こちらの映画上映会が五島市の福江島、セレンディップホテルにて開催されたので、参加して来ました。
https://giga-kutyo.amebaownd.com/
以前から見たいと思っていた映画だったのですが、島には映画館がなく、中々機会がありませんでした。そうした中で、上映会を企画してくださった主催者の方に感謝です。
映画の内容については、公式HPの方でも紹介されていますので、私は映画を観た感想と、首長選挙経験者として感じた事を共有させて頂きます。
「生活の危機」と当事者性
選挙の発端は、道路整備によって立ち退きを余儀なくされるという「住民生活に関わる重大な危機」でした。しかしながら、50万人規模の有権者全体から見ると「当事者」になるのはほんの一部にしかすぎず、どうやって「当事者」でない人を「当事者」の側に持ってくるか、という問題は非常に考えさせられるテーマでした。
世界でも連日哀しいニュースや事件が報じられていて、当然ながら私はすべての当事者ではありません。が、かといって「遠い世界の関係ない出来事」でもありません。選挙を通じてその現実を変えて行こうとする試みは時に虚しく、自己効力感を弱める活動じゃないかとさえ思えてきます。
長崎県でも同じように「石木ダム」問題があり、今だに現地の住民の方が抗議活動をしていますが、長崎県政が路線変更する様子はなく、50年以上完成しないダム建設を推し進めようとしています。そうした不合理に立ち向かうために、私も微力ながら2022年の長崎県知事選挙の応援をさせて頂いたのですが、結果は想像以上に厳しく、県民の意識を石木ダムに持ってくるのは難しいのだと経験しました。
構図としては
- 地元では「住民生活に関わる重大な危機」が生じている
- 地元在住ではない候補者がヒーロー的に現れた
という点で、2022年の杉並区長選挙と長崎県知事選挙は似ている状況だったと思います。が、結果は驚くほど大きな違いが生まれました。その背景がどういった点にあるのかは、引き続き探っていきたいと思いました。
国政政党の選挙結果
選挙で言わば「まさかの勝利」だった事は、候補者自身もドキュメンタリーの中で述べていました。監督は「前年の衆院選で野党の候補者が勝利した経験が大きかったのではないか」という事を仰っていました。
https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/shugiin/2021/13/
杉並区が含まれる東京8区の選挙では、当選回数10回の石原伸晃氏を吉田 晴美氏が破っています。この結果から、野党にとっての追い風となる機運が髙かったのではないかとも思われます。
地方と都市部の選挙の違い
興味が湧いたので色々と過去の選挙を調べてみると、色々と都市部と地方で選挙事情が異なる事が分かってきました。
国政選挙の投票率が高い
一つ目は投票率です。国政選挙の投票率の方が首長選挙よりも高いというのは注目に値します。地方の選挙では一般的に、市町村の議員選挙>首長選挙>県政選挙>国政選挙 という形で大きな選挙の方が投票率が低くなる傾向があるからです。
若者・女性の候補者が多い
そして地方との違いは、女性や若者の立候補者が多く、比較的当選確率も高いというのが特徴ではないでしょうか。これには議員報酬も関係しているのではないかと思いますが、若者がチャレンジしやすい環境だと思います。
選挙資金の支援者
杉並区の首長選挙では落下傘的に見つかった選挙の候補者ですが、やはり気になるのは「選挙資金をどう工面したのか?」という事でした。質問した所、「全額寄付で賄った」との回答でしたので、都会の選挙はそういう意味で、ある種の出馬ハードルが下がる部分もあるのかな、と感じました。