外国人の「デジタルノマド」が増えると五島市の移住者が増える?

3月11日の五島市議会議案質疑の紹介です。

予算案の資料を熟読する中で、どうしても私が気になったのが以下の文章です。

移住へ繋がるよう関係人口を創出するには、まず五島市に興味を持ってもらう必要があります。令和7年度はデジタルノマド(海外のリモートワーカー)の誘致などに取り組みます。

というもの。

「(;・∀・)??」

という感じです。

デジタルノマドという言葉自体、聴きなれない方も多いと思いますし、私もネットで情報収集する中で、全国的にブームになっている事を知りました。特に福岡とか日向市とか、西日本を中心に流行っているみたいで、観光庁もデジタルノマド向けに新たなビザ緩和をしたりしています。

https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/kihonkeikaku/inbound_kaifuku/chihoyukyaku/digitalnomad.html

出口市長もやる気満々です(何だか嬉しそう↓)。

https://x.com/fts_idgc/status/1881947038230950012

ですが残念な事に、デジタルノマドの緩和された在留資格では「6月を超えない期間滞在して国際的なリモートワーク等を行う者である場合」とされていますので、五島市に移住するのは難しそうです。

それに、五島に移住して定住した場合、ノマドはノマドでなくなってしまいます。(ノマド=遊牧民のため)

こうした事から、日本人が相手ならまだしも、「海外のノマドワーカーが増えて移住者が増える」というのは無理があるのではと質疑した所、

  1. 定期的に行き交う人(ノマド)が増える
  2. 地域の多様性が確保され、地域の魅力が増大する
  3. 魅力的な地域への移住が増える

というシナリオとの事でした。(私の理解です)

まあ、確かにそれも分からなくはないな~、と思いながらも、やっぱりどこかもやもやした感じがしました。

デジタルノマドは高所得の方が対象となり滞在期間も長いとされているので、観光消費の増大には寄与する側面があると思います。そのため、関係人口という側面よりは、インバウンドの推進という枠組みで捉えるべきではなかろうかと思いましたが、五島市ではかねてからワーケーションを推進しており、その文脈上で位置付けられるという事でした。

どこがもやもやするのか、改めて考えた所、

  • 五島市が「海外のノマドワーカー」に快適な場所になったとしても
  • 潜在的な移住見込みの人は必ずしも高所得な「ノマドワーカー」ではないため
  • 移住見込みの人にとっては、「魅力向上」とは言えないのでは?

という事に落ち着きました。

そもそも、日本人の移住者を増やしたいのであれば、外国人向けの施策ではなく、日本人向けの施策を展開すべきではないかと思います。

予算を計上する以上、行政としては何らかの形で「成果の数値」が求められますが、交流人口の拡大と移住との間には時間的なブランクがあるため、すぐに移住者が爆増するという事はなさそうです。この事業の着地点や成果をどこに設定しているのか、質疑しておけば良かったと後悔しましたので、委員会を通じて議論が深まる事を期待します。