3安全・安心で住みやすさ日本一の“しま”をつくる
【地域コミュニティの維持・活性化】
人口減少及び高齢化社会においても、安心して住み続けられる地域を維持するため、地域で支え合う住民自治の活性化が重要になります。
令和6年度は、地域おこし協力隊2人を採用し、地域プロジェクトマネージャーと協力しながら、町内会やまちづくり協議会などが行う地域コミュニティ活動や新たな地域の拠点づくりを支援してまいります。また、市民向けの講話や地域活動の紹介など、地域づくりへの関心と参画の輪を広げる啓発活動に取り組んでまいります。
【日本語学校】
五島日本語学校では、既存の日本語科2年コース・定員100人に加え、新たに日本語科1年コース・定員20人を設置し、令和6年10月からの学生受入れに向けて準備を進めております。この1年コースは、主に日本語学校を卒業した後、五島市内の介護施設で働きたいという学生を、ベトナムを含む東南アジア諸国から受け入れ、日本語能力の向上及び特定技能1号の在留資格を目指す内容となっております。
五島市としては、学生の受入れにより、異文化交流機会の増加や島内消費の拡大、労働力の確保が期待できることから、1年コースの学生についても既存の2年コースの学生と同様に給付型奨学金を支給したいと考えております。
既存の2年コースの第5期生に当たる令和6年度の入学者については、現時点で最大56人の予定であり、4期生41人と合わせると、4月の生徒数は97人となる見込みであります。
引き続き関係機関と連携して、教育環境の整備や学生の確保など、安定した学校運営が図られるよう支援してまいります。
【健康長寿のしまづくり】
保健・医療・介護・地域の連携により、自分らしく健康で生活することができる環境を整備し、市民の皆様の健康増進と医療費の増加抑制につながるよう努めてまいります。
特定健診については、五島市の受診率が全国、県平均と比べて低い状況が続いていることから、国保加入者で特定健診受診者に抽選で特産品を贈呈する「健康になっGOTOプロジェクト」を引き続き実施します。また、集団健診時の予約制が、健診受診の足かせになっているという市民の声があることから、一部の会場を除き予約不要とし、受診しやすい環境を整えております。
特定健診は、生活習慣病のリスクを早期に発見し、特定保健指導を行うことで生活習慣病の予防・改善につながるため、対象者の受診意欲を高め、受診率の向上を目指してまいります。
重症化予防については、特定健診受診者のうち医療機関への受診が必要な方に対する受診勧奨や保健指導を実施するとともに、糖尿病性腎臓病で通院している重症化リスクの高い方に対しては、人工透析への移行を防止するため、医療機関と連携して保健指導を実施してまいります。
がん検診については、五島市の死因第1位が「がん」であることから、「がん」に関する正しい知識の普及を図り、検診の受診勧奨及び要精密検査の方に対する医療機関受診勧奨を積極的に行うことにより、市民の皆様の命を「がん」から守るよう努めてまいります。併せて、医師会、各医療機関と検討を重ね、受診しやすい検診体制の整備を進めてまいります。
令和6年度から、40歳から70歳までの5歳刻みで女性を対象として、新たに骨粗しょう症検診を開始します。五島市の令和4年度の要介護者の有病状況は筋・骨格系疾患が62.4パーセントを占めており、全国や県平均と比較して高い状況となっております。骨粗しょう症は骨折の基礎疾患で、要介護状態に陥る原因の一つとなっているため、検診による早期発見と適切な治療により改善を図ってまいります。
令和6年2月に「第2次五島市自殺対策計画(いのちの充電プラン)」を策定しました。五島市の自殺死亡率は全国や県平均と比較して高い状況にあります。第2次計画では、五島市で特に自殺が多い高齢者、生活困窮者及び働き盛り世代への支援を重点施策として、庁内各課、関係機関が連携・協力を図りながら、各種対策を推進してまいります。
カネミ油症については、全国油症治療研究班が実施した「次世代の健康実態調査」の2回目の中間解析が1月12日に報告されました。報告では、患者である親のダイオキシン類の血中濃度と、次世代が糖尿病、肥満症、甲状腺の疾病になりやすいかどうかの相関関係は見られなかったとし、今後は次世代と一般の人のデータを比較したいと述べております。また、12月には県が「カネミ油症に係る未認定者等の健康実態調査」を実施しており、年度内には調査結果を取りまとめる予定となっております。
五島市としては、引き続き、調査に全面的に協力するとともに、「カネミ油症被害者に対する支援行動計画」に基づき、被害者の健康状態の把握や相談支援体制の強化に取り組んでまいります。
モバイルクリニック事業については、事業開始から1年が経過し、昨年12月には奈留島でも開始しました。2月14日現在、3つの医療機関で運行しており、延べ206人の患者が診療を受けております。
この事業では、携帯電話の電波を使用して診察を行っておりますが、電波の届かない場所があることから、衛星通信機器を導入し、改善を図ります。利用可能な医療機関や地域を広げながら、移動に困難を感じている方が定期的に受診できる体制を整え、慢性疾患の重症化予防、健康寿命の延伸に努めてまいります。
障がい者福祉については、障がい者の高齢化、重度化、親亡き後を見据え、障がいのある方の心身の状況や世帯の状況把握に努めるとともに、グループホームの入所体験や障害福祉サービス利用等の情報提供を行ってまいります。
医療的ケア児の支援については、在宅で看護又は介護を行う保護者等の負担を軽減するため、訪問型レスパイト事業の活用や各関係機関と連携しながら支援体制の充実に努めてまいります。
介護、障がい、子育て、生活困窮など様々な課題を複合的に抱える世帯については、分野別の専門機関・制度によりそれぞれ支援してまいりましたが、令和6年度からは各機関が相互に連携し、包括的に支援する重層的支援体制整備事業を実施してまいります。この事業の実施により、相談窓口の明確化や社会的コストの抑制、情報共有の円滑化等が図られ、課題の早期解決につながるものと考えております。
ひきこもり対策については、令和5年度実態調査の分析結果を基に、ひきこもり当事者やその家族へのきめ細かな支援方法を検討するとともに、支援会議などで関係機関と連携を図り、切れ目のない支援体制を整備してまいります。
住民主体の運動の場・集まりの場である地域ミニ・デイサービスは、介護予防に高い効果があるため、推進を図っております。現在、41か所で開催され、約210人の地域ボランティアのもと、約760人の高齢者が利用されております。この事業を今後も継続するため、ボランティアの育成・支援に努めるとともに、専門職による助言など、対象者への支援を行ってまいります。
令和6年度から3か年を期間とする「五島市老人福祉計画・第9期介護保険事業計画」の策定を進めております。「高齢者が生きがいをもって充実して暮らすことができるまちづくり」を基本理念とし、高齢者の自立支援・重度化防止に向けた保険者機能の強化や地域包括ケアシステムの深化・推進に向けた取組などの各種施策を進めてまいります。
介護保険料については、高齢化率の上昇や介護報酬の引上げ等により、保険料の引上げが必要となりますが、介護給付費準備基金・2億1千万円の投入によりその抑制を図り、保険料の基準月額を現在の「6,660円」から120円増額となる「6,780円」に改定したいと考えております。また、低所得者の負担を軽減するため、高所得者の標準乗率の引上げなどを行いたいと考えております。
介護人材の確保対策については、資格取得に関する補助事業を実施しており、令和5年度は介護初任者研修の受講者10人とケアマネジャーの資格更新研修18人に補助金を支給し、離職防止を図りました。令和6年度は、ケアマネジャーの新規取得に対する経費などについても対象を拡充し、新たな担い手の確保を図ってまいります。
介護職員の住まい確保策として、令和5年度から開始した介護職員宿舎借上支援事業により、3人の住まいを確保しました。令和6年度以降も継続し、利用拡大に努めてまいります。
令和6年度から新たな施策として、介護福祉士養成施設に修学する学生に奨学金を支給する介護事業者に対し、「奨学金支援事業」を開始します。将来にわたって新たな人材確保が期待できる事業となりますので、広く周知し、利用の促進を図ってまいります。
そのほか、官民が一体となって、介護現場の職場環境改善に資するノーリフティングを推進しております。令和5年度はフォーラムを開催し、講演や介護機器の体験などを行い、市民の皆様への理解促進を図りました。今後も、ノーリフティングの島として普及促進に努め、島内外からの介護人材の確保に努めてまいります。
認知症施策については、昨年6月に「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が公布され、五島市では、令和6年度から3か年を期間とする「五島市認知症施策推進計画」の策定を進めております。認知症への理解の促進、認知症の方の意思決定支援と権利擁護体制の充実、認知症の予防等の施策に取り組み、認知症の方が尊厳を保持しながら希望を持って暮らすことができるよう支援してまいります。
生涯スポーツの推進については、令和3年度から五島市健幸アプリ「ぎばっと!」を運用し、スポーツによる健康増進を図っており、昨年
12月末のアプリ登録者数は2,500人を超えました。さらなる登録者増に向けて周知を図るとともに、アプリを活用したウォーキングイベントの定期的な開催など、利用者が継続して運動に取り組めるよう努めてまいります。
また、市制施行20周年記念事業として、かんぽ生命、NHK及び全国ラジオ体操連盟主催による「巡回ラジオ体操・みんなの体操会」を5月26日に中央公園陸上競技場で開催します。市民の皆様の多数のご参加をお願いいたします。
【インフラの整備】
五島市の公共交通については、令和4年3月に策定した「五島市地域公共交通計画」に基づき、国、県、交通事業者と連携しながら、効率的で利便性の高い公共交通ネットワークの構築に取り組んでおります。
陸上交通については、ドライバーの高齢化や人手不足により路線バスの減便や廃止が続いており、交通空白地帯となった地域を中心に、乗合タクシーの導入等を行ってまいりました。令和5年度は、効率的な公共交通ネットワークの構築に向け、福江地区、富江地区、岐宿地区に加え、
奈留地区にも電話予約制乗合タクシー「チョイソコごとう」を導入しており、今後も引き続き、路線バス等との融合による再編に取り組んでまいります。
そのほか、国においては、タクシーが不足する地域や時間帯に限り、一般ドライバーが自家用車を使って有償で乗客を送迎する日本版ライドシェアについて一部解禁する方針を示しております。五島市としても、交通事業者をはじめ関係者の意見を伺いながら検討してまいります。
本土と五島を結ぶ航路・航空路については、コロナ禍で減少していた利用者は回復傾向にあり、特に航空路の利用者はコロナ禍前を超える水準で推移しております。
これからも安全で安定した運航に向けて、航路・航空路事業者等と連携してまいります。
久賀島航路、椛島航路などの二次離島航路については、観光客の利便性向上のため、株式会社ゼンリンが提供する観光アプリ「ストローカル」を用いた電子チケット化を推進してまいります。
有人国境離島法による航路・航空路運賃低廉化については、この制度が、観光客や帰省客など全ての利用者へ適用されるよう、引き続き国や県へ要望してまいります。
水道事業については、市民の皆様からの水道使用料が主な事業収入となっておりますが、人口減少による料金収入の減少や老朽化に伴う水道施設の更新などにより経営環境は厳しい状況にあります。
引き続き、中長期的な視点に立った計画的な経営基盤の強化を図りながら、市民の皆様に安全で良質な水の安定供給に努めてまいります。
また、玉之浦地区の施設統合については、令和6年度中に新浄水場の設計業務を完了する予定です。今後も地域の皆様方のご理解とご協力をいただきながら、順次、効率的・効果的な施設整備を進めてまいります。
市営住宅については、第1丸木住宅の老朽化が著しいことから、建替を計画しております。住宅の規模は、現在の36戸から10戸に縮小する予定で、令和7年度の新築工事着工に向け、設計業務に着手してまいります。
【空き家対策の取組】
全国的に空き家問題が深刻化する中、空家対策特別措置法が改正され、NPO法人、社団法人等を「空家等管理活用支援法人」として指定でき
る制度が創設されました。この制度を活用し、空き家の活用や管理、相談対応等の取組を行い、危険な状態となる空き家の発生件数の抑制に努めてまいります。
【消防体制の整備等】
消防団については、五島市の規模に応じた組織や団員数となるよう見直しを進めているところであり、令和6年度がその最終年度となっております。地域の実態に即した消防団の配置を行い、災害等の緊急時に際し、市民の皆様に頼られる消防団として組織力を維持してまいります。
【災害に強いまちづくりの推進】
防災行政無線については、設備の一部が更新時期を迎えていることから、既存の設備を活用したうえで必要な機器の更新を行うため、令和6年度に設計業務を実施します。機器の更新に当たっては、屋外のスピーカーを高性能スピーカーに変更するなど、市民の皆様に伝わりやすい、効果的な情報伝達ができるよう整備を進めてまいります。
また、指定避難所対策として、照明のLED化を実施するとともに、奈留町及び久賀島では長時間の停電に備え、蓄電池設備を整備します。
1月1日には能登半島地震が発生するなど、災害はいつ起こるか分かりません。今後も防災機能の強化を図りながら、災害に強い安全・安心なまちづくりを推進してまいります。