全天候型こどもの遊び場施設整備基本構想(素案)に対して

  • 2025年9月11日
  • 2025年9月11日
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昨年の市長選挙では、私も含めて3名の候補者全員が、この雨の日の遊び場問題をどうにかしますと訴えてきました。

ですので、この問題に取り組むこと自体は賛成なのですが、素案に対する私なりの意見をまとめておきます。

遅すぎない?

市長は就任当初から、雨の日の子供の遊び場について「早急に検討して参りたい」と述べていました。

ところが、保護者向けアンケートが実施されたのはその半年後となり、結局(素案)が出てくるまでに、一年が経過。。。

素案の通りに順調に工事が完成するとしても、開業は2028年(令和10年度)の10~12月という事で、市長の任期中には開業できません。

「公約の実現」という意味では、自身の任期内に日の目を見ない計画という訳です。

私はもっと、事前のアンケートや検討を早期に実施すべきだったと思います。

そして、もっと時間や予算をかけずに実現可能な方法があったのではないだろうか・・・と思います。

時間とお金の制約

かねてから五島市議会では、廃校や空き施設などの「遊休施設の活用」を訴えてきました。

市民アンケートの中にもこうした声は多く寄せられていますし、上五島では廃校を活用して整備しています。

素案の中でも、廃校や民間施設の活用についてのメリットデメリットが検討されています。

しかしながら、整備方針の「600㎡級の遊び場を一か所にだけ構える」という制約を考えると選択肢は限られてきます。

勿論、時間とお金を気にしなくても良いならば、老朽化対応が必要な廃校ではなく、新築の方が良いのでしょう。

ただ、そこに時間的・予算的な制約はないのでしょうか?

個人や会社であれば、当然のことながら予算やスケジュールは制約条件になります。

全員協議会で確認した所、

〇年以内に完成させる/〇円以内で完成させる

という目標や制約はないとの事でした。

一義的には子供や子育て世帯向けの施設ですが、日本全体の少子化は避けられません。

時間が経つにつれて、利用者数が減少する事は明らかです。

しかし今回の事業検討にあたり、政治的な意思として

少子化の流れを踏まえ、「負の遺産」を極力残さない

という方針もありません。全員協議会の説明で出口市長は、

少子化対策として、子供の数そのものを増やすことにチャレンジしたい。五島市で子どもを産み育てられる将来像を思い描いている。少子化対策に皆で望まないといけない。「あの時やっておけば良かった」という思いをしたくない。させたくない。皆で力を合わせて人口減少対策に臨まなければいけないと思っている。協力してやっていただきたいと思っている。

と述べられました。

本当に7億で収まるのか?

素案の中では

  1. 廃校の改修:5億2千万円
  2. 新築:7億

という荒い試算が提示されましたが、①はあくまで上五島の施設の数値であり、五島市に存在する廃校の一つ一つを見積もった訳ではありません。

そして新築を立てるにしても、資材価格の高騰やインフレ、現在見積もりに上がっていない金額(外構及び地盤改良費)も含めると、総工費は1.5~2倍くらいに跳ね上がるのではないかと危惧しています。

実際、新築された図書館についても当初の金額よりも大幅に上振れしました。

図書館の場合は当初から、「身の丈に合わない豪華な図書館は必要ない」との声が市民から上がり、長期間に渡り頓挫した経緯があります。

少なくとも着工までに7億円だけでは収まらないでしょうし、維持費の負担も想定では3522万円、そのうち1828万円が純増分と試算されています。

少子化対策としての位置づけ

市長は全員協議会の中で

単なる遊び場でなく、多世代交流や人口減少対策に寄与する施設にしたい

という主旨の事を述べました。確かに遊び場が整備されて、子育て支援の総合力が強化されれば、少子化にも寄与する側面があるかと思います。

しかし元々は、「今いる保護者」の願いを実現させる公約であり政策です。

「まだ子供を持っていない」市民に対する少子化対策はこの政策だけでなく、

総合的に整理して考えていく必要があるのではないかと思います。