペース、教室の死角になっている場所など、子ども達は思い思いの場所に隠れている様子でした。

探す時間も8分と長いので、探す方の大人はあえて子供たちをはらはらさせるように、ゆっくりと探してあげる事がポイントでした。

②宝探し

(子供たちへの説明)次に宝探しを行います。子供たちが半分ずつ(Aチーム、Bチーム)に分かれて先行、後攻で行います。隠す宝は3種類、大、中、小です(大:大きめの箱 中:ティッシュ箱 小:カードケース)。最後まで見つける事が出来なければ、隠したチームにポイントが貰えます。

  • 大きい宝+3ポイント
  • 中サイズ+2ポイント
  • 小サイズ+1ポイント

大きい宝は見つけやすいリスクがありますが、その分貰えるポイントが大きいです。

ゲーム順序

  1. チームで話し合って、どのサイズの宝を選ぶか決める。
  2. Aチームは宝を選んでから、Bチームに見せる
  3. BチームはAチームが隠している間、部屋の中で待機(2分)
  4. Bチームが探す(6分)

です。それではじゃんけんして順番を決めてください。(宝探しをしている間、大人は次のゲームの準備をする)

➂脱出ゲーム

最期に脱出ゲームを行います。校内放送があるのでよく聞いてください。

〇脱出ゲームの流れ

  1. 子ども達をグループごとに分けさせ、1Fの別々の教室に誘導させる(答えが共有されるのを防ぐため)
  2. 校内で放送を流した後、大人が子供に問一のお題の紙を渡す。大人は各持ち場に移動。子供たちは解けたら図書室に移動する。
  3. 子ども達が2階で謎解き(5教室分)
  4. 一階の正面玄関で鍵を開けてゴール

【校内放送】

お知らせです。大地震の予報が出ています。学校が崩れてしまうので、急いで校外に避難してください。

ただし、校舎の正門には鍵がかかっています。

鍵の場所は、2階の一番奥の部屋に居る、うさぎさんに聞いてください。

でも、うさぎさんはタダでは教えてくれません。図書室に食べ物があるので、うさぎさんの好きな食べ物を注文して持って行ってください。

どんな食べ物が必要か、ヒントの紙をよく読んで、無事に学校から脱出してください。

答えが分からない場合は、ポイントを使うとヒントが貰えます。では皆さん、避難を開始してください。

〇大人の担当配置

【2F担当 合計6名】

図書室 1名 子供に食べ物カードを受け渡す担当。

① 5・6年教室 1名 うさぎ役、答え「とうもろこし」 謎解き完了後に、2問目の紙を渡す。

② 3・4年教室 1名 りす役、答え「さとう」 謎解き完了後に、3問目の紙を渡す。

➂ 1・2年教室 1名 ぱんだ役、答え「いちご」 謎解き完了後に、4問目の紙を渡す。

④ 音楽室 1名 ひよこ役、答え「にく」謎解き完了後に、5問目の紙を渡す。

➄ 資料室 1名 人間役、答え「かつら」謎解き完了後に、校舎のカギを渡す。

【1F担当 合計2名】

見回り 1名 全体の見回り

放送係、玄関 1名 最初の校内放送、最後の鍵役

【ヒント】1問目 「ひらがなが何回出てくるか、数を数えてみよう」 二問目「日付」

3問目 「アナログ時計」4問目 「トランプ」 5問目 「絵をひらがなにしてみよう。」

脱出ゲームの問題

謎解き問題

↑そのままA4用紙で印刷して使えます。

総評

3種目で合計2時間の予定でしたが、子ども達は概ね楽しんでいる印象でした。

ただチーム戦となると難しいのが、中々協調して動かない、という部分があるかなと感じました。最後の脱出ゲームでは手柄を巡って子ども同士が喧嘩する場面も見られましたが、そこはご愛敬ですね。

廃校活用のポイントとしては、

  • 子ども達を真剣にさせるために競技性を持たせる
  • 校舎の「広さ」や「構造」を活かしたゲームが望ましい
  • 年齢層や日本語の理解度にも配慮する必要がある(特に謎解きの場合)

というように感じました。これからも継続的に、廃校を活用した子供の遊べるイベントを実践しながら、子どもの遊び場づくりを進めていきたいと思います。

市に対して臨む事

まずもって、

廃校や体育館を〇〇円で利用可能

という情報自体が、市民や団体に全く知られていないという現状があります。

その辺りは一覧化して、もっと積極的に情報発信をすべきだと思います。

勿論、利用時の怪我や事故は自己責任である事と、利用後の原状回復は徹底させたうえで。

そして利用手続きをもっと簡素にして頂きたいです。

利用に際しては契約書に収入印紙を貼らなければいけないというのがちょっと面倒でした。

  1. 分かりやすい情報発信
  2. 利用しやすい金額体型
  3. 簡素な支払い方法

という整備が必要と思います。